※これはフィクションです。刺激的な表現が苦手な方は読まずに通り過ぎてください。



それ、をはじめたとき、わたしは少し後悔した。


い、痛い・・・・・


「え~、マダ、なの~?」

「やだ~、もうとっくにだと思ってた~。」


そんな級友の声に、半ばムキになって、


「するわよ。済ませればいいんでしょ!」

なんて、売り言葉に買い言葉みたいに。


「そんなこと、さっさと済ませちゃうものよ。

処理よ、処理。いつまでもそんなだと野暮ったいわ。

終わってしまえば、こんなものか、って拍子抜けするわよ。」


って、クラスでも一番くらいに大人っぽい雰囲気のR子は、ふふっ、と笑いながら、言った。


・・・・・・・


それにしても、痛すぎる。

その、部分が、ひきつるような、痛み。


だんだん慣れてくるなんて、誰が言ったのよ・・・。


上、下への動きにつれて、痛みも脈を打つみたいに。


あ、・・・太すぎるんだ・・・。


わたしは、ふと、気がついてしまう。


ほかの子たちが、一体どんなふうに「処理」したのかは知る由もないけれども、

わたしの向き合ってるものは、太くて、そしてとてもたくましい・・・。


それは、その他の場面や場所でなら、逆に賞賛されるようなものなのかもしれないけれども。

今、たった今は、わたし自身を苦しめている。


その、やり方については、ずいぶん吟味したはずなのに。


あれこれ見て、選んで、それで決めて、今ここに、わたしと一緒の密室で行為している。

痛くなく終わらせるやり方、それでいて、はじめての自分が楽であるようなやり方を

選んだつもりだったのに。


あ・・・


痛みは増しもしないけど、引きもしないで、わたしはただ唇をかみしめる。


どうして、どうしてこんなこと、しなきゃなんないんだろう。


眉をゆがめながら、わたしは考える。

考えてはみたが、その答えは、「女であるから」としか見つからない。

おんなであるから。

おんな、でありつづけるために。


それ、をしないことで・・・それ、は端的な象徴でしかないのかもしれないけれども・・・

急速に年老いて見える中年以降のおんなたちのことを考える。

確かに、加齢によって、そんな必要がなくなる、とも言うけれども。


とにかく。

はじめての、それ、が、とにかく終わってくれることを、わたしはただ考えていた。

望んでいた。



痛いいたい痛いいたいいたい・・・。


・・・・・・・・



それ、が、終わって、


わたしは放心したように、コンセントを抜いた。


「痛みのない脱毛、すべすべの夏肌!」とパッケージに文字が躍っている脱毛器


嘘だ、こんなのうそっぱちじゃん、・・・そう思いながら、

太くてたくましいすね毛を全部抜きさって処理したわたしには、

きっと、それだけのごほうびのある夏がやってくるんじゃないだろうか。

そうじゃなくちゃやってらんないわよ!!!!



(一部ノンフィクション?)(そして一部反転させると真実があなたの前へ!)