かんぽの宿

第21回佐倉チューリップ祭




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朝日4.8 かんぽの宿

大山鳴動して何が残った
鳩山総務相が日本郵政グループによる「かんぽの宿

それは次のような疑問からだった
「売却先をオリックス不動産としたのは『出来レース』ではないか」
「売却価格が安すぎないか」
もし入札に出来レース、つまり不正行為があったなら、日本郵政の経営陣が法的に問われかねない話だ
総務省はその調査結果を先週末に発表し、日本郵政に業務改善命令を出した

しかし、そこであげられた16の問題点は、「収益改善に努めたあとで売れば、より高い売却額になった可能性がある」など、どれも改善が望ましい点や手続き上のミスにとどまった
意図的で悪質な「不正」と呼べるような事実は見いだせない

「安すぎる」に関しては、総務省は独自に不動産鑑定をし、売却対象となった79施設は推計「約250億円」になる、ときのう発表した

鳩山総務相の疑義はもともと、施設の購入・建設に2400億円かかったものを「109億円」では安すぎる、というものだった
だが、実際には建設時の10分の1に下がっていたと、総務省みずから認めたことになる

かんぽの宿

事業を続け正規・非正規従業員3200人の雇用も続けるのが条件なら、買う方の企業は「もっと安くなければ」と考えるだろう
109億円になったとしても不自然とは言い切れまい

かんぽの宿

その売却は「国民の財産の切り売り」というより、むしろ「破綻処理」の作業に近い
こうした潜在的な不良債権を抱えた事業を、国民負担が膨らむ前に政府から切り離すのが、郵政民営化の目標の一つだった

国会論議では、野党も「国民財産のたたき売り」と総務相に歩調を合わせた
たしかに個別に見れば、もっと高く売れた施設があっただろう
透明で、国民や自治体の納得が得られる売却手続きをとることも大切だ

ただ、売却が先に延びるほど赤字が累積し、国民負担が膨らむことも考えておく必要がある
総務省と日本郵政は今回の反省を踏まえつつ、早期売却へ向けて出直すべきだ

このように、調査結果も考慮して一連の鳩山総務相の指摘・指示を振り返ると、何が何でも「白紙撤回」を急いだことには、やはり疑問がある

かつて自民党の強力な集票マシンだった特定郵便局長会に期待して、今も民営化反対の動きが与野党にある
この騒動には、政治のにおいがつきまとう
それが民営化会社の経営をゆがめたとしたら、代償は小さくない


