今日の一本 7
演者 仲代達也&和也
達也:そろそろサッカーワールドカップが始まりますね。
和也:楽しみやねえ。
達也:ワールドカップで印象に残った試合といえば1982年のスペイン大会の西
ドイツ対フランス戦ですわ。
和也:どんな試合やねんそれ?
達也:1対1の延長戦でフランスが2点追加して3対1になったのよ。
和也:それはもうフランスの勝利やんか?
達也:ところがドイツが土壇場で同点に追いついてPK戦にもちこんで勝ったん
ですよ。
和也:それはすごいな。
達也:逆転勝利ですよ。まさにゲルマン魂。
和也:でも僕が学生時代に体験した試合のほうがすごかったね。
達也:どうすごいねん?
和也:大逆転勝利でしたからね。
達也:ほな聞かせてもらいましょう。
和也:確か後半40分で5-0で僕のチームが負けてましてね。
達也:それはかなりキツイな。
和也:みんなで円陣を組みましてね。
達也:気合入れたわけやね。
和也:ここから伝説のはじまりですよ。
達也:どうなったんや?
和也:うちのチームのジョルジーニョ君がやってくれました。
達也:外人かいな?
和也:ブラジルからの留学生ですわ。
達也:それはたのもしいね。
和也:ゴールの右隅にシュートですよ。
達也:ここから逆転劇の始まりやな。
和也:6-0ですわ。
達也:自殺点かい!
和也:つい興奮しすぎたんでしょう。
達也:点差広がってるやん、大丈夫かいな?
和也:気を取り直してキックオフですよ。
達也:頼むで今度は。
和也:そんなこんなで敵チームがゴール前まで攻めてきましてね。
達也:ピンチやんか。
和也:もうこれ以上点はあげられんからね。
達也:そりゃそうや。
和也:僕のチームのキーパーはアジアの壁言われてますから。
達也:それは頼もしいわ。
和也:相手チームのシュートにすばやく反応して横っ飛びですよ。
達也:さすがやね。
和也:7-0ですわ。
達也:決められてるやん!
和也:反応が早すぎたみたいやわ。
達也:点差広がってるやんか。
和也:そんなこんなで気を取り直してキックオフですわ。
達也:いつ逆転すんねん。
和也:うちのチームのディェゴ君がやってくれましたよ。
達也:また外人かい?
和也:アルゼンチンからの留学生ですわ。
達也:それは頼もしいね。
和也:思い切り蹴ったがな。
達也:まともなのそいつだけや。
和也:バチコーン!
達也:やっと逆転劇の始まりやね。
和也:ジョルジーニョ君のケツを。
達也:何を蹴っとねん!
和也:「自殺点すな!」言うて。
達也:ボール蹴れや!
和也:ジョルジーニョ君泣いてましたからね。
達也:泣かんでもええがな。
和也:穴掘ってましたからね。
達也:どういうことやねんそれ?
和也:「もう祖国帰る!」言うてましたわ。
達也:何年かかるねんそれ!
お前のチームまともな奴おらへんのかい!
和也:そんなこんなで20-10ですよ。
達也:いつの間に逆転したんや。
それを聞かせてくれ言うとんねん。
和也:こっちのチームが10点ですよ。
達也:まだ負けとんのかい!
和也:まだ後半41分やもん。
達也:どんだけ密度濃い一分や。
和也:この話あと三時間かかりますよ。
達也:聞いてられるかいな。もうええわ。
和也:最終的には40対20で勝ちましたけどね。
達也:どんな試合やねん!
和也:相手チーム途中からやる気なくなってましたから。
達也:お前らが変なことばっかりやるからや。
和也:レジャーシート広げだしてくつろいでましたからね。
達也:戦う気あらへんがな。
和也:おにぎりQ食べとったもん。
達也:古いわ!
和也:一生忘れることできないね。
達也:いろんな意味でな。
和也:ほんまに一生忘れることのできないハンドボールの試合でした。
達也:サッカーの話ちゃうんかい!
君とはやってられんわ。
二人:どうもありがとうございました。