<NATO>ウクライナ問題で「停戦合意と矛盾」露非難へ

毎日新聞 5月11日(月)15時0分配信

 【ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ東部の親露派武装勢力とウクライナ政府軍の停戦合意を巡り、北大西洋条約機構(NATO)が13日にウクライナと開く外相級の理事会の声明で、「ロシアが親露派武装勢力を支援しており、停戦合意と矛盾する」とロシアを非難することがわかった。今年2月の停戦合意以降、NATOが声明でロシアの停戦合意違反を非難するのは初めて。声明でロシアとNATOの対立はさらに深まりそうだ。

 NATO外交筋が毎日新聞に明らかにした。

 NATOは13日からトルコ南部アンタルヤで開く外相会議にウクライナのクリムキン外相を招いて停戦合意後初めてのNATOウクライナ理事会を開催、声明を発表する。

 声明案は、ロシアによるウクライナ南部クリミア半島編入、親露派武装勢力のウクライナ東部での活動とロシアの支援について、ウクライナの主権や領土的一体性への「侵害」として非難する。さらに、ロシアが停戦合意後もウクライナ東部で「親露派武装勢力を支援している」と断定。全ての外国武装勢力の撤退を求めた停戦合意と「矛盾している」と非難、対話による外交解決を促している。

 NATOのストルテンベルグ事務総長は先月末、ロシアが親露派武装勢力に「重火器、防空システム、大砲、戦車」を提供し、「約1000点」に増加していると指摘した。訓練も実施し「短期間で攻撃を再開できる」としてウクライナ南部での新たな攻撃を準備していると懸念を表明した。NATOウクライナ外相級理事会は、こうした事務総長や加盟国軍の分析を公認し、ロシアに自制を促す。

 NATOはウクライナの軍改革など、後方支援で協力している。加盟国の米国などは先月末からウクライナで軍事訓練を開始した。ロシアは警戒を強めており、プーチン露大統領は9日の対独戦勝式典で米国主導のNATOを念頭に「一極支配の試み」を批判した。
最終更新:5月11日(月)15時0分
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