健康についての呪法

【中国】の育児上の慣習と迷信
(永尾 竜造)
子どもは、 "宝貝" (おたから)なる愛称で呼ばれ、将来は家を継ぎ、祭事を継承する責任ある地位に立つ運命をもつので、その健康については、ひじょうな注意が払われる

子どもの病気や死の原因については、神に召されるばあいと、悪鬼魔にその魂を奪いとられるばあいとの二つを考えているようである

中国の寺院の神像をみると、その側近に多くの侍童が奉仕している

そこで、これらの侍童のうちに、病気になったり、あるいは神の命によって人間に転生させられたり、またはそのほかなんらかの事故で移動したりして欠員を生ずると、神は人間の子どもの中から選んでそれを補充すると考え、子どもが死ぬと神に召されたためだという

また鬼は早く人間に生まれ変わりたい念願をもっているので、その手段として自分の身代りになるべき子どもを捕え、その霊魂を奪って自分のものにしようとしたり、あるいは自分のなんらかの欲望を満たさんために子どもを殺すばあいもあると考えるのである

したがって、子どもの病気や死を防ぐためにはほとんど無数の呪術、呪法がおこなわれているが、それらはだいたいこの二つの原因を目やすにして考え出されたものが多い

