<英議会>イラク領内のイスラム国空爆を賛成多数で承認

毎日新聞 9月27日(土)11時7分配信







 【ロンドン坂井隆之】英議会は26日、イスラム教スンニ派過激派組織「イスラム国」に対するイラク領内での空爆を求める政府の動議を、与野党の賛成多数で承認した。週末にも空爆に参加する。既に空爆を開始したフランスに次ぐ欧州主要国の参加で、国際社会によるイスラム国封じ込めの動きが加速する。

 英軍が対外軍事行動に踏み切るのは、2011年のリビア・カダフィ政権への空爆以来。英議会は昨年8月にシリア・アサド政権への空爆を否決するなど対外軍事行動に慎重だったが、9月にイスラム国戦闘員によって英国人人質が殺害されたことなどで強硬世論が台頭。イラク政府が空爆に同意していることから、野党・労働党も攻撃を容認した。議決では同党の一部議員が造反し、賛成524に対し反対43だった。

 一方、シリア領内での空爆について、労働党はシリア政府の同意や国連安全保障理事会決議が得られていないことから、参加を認めていない。このため動議では、政府が攻撃対象を拡大する場合は改めて採決にかけると明記した。

 キャメロン首相は動議提出にあたって、「イスラム国は英国人にとっても明確な脅威だ」と演説。一方で「戦いは数カ月ではなく、数年かかる」と述べ、議会と国民に軍事活動への理解を求めた。

 英軍はキプロスの空軍基地に配備した攻撃機による空爆を準備しており、「議会承認から24時間以内に出撃が可能」(英紙ガーディアン)とされる。

 デンマークも26日、米国主導のイラクの空爆作戦に戦闘機を派遣すると発表した