『３ちゃんねるを救え！』

見ずにすませる

ワイドショー

連載315

♪石原の父が来た

石原の兄が来た

そして裕次郎の部下がいる――なんて戯れ歌、ウルトラマンタロウの主題歌の節で繰り返し始めた真夜中あたり、新宿も外れの呑み屋の主人によると、「それ何の歌？」と尋ねたら「石原の三男の選挙の応援」と答え、また寝入ったらしいが記憶がない。

で、後日のマスターの証言を続ければ、「それがまたガバっと起きて、ＴＶつけてよって。何チャン？

って聞いたら、３チャンって言うから、こりゃホントに酔い切ったなって思ったんだけど、アレ、面白かったね、『高校世界史』」。

ここで○――全国には３チャンと言やＮＨＫ総合って地域も多いけど、関東山梨福井岡山では３チャン＝ＮＨＫ教育。そう、ワタシ、教育テレビフェチなんです。

とはいえ昔から世に教育テレビかぶれは珍しくない。変な髪形と同じで、高校出たあたりで一度はハマる。物心ついてから初めて平日の昼間に暇ができて、それまでロクに見もせず小馬鹿にしてた番組に触れたら一発感染、昼も下宿でゴロゴロ教育テレビ。ネットもケータイもなかった一昔前には珍しくない絵だった。

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もちろん、就職その他で忙しくなると教育テレビ離れするんだけれど、それは昼間の話。暗くなって酒でも入りゃ、「おーい！はに丸」やら「さわやか３組」やら「小４理科」やらのネタで盛り上がる。

ただ、最近は事情が変わって、教育テレビ熱の流行には、かつての「狭く深く」に「広く浅く」が加わった気がする。中高生までハァハァしたり、年寄りが「趣味悠々」に惹かれたり。原因はいろいろあるだろな。学校に行かない仕事がないヒマはあるテレビは元々あるって層が増えてるし。

ＮＨＫの努力も大きい。萌え系のアニメや子供番組を増やすわ、敷居の高い「人間大学」を間口の広い「知るを楽しむ」に替えるわ、料理や介護、園芸にＤＩＹの実用方面を充実させるわ、そしてもひとつ、深夜の再放送を拡大充実させるわ。政府広報化と民放化が進んだＮＨＫ総合よりはよっぽど使えるし、他チャンネルでは絶滅した素材さウブさもまだなんとか残存してる。

その教育テレビの深夜放送をＮＨＫは10月から金土日、短縮するそうな。理由は二酸化炭素輩出量の削減――会社も役所もエコ騒ぎしてはみせるが、二酸化炭素減らすのに本業まで絞るお人好しは奇特。新聞が薄くなるのは広告が入らないせいだし、サラダ油の容器が縮んだのは原料が値上がりしたから。新聞社も油脂メーカーも環境のこと考えて紙や油減らしたわけじゃなく、それはエコのためですなんて綺麗ごとも言わない。

なのにＮＨＫときたら、唯一の存在理由たる放送時間を削るうえに、理由がエコ。嘘つけ。チャンネル持ちすぎって批判をかわしたい、視聴率の取れない放送は止めたい。経費削減したい。それが本音だろ。