イメージ 1

イメージ 2

粉末ドレッシングが静かなブーム、ひとふりでカット野菜が本格サラダに…

産経新聞 11月9日(日)15時20分配信









粉末ドレッシングが静かなブーム、ひとふりでカット野菜が本格サラダに…



 「カット野菜に混ぜるだけで、本格サラダが手作りできる」と、粉末ドレッシングが売れている。単身男女や共働き家庭を対象に開発され、価格は約3人分で140円から200円程度。健康意識の高まりを背景に、「忙しくても野菜をたっぷり食べたい」という現代のニーズに合致したようだ。従来は液体のだしつゆ、しょうゆにも粉末調味料が登場した。(寺田理恵)

 ■水っぽくならない

 粉末ドレッシングの長所は、液体と違いトマトなど水気の多い野菜にもよく絡む点だ。サラダに使う野菜の水切りが十分でなくても、水っぽくなる心配をしなくて済む。

 カリカリ、サクサクの具材がトッピングとして配合されているのも、受けている理由のようだ。価格を1食分に換算すると液体ボトルより割高感はあるものの、彩りになる材料を一つ一つ揃える手間を省けるうえ、仕上がりはプロのように見える。使い切りサイズでマンネリ化が避けられるメリットもある。

 「封を開けると、ふわっと香りが立つ。サラダ以外にもフライドポテトを合えたり、焼きリンゴにふりかけたりなど液体が使えない場面でも役立ち、レパートリーを増やせる。液だれしないので弁当用にも」

 粉末の利点をこう強調するのは、キユーピー(東京都調布市)の広報担当者。同社の「彩りプラス」シリーズは「レモンとバジル」「3種のチーズ」など6種類。フレークや乾燥野菜などの具材が入っている。

 20~30代の単身世帯の男女やファミリー層を主要なターゲットと想定し、1箱3袋入りで1人分ずつの個包装が特徴だ。液漏れせず持ち運びがしやすいため、弁当用にも役立つためか、「意外に女子中高生が弁当と一緒に持っていっている」と話す。

 ■「デリの味だ」

 人気に火をつけたのは、味の素(東京都中央区)の「トスサラ」。広報担当者は「購入者の2~3割がカット野菜と合わせて使っている。リピーターが多く、一度使うと便利さが理解される」と明かす。

 共働き世帯の増加を踏まえ、働く女性たちと意見交換を重ねて開発した。1袋に2、3人分が入った三角形のパッケージがキュート。「イタリアン・バジル味」「すりごまガーリック味」など3種類があり、アーモンドや紫いもチップスなどの具材が見栄えと食感をアップさせる。2月に首都圏を中心に発売、8月から全国販売が始まった。

 女優の菅野美穂さんが「デリ(洋風総菜店)の味だ」と感激するCMが10月4~12日に放送されると、小売店からの注文が供給能力の3~4倍に激増した。供給が追いつかず、同社は販売を一時休止せざるを得なくなったほど。11月中の再開を目指しており、「液体ドレッシングに替わるものではなく、新たな市場が生まれた」とみる。

 ■料亭のしょうゆも

 粉末調味料はドレッシング以外にも広がった。エスビー食品(東京都中央区)の鶏の香草焼き用やたたききゅうり用といった粉末調味料も「本格的な料理が手軽にできると全般的に売れている」(広報担当者)。粉末の浸透を受け、ヤマサ醤油(千葉県銚子市)は7月、しょうゆや砂糖、塩を加えて味を調えた粉末タイプの「白だしつゆ」を発売した。「味付けが簡単で、料理初心者が挑戦しやすく市場性がある」のが粉末に参入した理由だ。

 老舗料亭の味も粉末になった。下鴨茶寮(京都市左京区)は7月、粉末化したしょうゆにユズや一味を加えた「料亭の粉しょうゆ」をオンラインショップなどで発売した。「揚げ物の衣がサクサクの状態で、しょうゆを付けていただきたい」と昨春から本店で出していたところ、好評だったため市販に踏み切った。

 卵かけごはんのようなシンプルな料理にも合い、1袋303円(単品の場合)で料亭の味が楽しめるとあって、「京都のお土産として京都駅で購入される方も多い」(広報担当者)という。

 多様な料理に使える粉末調味料。低価格で小さな商品のため、店頭で見付けにくいのも難だが、工夫次第で玄人はだしの食卓を演出できそうだ。