友人が亡くなった。
高校の時からの仲の良かった友人が亡くなった。
高校時代、部活ばっかりで
学校の行事やクラスの活動とは全く無縁。
高3で部活が終わると
すっかりやることがなくなってしまって
本当なら、受験勉強に切り替えるはずが
燃え尽き症候群で無気力だった。
クラスでは、高校最後の文化祭を成功させようと
盛り上がっていたのに
これまで学校行事には
全く関わってこなかった私は
自分の居場所が見つけられず孤立した。
でも、同様に感じていたのは私だけではなく
「私たち、何にもしていないよね〜」
という女子が、私を入れて自然と5人。
凡人すぎるよねと笑い合って
5人のグループに「5凡人」という
訳のわからない名前をつけて
一緒に集まって遊んだり勉強したりするようになった。
そのうちの1人のRちゃんの
おばあちゃんの家が
佐賀市では、中心街と言われる場所にあり
それが、広くて素敵な洋館で
高校から近い場所にあったのと
おばあちゃんが、とても素敵なおばあちゃんで
私たちが遊びにくるのを楽しみにしてくれるので
いつしか、そこは5凡人の溜まり場となった。
楽しかった。
部活一筋で、友達と遊びに行ったりということを
あまりしたことのない私は、
気心知れた同級生と他愛のない話をして
ふざけ合って、笑い合って
悩みを打ち明けたり、聞いたりして
そんな「ふつう」の時間がとても楽しく
そして、とても貴重だった。
卒業後も、私たちは機会あるごとに集まった。
全員が結婚して
全員が子どもを産んで
女子高生だったのがいつの間にか
いい歳のおばちゃんになって
それでも、機会あるごとに集まって
笑い合って、馬鹿話して
5凡人は、相変わらず凡人で
高校時代と、全く変わらなかった。
最後にみんなで集まったのは
もう何年前になるだろう?
福岡に住んでいる私は
高校時代を過ごした佐賀は
お隣りではあるけれど
やっぱり、ちょっと遠くて
会社をするようになってからは
時間が思うように取れなくなって
ここ数年
5凡人会に参加する回数が減ってきていた。
Rちゃんに最後に会ったのは、多分5年前。
真面目で、几帳面で、しっかりしているようで
ちょっと抜けていて
いつもニコニコしていて
笑うと目がなくなって
正直で、誰からも好かれる性格のRちゃん。
それこそ、つい何ヶ月か前に誘われたのに
その時も行けなくて、会えなかった。
最後に彼女と会った時、別れ際に
「かずよは、かっこいいね〜」
と笑顔で声をかけてくれた
何がかっこいいのかわからないけれど
私は照れ臭くて「も〜Rちゃん!」と言った・・・
今思うと、彼女と交わした
それが
最後の言葉。
先日の夜、まだ外で仕事の打ち合わせをしていた私に
5凡人の中でも、特にRちゃんと仲の良かったKちゃんから電話。
周りに人がいたし、打ち合わせ中だったので
その時は、電話に出ることができなかった。
胸騒ぎがした。
嫌な予感がした。
出ようと思えば出れないことはなかったのに
出ては行けない気がした。
楽しい報告やお誘いなら
いつものように、多分、LINEで連絡してくるはず。
ドキドキした。
そして、即座にRちゃんに何かあったんじゃないかと
意味もなく、直感のようなものが走った。
打ち合わせが終わり、覚悟を決めて折り返そうと
スマホを開くと
LINEに
Rちゃんの「訃報」の連絡が添付されていた。
交通事故だった。
日課の犬の散歩中、横断歩道を渡っていて
左折してきたトラックにはねられた。
意識不明の重態だったけど
力尽きて亡くなったと。
信じられなかった。
呆然・・・ということは
こういうことを言うのか
その後、自分がどうやって家に着いたのか
その時のことを、あまり覚えていない。
というか、そんな受け入れられるはずもない。
お通夜とお葬式が終わった。
遺影のRちゃんは、いつものように
とても穏やかで優しい顔で、笑っていた。
今年、初孫を抱ける予定で
東京に住む娘さんの家に
手伝いに行かなきゃと、張り切っていたらしい。
ご主人が亡くなった後
女手1つで2人の娘さんを立派に育てあげた。
体力をつけなきゃと
最近、ジムにも通いだしたと。
これから自分の人生を・・・と言う時。
運命は残酷すぎる。
残酷すぎるよ。
人は必ず死ぬ。例外なく死ぬ。
そして、明日が必ず訪れると言う保証もない。
そんなこと、誰だって知っているし
頭ではわかっている。
でも、神様、いきなりよ
ある日突然にどうして?
悔しい気持ち、辛い気持ちに
自分自身が、向き合いきれずにいる。
棺に中で冷たくなったRちゃんを囲んで
残された4凡人は、肩を抱き合って号泣した。
お別れしたくなくて。
友人が亡くなった。
ある日、突然に。
どんなに悔やんでも悲しんでも
事実を変えることのできない無常さ。
天国という場所が
本当に存在するのなら
彼女は大好きだったご主人と再会できただろうか?
再会して、向こうで幸せにしていると思わなきゃ
こっちの世界にまだいる私たちは
どうしようもないよ。
5凡人が、4凡人になったじゃないか。
「かずよ、かっこいいね」
Rちゃんにかけてもらった最後の言葉の通り
あなたに恥じないように
「かっこ悪い」と笑われないように
私も残りの人生を、精一杯生きていく。
出会ってくれて、ありがとう。
たくさんの思い出をありがとう。
大好きだよ。ありがとう。