7‐2JR東海
週刊文春*10月30日号
*[企業の最前線をたずねる]*
JR東海 松本正之さん
世界で最も安全な
高速鉄道・東海道新幹線
の現在と未来
東海道新幹線は1964年の開業以来、47億人のお客様に利用していただいています。このことは世界で最も安全な高速鉄道であると高く評価されてのことだと思います。
しかし、気を緩めることはできません。地震などの自然災害にも備え、事故の可能性を限りなくゼロに近づけるためには、社員一人一人が「安全」という理念を日々持ち続ける必要があります。安全の要素には人的な要素と設備の要素とがあります。
ここに掲げている「安全鋼領」は当社の経営理念に並ぶ最も重要な安全に対する心構えです。国鉄時代に制定されたもので、安全についてはいかなる人もその人命については他の何よりも優先して守るべきという心構えと、それぞれの自覚と態度が必要であることを具体的に示しています。この精神を継続し持続させるため、当社の初代社長の須田が心をこめて筆をとったもので、各職場に掲げてあります。
一方、設備の面でいえば、代表的なものに「ATC‐自動列車制御装置」があります。これは先行列車との間隔など様々な条件に基づき、自動的に新幹線のブレーキを掛ける仕組みです。2006年より新システムを導入し、デジタル信号化などで、システムの信頼性を更に向上させました。
地震に対する対策でも1992年に世界に先がけ、地震動をいち早くキャッチし警報を発して列車を減速や停止させる仕組みを導入し、2005年には新しいシステム「テラス」を導入しさらに安全性を高めるとともに、高架橋の柱を太くする工事も進めています。
安全と同時に「安定」運行も大切です。東海道新幹線の一列車あたりの平均遅延時分は2007年度でわずか0.5分。世界でも類例のない安定した運行システムです。
5年前の品川駅開業は、お客様からすれば新しい駅がひとつ増えただけに見えるかもしれませんが、われわれにとっては、品川駅開業に合わせて、「新幹線を作り変えよう」というまさに「第二の開業」だったのです。全列車時速270キロ化、のぞみ主体のダイヤ編成などを同時に行うため、車両、変電所、レール補強など、すべてを約15年かけて作り変えました。その後、2007年度にはN700系車両を導入したように今も*みがき*続けています。
その結果、東海道新幹線の利便性、快適性はずっと向上しています。地球環境への負荷が小さく、省エネルギー効果も大きくなりました。さらに超電導リニアによる東海道新幹線バイパスを2025年に開業すべく努力しているところです。それが「第三の開業」になるはずです。
Alone Again
(Naturally)
杉山清貴
はなちゃん
*[企業の最前線をたずねる]*
JR東海 松本正之さん
世界で最も安全な
高速鉄道・東海道新幹線

の現在と未来
東海道新幹線は1964年の開業以来、47億人のお客様に利用していただいています。このことは世界で最も安全な高速鉄道であると高く評価されてのことだと思います。

しかし、気を緩めることはできません。地震などの自然災害にも備え、事故の可能性を限りなくゼロに近づけるためには、社員一人一人が「安全」という理念を日々持ち続ける必要があります。安全の要素には人的な要素と設備の要素とがあります。

ここに掲げている「安全鋼領」は当社の経営理念に並ぶ最も重要な安全に対する心構えです。国鉄時代に制定されたもので、安全についてはいかなる人もその人命については他の何よりも優先して守るべきという心構えと、それぞれの自覚と態度が必要であることを具体的に示しています。この精神を継続し持続させるため、当社の初代社長の須田が心をこめて筆をとったもので、各職場に掲げてあります。

一方、設備の面でいえば、代表的なものに「ATC‐自動列車制御装置」があります。これは先行列車との間隔など様々な条件に基づき、自動的に新幹線のブレーキを掛ける仕組みです。2006年より新システムを導入し、デジタル信号化などで、システムの信頼性を更に向上させました。

地震に対する対策でも1992年に世界に先がけ、地震動をいち早くキャッチし警報を発して列車を減速や停止させる仕組みを導入し、2005年には新しいシステム「テラス」を導入しさらに安全性を高めるとともに、高架橋の柱を太くする工事も進めています。

安全と同時に「安定」運行も大切です。東海道新幹線の一列車あたりの平均遅延時分は2007年度でわずか0.5分。世界でも類例のない安定した運行システムです。

5年前の品川駅開業は、お客様からすれば新しい駅がひとつ増えただけに見えるかもしれませんが、われわれにとっては、品川駅開業に合わせて、「新幹線を作り変えよう」というまさに「第二の開業」だったのです。全列車時速270キロ化、のぞみ主体のダイヤ編成などを同時に行うため、車両、変電所、レール補強など、すべてを約15年かけて作り変えました。その後、2007年度にはN700系車両を導入したように今も*みがき*続けています。

その結果、東海道新幹線の利便性、快適性はずっと向上しています。地球環境への負荷が小さく、省エネルギー効果も大きくなりました。さらに超電導リニアによる東海道新幹線バイパスを2025年に開業すべく努力しているところです。それが「第三の開業」になるはずです。


(Naturally)

