“君が3回違う服装、違う髪型、違う化粧で…俺の前をすれ違っても、俺は3回とも声をかけてみせる”




俺の友人、Sさんに捧げます。






去年の七夕…俺は東京都のビジネス街にあるスロット専門店で働いていた。


そこは相当に自由な空気が流れていて…
従業員に社員・アルバイトの壁はなく、俺を含め、ほぼ全てのスタッフがお店の事を第一に考える事ができる素敵な空間だった。


俺は今でもその場所は、お客さんにとっても最高のお店だったと思ってる。


そんな自由な楽しい楽しい空気だったので、インカム(パチンコ店、居酒屋、カラオケ店などで、従業員同士が離れていても意思疎通をする為、会話ができる道具)も使い放題。

決してふざけているわけではなく、ホントに仕事を楽しんでいた。

そんな中、今日は七夕だという会話になり…俺はインカムで、仕事仲間に七夕の素敵な想い出の話をした。


『今年も乙姫に出会えるといいね』


『そうだな。』


そんな会話も夜のカフェバーでのバイトが終わる23時30分には、俺はすっかり忘れてしまっていた。


というか、夜の仕事の忙しさのせいで、今日が七夕であるという事さえ、忘れていた(笑)。


9時から23時30分までのWワークだったので、正直…素敵な出会いがあるなんて、少しも思っていなかったせいもある。


なぜかは覚えていないが、いつもと違う出口から地元の駅を降りた俺。


なんとなく入ってみたTSUTAYA。


去年の七夕のまさに終わり。


そこで。


乙姫に出会った。


彼女を見た時、1秒で声をかける声を決めた。


俺の地元に似合わないテイストのファッション。


彼女はグラマーですごくSexyに感じた。


TSUTAYAの前で彼女を待ち、声をかけようとした時に、ようやく気付いた。


彼女に声をかけるのが3度目だった事に…




最初に彼女に声をかけたのは2002年の冬。

場所は地元のセブンイレブンの前。

俺は当時、大学生だった。


2度目に彼女に声をかけたのは2004年か2005年の夏。

場所は地元の駅のホーム。


3度目に彼女に声をかけたのは2007年の7月7日…

場所は地元のTSUTAYAの前。

3回とも、洋服も髪型も化粧も全て違っていた。


俺は彼女に2度、声をかけていたが…2度とも断られていた。


2回目に駅のホームで声をかけた時、彼女は俺の事を覚えていてくれていた。

けど、俺は覚えていなかった…

途中で思い出した俺だが、思い出した事は言わなかった。


2度の断りの理由は彼氏と同棲していたから。


俺はわりとすぐに諦めていた。


彼女が彼氏をホントに好きな気持ちが伝わってきたから…


3度目に声をかける直前…“これで彼女に声をかけるのは最後にしよう”と決めた。


またも彼女は俺の事をすぐに思い出してくれた。


だが、やはり…断りの言葉を告げられた。


理由は前2回と同じ。


諦めかけた俺。


けど、もう少し話したいと思ったのは…3回話した中で3回目の彼女が1番タイプだったから。


その時の彼女は、過去の彼女よりも俺には輝いてみえた。


そのうち、彼女が卒業した中学校は俺が卒業した中学校の1番近くにある学校だという事が分かった。


俺は越境して中学校に通っていたので、近所には同じ中学校の人間はそう多くなかった。


だから彼女が俺の中学校の1番近くの中学校出身で嬉しかった。


さらに俺には中学校以来、1番仲良くしてる友達が2人いて、K君とI君と言うのだが…


彼女はI君と同じ高校、K君と同じ大学だった。


そして、住んでいる家も思った以上に近かった。


歳も同い年。


嬉しい偶然だが、ここまでニアミスすると自分の運命を嘆きたくなった…(笑)


しかも、話しかけたのは、ちょうど0時過ぎ…


日付上は7月8日…


ニアミスばかりしてきた俺達らしい日付だった。


そうして俺は3回目にして、ようやく乙姫と友達になれた。


俺はそれ以降、彼女にアタックはしていない。


純粋に友達として…メールをしたり、Denny'sで話したり…


彼女は長年付き合っていた彼氏ともうすぐ結婚する。


ダンサーとして仕事に誇りを持ち、さらにステップアップしようとしてる彼女…


俺もいつか誇りを持てる仕事に就き、好きな女と結婚して…

彼女とバーでお互いを語り合えるような、素敵な関係になりたいと思っている。


去年の七夕…こんなに素敵な出会いがあるとは夢にも思ってなかった。


俺の七夕の夜…想い出の2ページ目に黒い服を着たグラマーでSexyな彼女がいる。