SoLライター陣がおすすめするカルチャーアイテム。
今月のテーマは「秋の夜長に!眠れなくなるこの小説」!!

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パラレルワールド・ラブストーリー (講談社文庫)/東野 圭吾

¥780
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パラレルワールドとは、ある世界から分岐し、それに並行して存在する別の世界を指す。
量子力学では理論的に可能であることが述べられている。


もしあの時、主人からのプロポーズを断っていたら。
もしあの時、違う会社に就職していたら。
もし今日の昼食にかつ丼ではなく天丼を選んでいたら……。


誰もが一度は考える「自分が選択しなかった世界」。
それが現実に並行してどこかで存在するとしたら?
一見小難しそうで、SFちっくな設定の中でラブストーリーを展開することは出来るのか?
やはり東野圭吾は天才である。
非現実世界に誘うのではなく、我々が理解出来る範囲で、まことみごとに切ないラブストーリーを織り成している。


麻由子という女性が「主人公の恋人」である章と、「主人公の親友の恋人」である章が交互に続く。
そして最後に別の世界であるはずの話が繋がるのだ。
この小説を読むと、決して解くことの出来ないジグゾーパズルに挑戦しているかのように感じる。
それを東野氏は最後にいとも簡単に完成させてしまうのだ。
パズルが出来上がった瞬間、私は東野氏の才能に嫉妬するとともに、胸がえぐられるような切なさを感じる。
こんなラブストーリー見たことがない。


普通の恋愛小説に飽きてしまった方にぜひお薦めしたい。
読み始めると、最後まで一気読みをしてしまいたくなるので、繁忙期や、就寝前には注意が必要。
秋の夜長の読書タイムに加えていただきたい一冊である。



written by Kana