この本に影響を受け、吉野先生の授業をLiveで受けるため、代ゼミ代々木本校に入った18歳の俺。

入学後、1ヶ月して…ようやくようやく…友達が出来た。

茶髪の明るい男…駒沢大学志望の古屋(仮名)と影のあるロン毛男…清水(仮名)である。

5月、6月は予備校をサボり、3人でファミレスでだべったり、新宿を遊び歩く日々が続いた。

そして7月が近づく頃。

“勝負”の夏期講習が来た。

概要が全く分からず、カリキュラムを組むのに苦心した俺はとりあえず古屋と清水をいつものファミレスに呼び出した。

だが、この日、清水は来なかった。

なぜか…電話も繋がらない。

この日以降、清水は唐突に俺と古屋の前から姿を消した…。

思えば、影のある男だった。

俺達は主に日大などのいわゆる日東駒専といわれるレベルの大学を志望するクラスだった。

代ゼミの中では多分、低いレベルのクラスである。

俺がこのクラスを選んだ理由は…なんとなく現役時代に日大を受けたからである。

当時の俺は大学受験にまつわる情報に非常に疎く、日大がなんとなく“普通”だと思っていたのである。

非常に安直な志望理由だ。

古屋も同じような理由で駒沢大学が志望だった。

清水は俺達に志望大学をきかれても答えようとはしなかった。

今、思えば、清水はプライベートの事になると途端に口数が少なくなっていたように思う。

余談だが…この後、秋くらいに1度、古屋が代々木近くのパチンコ店でパチンコを打っている清水を見たらしい…。

その時の清水は髪も髭も伸び放題で、負けていたのか、目もうつろだったらしい…

そんな状況だったので、古屋は声をかけなかったようだ。

が…とにかく清水は俺達の前から唐突に姿を消した。

非常に戸惑った俺と古屋だが、日々は否応なく過ぎる。

いつまでも2人でだべっていても仕方がないので…とりあえず授業に出る事にした。

この頃、古屋が偶然…高校時代の友達に会い、代ゼミ内の情報に俺達は少し詳しくなった。

古屋の友達の話を聞いて分かった事がある。

それは俺達より上のクラス。

つまり…いわゆる早慶上智、ICUなどを志望するクラスの方が圧倒的に先生に恵まれているという事。

俺達が授業をサボった理由は…俺達のクラスの講師陣のレベルの低さ?に原因があったんだ(笑)

と、自分勝手な解釈をした俺と古屋は、古屋の友達のクラスに潜り込む事にした。

潜入捜査員である。

予備校という場所は基本的に放置プレイの為、教科書さえコピーする事が出来れば…

なんとかなってしまうのである。

だが…古屋は早慶上智クラスのレベルの高さ?に挫折し、元のクラスに戻っていった。

俺は授業どうこうより…その魅力的な講師陣の人柄、授業の面白さにやはり惹かれた…

なかでも、俺が惹かれたのは早大現代文という授業を担当していた酒井敏行先生である。





先生の一つ一つの言葉、接続詞を丁寧に拾っていく、現代文の授業…

そして、雑談の時に話す映画・小説の話、先生自身の大学時代の話は俺を魅了した。

酒井先生は俺の興味の幅を大きく広げてくれた。

そして…俺はまたまたフェードアウトした(笑)

元のクラスに戻った古屋と少し疎遠になり…

酒井先生と吉野先生をはじめとするお気に入りの先生の授業以外はひたすら映画館と本屋に通いつめ、家で読書やDVD鑑賞に…貪るように没頭した。

この頃はまだTSUTAYAにはビデオも多かったかな…

ただ、自由な予備校生活とはいえ…どこか後ろめたい気持ちも当然あった。

その背徳感がたまらなく心地よかった(笑)

この頃はまだ受験の時期が遠くにあった為、浪人生活をエンジョイしまくっていたのである。

そして…勉学の面ではこれといった進歩のないまま…“勝負”の夏期講習は流れるように終了した…