☆☆ローテク技術・・・世界最高の偉業。 | 真空管のアナログ世界に魅せられて

真空管のアナログ世界に魅せられて

「温故知新」と言う言葉が有りますが、真空管は将にそんな存在だと思います。真空管を今では知る人も少なくなりましたが、デジタル全盛の今でも、真空管のアナログ技術を学び、真空管ラジオを楽しむ人は沢山います。私もその中の一人です。真空管を愛しむ想いで・・・・。

船先日、日経新聞と思いましたが、「IBMが世界最速半導体・超低温下で現行の250倍の超高速半導体開発」と言うニュースを見て驚きました。


その内容を、もう少し詳しく紹介しますと、汎用半導体の素材となるシリコンに、少量のゲルマニュームを加えた「シリコン・ゲルマニューム」を使い、セ氏マイナス268度の超低温下で世界最高速の半導体を実現したと言う記事でした。


この場合、半導体を低温にする理由は、半導体として安定に動作させる為です。一般に、金属は、その温度を上げると電子が移動し難くなります。(電気抵抗が大きくなる。)半導体はこの逆で、温度が上がると半導体としての性質が低下して、安定した動作をしなくなります。)


私が驚いたのは、この現行の250倍の超高速も驚きですが、シリコンにゲルマニュ-ムを加えると言う事には驚きでした。両者は半導体の歴史からは、過去の素材と最新の素材の関係でした。私には、まさか、この両者が相交え、世界に誇る相乗効果を成すとは考えられませんでした


ソニートランジスタラジオ


先ず、半導体は1948年にアメリカのショックーほか2人の学者により、ゲルマニュームトランジスターが発明された事に始まり、シリコントランジスタへと発展、高速にして耐温度性能の向上、電圧に対する耐圧を向上させて来た歴史が有ります。現在では、ダイオードもトランジスターもシリコン材を使用しています。

このトランジスターを何個も集積した半導体が集積回路です。この集積回路をさらにその集積度上げるたものは、大規模集積回路(LSI : Large scale integrated circuit)と呼ばれます。大きいものでは10万個もトランジスタが組み込まれています。


トランジスターの製造の歴史は、素材のゲルマニュームとかシリコンの純度を上げる為の技術開発でした。当時、99.以下、7個の9が付くまでの純度(%)が要求され、半導体メーカはこの技術に凌ぎを削ってきた訳です。しかし、半導体として動作させる為には、この素材にほんの少しのヒ素とかアンチモンなどを添加します。


この目的は結晶の中を電子が自由に移動させる為です。

参考までですが、現在、このゲルマニュームは、健康に良い作用が有ると言われ医療に応用されています。免疫作用を活発にさせる効力が有るようです。


半導体の歴史から忘れられたかと思われていたゲルマニュームを、最新の半導体であるシリコンに加えることで、世界最高速の半導体を完成した言うのですからね。この成果は、例えて言えば現場を引退のローテク技術者の支援で世界最高の偉業を成したとも思え、感慨無量の思いでした。