新たな楽しみ広がる「薬膳」
料理教室、社員食堂、レストラン…
薬膳と聞いて、漢方薬を材料に使い、独特の味や香りがする-。そんなイメージを思い浮かべる人が多いだろうか。最近は、社員食堂で薬膳ランチの提供、料理教室ではエジプト料理と組み合わせたレシピを提案。基本理念は踏襲しながら、アレンジをきかせた「新・薬膳料理」が再び、注目を集めている。(袖中陽一)
元気になる
「今日はエジプト料理を作ります」。兵庫県芦屋市の薬膳料理教室「PureLotus(ピュアロータス)」。主宰の高見節佳(せつか)さんが説明を始めた。メニューは「ターメイヤ(そら豆のコロッケ)」をメーンに、「赤レンズ豆のスープ ハーブソース添え」、デザートに「ライスプディング」。高見さんがエジプト旅行で食べた料理をもとにレシピを作った。
高見さんの提案レシピには漢方はあまり出てこない。大切にしているのはその考え方。「薬膳料理は旬のものを食べるのが基本です」。メーンのターメイヤには、今が旬のそら豆、タマネギ、イタリアンパセリをたっぷりと使う。季節も意識し、これから暑い季節に向かう時期だけに、エジプト料理にヒントを得た。約2年前から薬膳を学んでいる大阪市中央区の調理師、安達心(あだち・こころ)さん(35)は「食事によってその人の体調を整え、元気にできるところが薬膳の魅力」。
平成13年に料理教室を始めた高見さんは知人から薬膳をすすめられて取り入れるようになり、20年からは本格的に薬膳料理教室を開くようになった。現在は初心者から専門家を目指す人向けの講座まで月に約25の薬膳講座を開催。芦屋のほか、大阪・梅田や兵庫・宝塚などでも開いている。
行列もできる
薬膳の考えを社員食堂に取り入れている企業もある。ロート製薬(大阪市生野区)では16年から、本社内の社員向けランチルームで「家庭薬膳ランチ」を毎週火~金曜日に提供している。「製薬会社だけに社員の心身の健康には特に気をつかっています。旬の食材を食べてもらい、元気を出してもらうという考えから始めました」と話すのは、社員の健康を管理する同社オールウェル計画推進室の矢野絢子(あやこ)さん(35)。
メニューは曜日ごとに決まっており、例えば、5月の水曜日は「もち麦ごはん」「鶏手羽のから揚げ」「ウドと銀耳(ぎんじ)(キクラゲ)のいちごソース」「小松菜とちりめんじゃこのレモン酢」「あさりのみそ汁」「ういろう」。薬膳らしいのは「ウドと銀耳のいちごソース」。ウドは、薬膳の考え方では体のほてりを鎮めるとされ、銀耳は体内を潤す作用があるとされる。
同社には、うどんやラーメン、定食などを出す社員食堂もあるが、「家庭薬膳ランチを食べようと行列ができるほどの人気」と矢野さん。
同社は6年前、東京支社内に一般の人にも食べてもらえる薬膳料理のカフェ「旬穀旬菜カフェ」を、昨年は、大阪・梅田のグランフロント大阪に薬膳フレンチレストラン「旬穀旬菜」をそれぞれオープンさせ、いずれも人気を集めている。
中国政府が認定する国際中医薬膳師や国際薬膳調理師の資格も持つ高見さんは「薬膳は身近にあふれる養生のヒントに気づいて応用すること。食べ物の力を知り、旬を大切にして季節を感じ取る。健康的な生活を送るための基本的な考え方だと思ってもらい、気軽に試してもらえれば」と話している。
2014年5月28日 産経新聞 東京朝刊
料理教室、社員食堂、レストラン…
薬膳と聞いて、漢方薬を材料に使い、独特の味や香りがする-。そんなイメージを思い浮かべる人が多いだろうか。最近は、社員食堂で薬膳ランチの提供、料理教室ではエジプト料理と組み合わせたレシピを提案。基本理念は踏襲しながら、アレンジをきかせた「新・薬膳料理」が再び、注目を集めている。(袖中陽一)
元気になる
「今日はエジプト料理を作ります」。兵庫県芦屋市の薬膳料理教室「PureLotus(ピュアロータス)」。主宰の高見節佳(せつか)さんが説明を始めた。メニューは「ターメイヤ(そら豆のコロッケ)」をメーンに、「赤レンズ豆のスープ ハーブソース添え」、デザートに「ライスプディング」。高見さんがエジプト旅行で食べた料理をもとにレシピを作った。
高見さんの提案レシピには漢方はあまり出てこない。大切にしているのはその考え方。「薬膳料理は旬のものを食べるのが基本です」。メーンのターメイヤには、今が旬のそら豆、タマネギ、イタリアンパセリをたっぷりと使う。季節も意識し、これから暑い季節に向かう時期だけに、エジプト料理にヒントを得た。約2年前から薬膳を学んでいる大阪市中央区の調理師、安達心(あだち・こころ)さん(35)は「食事によってその人の体調を整え、元気にできるところが薬膳の魅力」。
平成13年に料理教室を始めた高見さんは知人から薬膳をすすめられて取り入れるようになり、20年からは本格的に薬膳料理教室を開くようになった。現在は初心者から専門家を目指す人向けの講座まで月に約25の薬膳講座を開催。芦屋のほか、大阪・梅田や兵庫・宝塚などでも開いている。
行列もできる
薬膳の考えを社員食堂に取り入れている企業もある。ロート製薬(大阪市生野区)では16年から、本社内の社員向けランチルームで「家庭薬膳ランチ」を毎週火~金曜日に提供している。「製薬会社だけに社員の心身の健康には特に気をつかっています。旬の食材を食べてもらい、元気を出してもらうという考えから始めました」と話すのは、社員の健康を管理する同社オールウェル計画推進室の矢野絢子(あやこ)さん(35)。
メニューは曜日ごとに決まっており、例えば、5月の水曜日は「もち麦ごはん」「鶏手羽のから揚げ」「ウドと銀耳(ぎんじ)(キクラゲ)のいちごソース」「小松菜とちりめんじゃこのレモン酢」「あさりのみそ汁」「ういろう」。薬膳らしいのは「ウドと銀耳のいちごソース」。ウドは、薬膳の考え方では体のほてりを鎮めるとされ、銀耳は体内を潤す作用があるとされる。
同社には、うどんやラーメン、定食などを出す社員食堂もあるが、「家庭薬膳ランチを食べようと行列ができるほどの人気」と矢野さん。
同社は6年前、東京支社内に一般の人にも食べてもらえる薬膳料理のカフェ「旬穀旬菜カフェ」を、昨年は、大阪・梅田のグランフロント大阪に薬膳フレンチレストラン「旬穀旬菜」をそれぞれオープンさせ、いずれも人気を集めている。
中国政府が認定する国際中医薬膳師や国際薬膳調理師の資格も持つ高見さんは「薬膳は身近にあふれる養生のヒントに気づいて応用すること。食べ物の力を知り、旬を大切にして季節を感じ取る。健康的な生活を送るための基本的な考え方だと思ってもらい、気軽に試してもらえれば」と話している。
2014年5月28日 産経新聞 東京朝刊