新川優愛の結婚で夢膨らむアラフォー男の現実

8/21(水) 16:01配信

東洋経済オンライン

新川優愛の結婚で夢膨らむアラフォー男の現実

新川優愛さんほどの人気女性芸能人が一般男性にアタックしたというロケバス婚。未婚アラフォー男子の夢も膨らんでいます(写真:日刊スポーツ新聞社)

 このところ小泉進次郎衆議院議員(38歳)と滝川クリステルさん(41歳)、速水もこみちさん(35歳)と平山あやさん(35歳)など、有名人の結婚報道が相次いでいます。ただ、これらのビッグカップル以上に世間の注目を浴び続けているのは、女優・モデルの新川優愛さん(25歳)の結婚。

 8月11日に行われた会見では、「9歳年上で35歳のロケバス運転手と近日中に入籍する」ことを発表したほか、新川さんから「バスに忘れ物をした」とウソをついて声をかけて交際がはじまり、2年半もの交際期間を経ての婚約だったことが驚きを持って報じられています。

 会見前に新川さんの結婚が報じられたとき、ネット上には、「どうせ“一般人”じゃないんでしょ」「IT社長とか高収入の男だろう」などのつぶやきがあふれました。しかし、フタを開けてみたら、相手の男性は「高収入とは思えないアラフォー」だったのです。

■アラフォー男性には「夢のある話」

 新川さんと言えば、16歳のときに「ミスマガジン2010」グランプリに選ばれたほか、現在も『non-no』専属モデルを務め、女優としても昨年「いつまでも白い羽根」(フジテレビ系)で連ドラ主演を飾り、さらに「王様のブランチ」(TBS系)でMCも務めたほどの人気者。

 人気、美貌、若さ、実績のすべてを持つ女性芸能人が一般人のアラフォー男性と結婚するのですから、やはり同年代の男性たちにとっては「夢のある話」と言えるでしょう。

 気になるのは、新川さんの相手だけでなく、小泉進次郎議員も、速水もこみちさんも、アラフォーという共通点があること。一般人、政治家、芸能人と職業の異なる3人のアラフォー男性が、同じ時期に結婚することが示唆に富んでいます。

 これらの結婚ラッシュを受けて、ネット上には「男性のアラフォーは結婚適齢期。人生の中で最も美しく若い女性と結婚できる」という説がいくつか見られました。その説は正しいのか?  あるいは「こうあってほしい」という希望的観測にすぎないのか? 

 

 

これまで1万人を超える婚活相談を受けてきたコンサルタントの立場から、いくつかのエピソードを交えつつ、結婚にまつわるアラフォー男性の希望と現実を掘り下げていきます。

■アラサー男女の結婚観は水と油

 まず「男性のアラフォーは結婚適齢期で、人生の中で最も美しく若い女性と結婚できる」という説について。コンサルタントの目線から言えば、その説はあながち間違いとは言えません。

 私はこの13年間、毎年300人以上の独身男女に「結婚願望はある? ない?」「なぜ結婚したい? なぜ結婚したくない?」「相手の何を重視する?」「自分が『これだけは譲れない』ことは?」「相手に対する『これだけはNG』は?」などのアンケートを取り続けてきました。

 その中で、「相手の対象年齢は?」という質問に対するアラフォー男性の回答で最も多いのは、「20代から自分の年齢マイナス5歳まで」。自分よりも5歳以上、年下の女性を理想に掲げているのです。

 一方、その20代から34歳までの女性に同じ質問をすると、「同年代から40歳くらいまで」という返事が8割強。つまり、結婚相手の年齢としては、ほぼマッチングが成立しているのです。

 ただし、20代から34歳の女性たちにした「相手の何を重視する?」という質問の答えで多かったのは、「普通の生活ができる経済力」と「包容力」でした。ある女性のコメントをもとに、もう少し具体的な内容を挙げていきましょう。

 今年30歳になる薫さん(仮名、不動産業経理)は、「楽しい話ばかりでなく、結婚に関わる話をちゃんとできる人がいい。どういう夫婦になりたいか?  どこに住んでどう暮らすか?  子どもがほしいか? とか。

 同年代の男性は自由気ままに過ごしている人が多いし、そういう話をすると『結婚を焦っている』と決めつけられて引かれるので、5歳前後年上のほうがいいですね。40歳くらいまでならいいかなと思っています」と言っていました

 

 

 

