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夫婦で考えた「ちょうどいい」予算の家
「そろそろ家を建てようか」
妻のその一言が
すべての始まりだった
私は35歳
妻も同い年で
子どもはまだいないが
将来を考えたとき
賃貸では不安があった
とはいえ
何千万もの買い物なんて
経験がなかったから
不安も大きかった
「いくらまで出せる？」
まず話し合ったのは
予算のことだった
年収や貯金を見ながら
生活費や子どもの学費も考慮した
「背伸びしても
後で苦しくなるだけだよね」
と妻が言った
私たちは
ハウスメーカーの展示場に行ったり
住宅ローンのシミュレーションをしたり
毎週末 家の話ばかりしていた
ある日
モデルハウスで営業の人に聞かれた
「理想の家に
どれだけお金をかけたいですか？」
私は答えに詰まった
「2000万なら安心だけど
3000万の家は魅力的」
そんなふうに揺れていた
妻がぽつりとつぶやいた
「私たちの“ちょうどいい”って
どこなんだろうね」
それからというもの
私たちは毎日
“ちょうどいい”について話し合った
家の広さ
部屋の数
使いやすさ
そして予算
SNSやブログを読み漁って
自分たちに必要なもの
不要なものをリストにした
結果
「収納は増やしたいけど
和室はいらないよね」
「天井は高い方がいいけど
吹き抜けは寒そうだよね」
「お風呂は大きくしたいけど
最新の設備まではいらない」
そんなふうに
現実的な折り合いを
少しずつつけていった
建築士さんとの打ち合わせでは
「この価格なら
壁紙は標準仕様の方がいい」
など細かい取捨選択を繰り返した
そしてある日
土地も間取りも決まり
最終見積もりが出た
税込で2730万円
「これなら
無理なく暮らせる」
妻と顔を見合わせてうなずいた
家づくりは夢のようで
同時に現実との向き合いでもあった
あれも欲しい
これも付けたい
そんな気持ちを押さえて
「これは今はいらない」
と引き算することが
私たちにとっての
“ちょうどいい”だった
住み始めて半年
この家は
広すぎず狭すぎず
お金も無理なく返せている
「ちょうどいいって
心が落ち着くよね」
妻がそう言った
何かを選ぶたびに
私たちはお互いの意見を聞いて
譲り合った
その積み重ねが
この家を作ってくれた気がする
家づくりに正解はないけれど
“ちょうどいい”を一緒に探す時間こそが
夫婦にとって
一番の財産なのかもしれない
あなたにとっての
“ちょうどいい”は
どんな家ですか？
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