2015年の安倍政権の功罪のまとめ
① 憲法は無視しても構わないということを明らかにしたこと
② 政権に批判的なマスコミはには「おしおき」をする
③ 経済は大企業中心に繁栄することが大事であり、「貧富の格差などはとるにたらないことである」というアメリカ流の経済政策を持ち込んだ
④ 世界秩序はアメリカの支配が正義であり、日本はアメリカの属国として生きることが正義にかなっている、という価値観を明らかにした。
①についてはもちろん、安保法制であり、またその後「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなけれ
ばならない」という憲法53条の規定を守らなかったことである。
②については、ご用記者集団に成り下がった記者クラブの存在と、まともに批判ができなくなったマスコミの責任は大きい。朝日新聞は戦争に加担したことを忘れたのだろうか。近年のテレビ報道の政治に対する消極さは目をおおうばかり。背後から圧力があるのではと疑ってしまう方もたくさんいるのでは。マスコミが頼りにならなければ、有識者が市民に対してまっとうな意見を述べる機会を市民運動として盛り上げる必要がある。
③ 大量の金融緩和と公共事業のばらまきを行ったにもかかわらず、2015年のGDPののびはおそらく0.3%程度と想定される。民主党時代には公共事業を削減したのにもかかわらず1%程度はキープできていたので、経済は確実に悪化しているということが言える。昨年は政府支出が増えているのにも変わらず民間支出は減少している。
中でも低所得層の増加は今後の大きな社会問題になることが予想される。
年収120万円以下の世帯(人ではなく世帯であることに驚愕)は15%となり、OECD加盟国30カ国中下から4番目である。日本の下には、メキシコ、トルコ、アメリカしかいない。お隣の韓国や経済危機にあるギリシャよりも悪いのは驚きである。金融緩和をやれば貧富の格差が増大するのは経済のイロハ。それに加えて非正規雇用の増加が拍車をかけている。
国民所得については興味深い(不快?)データが総務省より発表されている。
リーマンショック後国民調整可処分所得は約6%低下し、民主党時代のデフレによりこの低下した状態が続いていた。安倍政権になってからこれが2%程度持ち直しているが、リーマンショック前にはほど遠い。しかしながらこのうち政府関連の可処分所得の増加が半分をしめているので、実際に国民の可処分所得の増加は1%である。これでは消費増税と輸入物価の上昇に消費が追いつくはずがない。生活の実感が苦しいわけである。日経ビジネスのアンケートによれば、正規雇用者の中で生活が楽になったと感じる人はわずか7.1%であり、苦しくなったと感じる人は46.2%である。
④ 安保法制ではアメリカの先兵として自衛隊の役割を明らかにし、従軍慰安婦問題では歴史的な事実を曲げて国家の関与を認める、「将来の子孫にさらに負担をかける」決定をアメリカの要請の元に行った。誰が朝日新聞の悪口を言えるだろうか。
今年度は参議院または衆議院の選挙がある。有権者はしっかりと安倍政権の行ってきた功罪を見極めるべきである。
