<ウクライナ>停戦延長せず 大統領、東部に戒厳令

毎日新聞 7月1日(火)10時57分配信



 【モスクワ真野森作、ブリュッセル斎藤義彦】ウクライナ東部での親露派武装集団と政権との一時停戦が30日午後10時(日本時間1日午前4時)に期限切れとなった。ポロシェンコ大統領は1日、親露派勢力との停戦を延長せず、東部ドネツク、ルガンスク両州への戒厳令導入を決定した。地元ウニアン通信が1日、最高会議(国会)議員筋の情報として伝えた。停戦期間中の武装解除に応じなかった親露派に対し、政府軍が大規模な攻撃を開始する可能性がある。

 ポロシェンコ氏は親露派に対し「和平計画を支持しない姿勢を明確にし、停戦合意を破った」と批判し、「停戦終了の決断がテロリストに対する我々の回答だ」と述べた。さらに「我々は攻撃し、我々の土地を解放する」と宣言し、親露派支配地域の奪還を宣言した。

 停戦期限切れに先立つ30日、ポロシェンコ氏はロシア、フランス、ドイツの首脳と電話で打開策を協議。プーチン露大統領が停戦再延長を求めたのに対し、ポロシェンコ氏は親露派側が武装解除など政権の要求を一切満たしていないと非難していた。

 ロシア政府によると、プーチン大統領は電話協議でウクライナとロシアの一部国境の共同管理を提案。親露派が占拠するウクライナ側の検問所について、ロシア側から両国の国境警備隊と全欧安保協力機構(OSCE)監視員が共同で管理する--とした。親露派が占拠する検問所3カ所の明け渡しは、欧州連合(EU)が対露追加制裁回避の条件の一つに挙げていた。国境管理強化は、ロシアから親露派への軍事支援を止める方策として欧米やウクライナが重視している。追加制裁を避けるため、ロシアとしても譲歩したものとみられる。

 30日の4首脳会談では、ウクライナ政府を代表するクチマ元大統領、駐キエフのロシア大使、OSCEの代表で構成する「連絡グループ」が再び親露派武装勢力との交渉にあたることで合意。ドイツ政府によると、親露派、ウクライナ政府双方の合意に基づく停戦を目指し、1日にも協議を模索する。だが、親露派は、ウクライナ政府に拘束されているメンバー190人以上の解放を要求。停戦期間中の政権側への攻撃は108回を数え、政府軍兵士ら27人が死亡しており、交渉は難航しそうだ。