とくにアラサー女性は、同世代の男性よりも、自分の人生と向き合って考えることが増える時期。「結婚だけを考えればいいのなら、本当に合う人をじっくり探したい」ものの、現実的に出産や子育て、家の購入や将来に備えた貯蓄などを考えると、「そろそろ結婚したほうがいい」という結論に至ることが多いのです。

 そんなアラサー女性たちに対して同世代の男性たちは、「AK男子(あえて結婚しないの略)」という言葉がメディアをにぎわせているように、精神・金銭両面での自由が減ることを拒み、「いつか結婚すればいい」と考える人が多数派。必然的にアラフォー男性たちのチャンスが増えますし、私もコンサルタントとして「アラフォー男性にはアラサー女性」「アラサー女性にはアラフォー男性」とのマッチングを勧めています。

新川優愛が一般男性にホレた理由の深さ

 アラフォー男性がこれまでの経験や実績からアラサー男性よりも「普通の生活ができる経済力」と「包容力」があり、アラサー女性のニーズと一致していることは、ある程度理解できるのではないでしょうか。ただ、気になるのは「普通の生活ができる経済力」と「包容力」の具体的な内容。

 前述した薫さんが「理想を言えば月収50万円くらいはほしいけど、円満にやっていける人なら30万円くらいでもいい」と言っていたように、少なくとも私がコンサルをした20代前半から30代前半の女性たちは、あまりこだわっていませんでした。

 その理由を尋ねても、「子どもを産めない年齢になるかと考えたら、相手の収入を重視していられない」「お金はそこそこでいいけど、包容力のある人でないとどうせ離婚してしまう」という現実的なものが多く、結婚相手となる男性に多くのものを求めようとしていない様子が伝わってきます。

 また、婚活を始めたばかりの女性医師・美沙さん(仮名、33歳)は「お金は私もそこそこ稼げるので人柄重視。お互いの理解者になれる人を探しています」。趣味のサークルで婚約者を見つけたグラフィックデザイナー・詩織さん(仮名、32歳)は「稼げる男性より人間性に優れた男性のほうが貴重」ときっぱり言い切りました。2人のように、それなりの収入がある女性ほど、経済力を軽視する傾向があるのです。

 

 

 

では、美沙さんの言う人柄、詩織さんの言う人間性とはどんなものでしょうか?  新川優愛さんの結婚会見にそのヒントがありました。

 相手の好きなところを聞かれた新川さんは、「いろいろな人に対しての接し方がすてきだなと思いました。陰ではなく陽のエネルギーを持って人生を歩まれている温かい方」とコメントしていたのです。

 これは「自己本位の思考回路ばかりにならず、周囲の人々と協調できる男性なら、安定した結婚生活を送れる」という、新川さんだけでなく独身女性たちからのメッセージではないでしょうか。

 2010年代に入ったころから、とかく「自分らしく生きる」ことが美徳とされがちな世の中になりましたが、あくまで結婚は相手があって成立するものであり、その相手には家族も友人も同僚もいて、自分のことばかり優先させるわけにはいきません。

 人生経験豊富なアラフォー男性なら、マイペースに生きることを自分らしさにすり替えさえしなければ、それらの人々と協調できますし、アラサー女性との結婚は現実的な選択肢になりうるのです。

 実際に私がコンサルで会って話してきた経験では、自分の見た目が「普通以上」と自覚している女性ほど、その対価として男性に人並み以上の経済力や包容力を求める傾向がありました。

 その点、新川優愛さんは子役時代から女優やモデルなど美女の中で過ごしてきただけに、私たちほど自分の美しさを意識していないのでしょう。これは裏を返せば、「一般の美女よりも、芸能人のような美女ばかりの中で過ごしてきた美女のほうが男性にとってチャンスはある」ということでもあります。

■独身男女における圧倒的な「男余り」

 ここまで「男性のアラフォーは結婚適齢期で、人生の中で最も美しく若い女性と結婚できる」という説があながち間違いではないことを書いてきましたが、現実は決して甘くありません。

 総務省統計局の人口推計(2019年7月1日現在の概算値)では、アラフォー男性(35~44歳)が約831万人に対してアラフォー女性(35~44歳)は約809万人、アラサー男性(25~34歳)が約666万人に対してアラサー女性(25~34歳)は約635万人。ちなみに結婚が可能な20歳前後も男性が女性より30万人以上も多く、男女間の結婚ではつねに女性が有利な状況にあるのです。

 

 

 

