息子が小学生の頃、
それはそれは大変お世話になった英語教室の先生。

彼女は、今、遠い空の下、
インドネシアにいる。

去年の春、大きな決断をされて
インドネシアに永住することとなった。
ご主人は現地の人。
何年もの間、離れて生活をしていた。

彼女は、英語教室での収入で、
現地に住む人々とシェアハウスを建てた。
ご主人と共に、
幼少期から家族がいない子供たち(20名程!)と
生活をしている。

家族という存在。
「行ってらっしゃい」や
「お帰りなさい」という言葉をかけてもらえこと。
当たり前がこんなに素晴らしいということ…

子供たちに仲間ができ、家族ができた。
目標ができて、仕事をスタートする子供たち。
いっぱい笑って、騒いで、1日1日を謳歌する、
愛と優しさのエネルギーに包まれた彼女の様子を、
メールやSNSを通して知ることが、
とても楽しみだった。

そんな中、事態は一変する。
今回の世界的規模で拡大を続けている
新型コロナウイルスの影響は、
遠く離れたインドネシアの地にも
大きな大きな影響を及ぼしている。

バリは、170カ国の国々の外国人が
入国不可という時代が2ヶ月続くと発表された。
観光業&旅行業で生きている
彼女とその仲間たちは、
今後どう食べていくか、どう生きていくか、
という状態に。

地元の皆は、その日暮らしであり、貯金がない。
お客さんがいない限り手元に現金はゼロ。
シェアハウスやサーフショップの仲間たち含め、
餓死者がぐっと増えると言われているという…

彼女の蓄えで皆を支えていくしか生きる術がなく、
1日1食生活をスタートしているという現実。

聞けば、
彼女の日本への一時帰国は、
今ならギリギリ間に合うらしい。
ただ、チケット買い直し、
日本に数週間滞在できる現金があるなら、
子ども達やご近所さんに使おうと夫婦で話し、
現地に残ることにしたとのこと。

彼女は、
「自分自身の選択でここにいる。
本当に大丈夫!」と言う。

保存食を送ろうとしても、
まだまだ色々な意味で途上国のインドネシア。
荷物は、手元に届く前に取られてしまう。
実際、これまで荷物が届いたことはないという。

いざとなれば
山にいけばアヒルやドジョウがいる。
ジャングルで暮らしてきた仲間たちは、
生きる力と術は誰よりもある。
今は気持ち的にバタバタ&不安な子は多いけど、
きっと大丈夫。
むしろ心配させてしまってごめんなさい。
LINEの文字から彼女の優しさと強さが滲み出ていた。

私が住む日本も未曾有の状況。
外出自粛となり、
制約が増え、自由が奪われつつある。
スーパーで食材が一気に無くなった。
それでも普通に三食食べることができている。
これまでとは確実に違うけれど、
生活を送ることができている。

実は、彼女と私は同じ年。
助けたい、という偉そうなことは
とても言えないけど、
何かできることがあるんじゃないかと
何度も何度も考えている。

夜の散歩で見た桜。インドネシアには桜はないだろうな…