また、国勢調査(2015年。独身人数は未婚+離別・死別で計算)では、独身アラフォー男性約319万人に対して独身アラフォー女性約255万人、独身アラサー男性約397万人に対して、独身アラサー女性約329万人と、「独身男女における圧倒的な男余り」の状況は明らか。

 ただ、「男性のほうが多い」からといって悲観する必要はありません。まずは「アラフォー男性にはアラサー女性と結婚するチャンスこそあるものの、新川さんの婚約者のように、たくさんの独身男性がいる中で、何か1つ違いを見せて『いいな』と思わせなければ難しい」という現実を受け止めること。

 そのうえで、新川さんの婚約者が仕事中に繰り返しその違いを見せて、彼女の心をつかんだように、会社内外の仕事現場、趣味のグループ、社会活動の場など、それなりに接触回数のある関係性の中に潜むチャンスを生かしていきたいところです。独身女性から敬遠されない人並みの清潔感と、周囲の人々と協調するようなコミュニケーション力が必要なのは言うまでもないでしょう。

■一般男性は女性芸能人と結婚できるか

 最後に、「一般人が新川優愛さん

 

のような若くて美しい芸能人と結婚できるか」

 

の可能性について言及しておきましょう

 私はこの14年間、芸能人や芸能事務所、あるいは彼らを起用するテレビ・ウェブ・雑誌の作り手、芸能リポーターなどの記者と付き合いがあり、仕事もしてきました。その経験を踏まえると、過去よりもそのチャンスが増していることは間違いありません。

 その理由は、「地位やお金より安定した人生を求める女性芸能人が増えた」「結婚後も芸能界で活躍する女性芸能人が増えて、むしろ家事や子育てに協力的な一般人のほうが好まれる」「一般人と結婚したほうがタレントに最も重要な好感度アップにつながる」「芸能事務所が所属タレントの交際・結婚に対して寛容になった」などと多岐にわたります。

 

 

 

実際、ある老舗芸能事務所のチーフマネジャーから聞いた話では、「一般人なら変なイメージがつきにくいから、我慢させるより結婚してもらったほうが仕事にもいい影響が出る」とのこと。また彼は、「美村里江さん(旧芸名・ミムラ)も、木村文乃さんも、新川さんと同じ20代で一般男性のアラフォー男性と結婚したし、女優の結婚年齢は早くなっている。あとはとくにモデルや元アイドルの結婚年齢が早い」とも言っていました。

 相手男性は仕事で接する機会のある人が多いようですが、友人や行きつけの飲食店スタッフの紹介なども少なくありません。また、決して経営者のような高ステータスの男性ばかりではなく、むしろ女性芸能人の間では「経営者は忙しすぎるし、家庭を顧みない印象が強いので、離婚の不安が大きい」と避けたがる人もいます。

 もともと新川さんのように芸能人は年の差の概念が少ない傾向がありますし、接触機会さえあれば可能性はゼロではないのです。

■アラフォーの結婚は人生のリスクヘッジ

 これを読んでいる独身男性の中には、「何でそこまで結婚にこだわるのかわからない」という人もいるでしょう。

 「自由が減り、わずらわしいことが増えるだけ」「1人でいるほうが好き」「家事も困らない時代になった」などの理由は理解できますが、どれほど悠々自適に過ごしていようが、人生折り返しと言われるアラフォーの年齢にもなれば、備えあって憂いなし。

 加齢による「身体機能の低下、病気への不安、仕事での失敗、不本意な人事、友人が減る、その他の精神・肉体両面でのショックを含めて、それらをやわらげ合うパートナーを得る」という結婚の本質をどう捉えるのか?  すなわち、「残り半分の人生に対するリスクヘッジが結婚観に表れる」とも言えるのです。

 もちろん未婚者と既婚者に優劣はありませんし、どちらも自分の満足できる人生を送ることができるでしょう。ただ、ビジネスシーンでは令和の新時代になっても、「未婚者より既婚者のほうが信頼されやすい」ようなムードがあるのはなぜなのでしょうか? 

 それは一概に「頭の固い人による古い考え方」とは言い切れません。「リスクヘッジに対する考え方や、実際にリスクに見舞われたとき、仕事に影響を及ぼす」と思われているからではないでしょうか。その意味で、アラフォー男性が自由気ままな独身を貫くのなら、自分の人生に対するリスクヘッジを周囲の人々に知らしめておくべきなのかもしれません。

木村 隆志 :コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190821-00298317-toyo-soci&p=6