最近読んだ本
谷崎潤一郎
「細雪」中・下
一年に一回は読み返したくなる「細雪」。いいかげんネタを覚えてしまったが、それでも読む。
それにしても谷崎はこいさんに厳しいよな。
そんなに悪い女じゃないと思うんだけど。
こいさんかわいそう。と読むたびに思う。
林芙美子
「林芙美子随筆集」
これもときどき読み返す本のひとつ。
特に「貸家さがし」「朝御飯」がお気に入り。
「日記」のなかの一節、「生活を切り売りしているかのような貧しい踊り方であった」というくだりでポンと膝を打つ。
四季で感じたこととおんなじ。
林芙美子
「下駄で歩いた巴里」
これも再読。でもこっちはそれほど優れた随筆ではないと思う。
事実、地名の羅列で、林芙美子ならではのちょっとした生活に見いだすきらめきみたいなものに乏しい。
マーガレット・アトウッド
「昏き目の暗殺者」
何重もの入れ子構造になっている複雑な小説である。
一番外側は、82歳のおばあさん・アイリス・チェイスの一人称。現在のトロント郊外での一人暮らしが語られる。
その内側は、アイリスが目下取り組んでいる手記。アイリスの子ども時代から結婚生活までの回想。
その内側は、アイリスの死んだ妹・ローラの死後出版である小説「昏き目の暗殺者」。金持ちの夫人と左翼活動で逃亡中の男との不倫。男は三文小説を書いて生計を立てている。
その内側は、男が夫人に語って聞かせる寝物語。ザイクロンという星を舞台にしたSF。
それと並行して、アイリスの新婚時代近辺の新聞記事が挿入される。アイリスはリチャードと結婚した。リチャードは当時トロントで最大規模の新興企業の社長だったので、その言動や社交がいちいち新聞に取り上げられていたというわけ。
大きなプロットは、ローラが遺した「昏き目の暗殺者」の本当の作者は誰か? というもの。
しかしこれは、物語の半ばで答えがわかってしまった。
なんか、アメリカやカナダの80年代あたりの純文学を読むとよく感じることなんだけど、性に関するタブー、ことに、結婚にまつわる性に関するタブーを扱った作品って、今となっては古くさい感じがする。
たいていの場合、それはピューリタニズムと絡んで、時代錯誤的な厳格な性の教え(性を絶対悪とみなす考え)という形をとる。
で、たいていの場合、そのタブーをおかす、性的に奔放な(あるいは倒錯的な性癖を持つ)人物が出てきて、問題を起こす。
文学において、性は重要なトピックだとは思うが、それをこのように扱うスタンスは、古い。
この本が書かれたのは2000年なのに、やっぱり性に対するスタンスは80年代(とそれ以前)から進歩していなくて、そこが、私には食い足りなかった。
それにしても、こういう性とキリスト教をからめた英米文学を読むたびに思うんだけど、やっぱり、むこうの人は、相当に性欲が強いんだろうなあ。
強いからこそ、ここまで厳しく、うるさく、宗教の力まで使って統制しようとする。
そうしないと、大変なことになってしまうんだろう。
で、この本の感想に戻ると、とにかく読み応えがある。
大著ではあるが、ストーリーテリングが巧みなので、飽きずに最後まで読める。
ただし私の好みからいえば、暗くて、鬱陶しくて、人生に対して斜にかまえすぎている。
カナダの小説にはこういうのが多い。
すごいとは思うが(本当に)、好きだとは思えない小説。
劇団四季「キャッツ」
過日、大崎のキャッツシアターにて、キャッツ。
友人が、チケット余ったから行かない? と誘ってくれた。
生まれて初めての劇団四季である。
空中ブランコ、側転、バック転。
終始アクロバティックな動きで驚く。
歌は、はっきりいって、下手だった。
特に、メモリーを歌ったネコ(というか人なんですが)が下手で、台無しだと思った。
四季は、ジャンプとか足上げとか、身体能力を使った舞台に力点をおいているのかな?
歌の稽古はおろそかになっている感じ。
セリフがほとんどなく、ずーっと踊っているか歌っているかなので、歌が下手で、歌詞を聞き取れないと、ストーリーについていけない。
あと、英語の歌詞を日本語に翻訳しているので、どうにもぎくしゃくした、こなれていない日本語が多くて、それも、歌詞を聞き取れなかった原因のひとつだと思った。
アンドリュー・ロイド・ウェーヴァーの曲はたしかによかったけれど、それは四季の手柄じゃないし。
キャッツは、ブロードウェイで二回みた。
それと比べても詮無いけど、四季版は、猫らしい動き、身体能力という点では、本場にひけをとらない素晴らしい完成度。
ただし歌は全然ダメ。
そして、一人一人が自分をめいっぱいアピールする、持てる力を全部ぶつけて観客に挑む、という熱さ、舞台ならではの一回性といったものも、はるかに及ばないと思った。
ブロードウェイは、下手な演技をすればすぐに首が飛ぶ厳しい競争社会。
翻って四季は、安定が保証された仲間うちで、あたりさわりなくやっているだけだから、仕方ないことなのではあるけれど、そういう悪い意味での商業主義、ほどほどにやっておけば安泰、みたいなヌルさが、舞台にもやっぱりあらわれてしまって、全体としてピリッとしたところのない、予定調和的な、可もなく不可もない平均的な芝居になっていた。
いってみれば、すでに完成されたブロードウェイミュージカルというものに、劇団四季ならではの新しい何かを何らつけ加えることが出来ていなかった。それどころか、水準が下がっていた。
エンターテインメントに徹するのか、芝居という芸術に身を捧げるのか、そこらへんの覚悟もあいまいで、プライドばかりが高そうで、なんか、日本の演劇界の底の浅さをみた感じ。
結論:やっぱり宝塚ですよ!!(え?)
最近読んだ本
貴志祐介「硝子のハンマー」
庄野潤三「山田さんの鈴虫」
庄野潤三「野菜讃歌」
庄野潤三「庭のつるばら」
庄野潤三「孫の結婚式」
谷崎潤一郎「細雪」上
マイケル・クライトン「ディスクロージャー」
スティーヴン・キング「ミザリー」
小谷野敦「恋愛の昭和史」
花ファントム
昨日は、姉と花組ファントムを観てきた。
チケットを手配して下さったのは、ベルばらの時と同様、某一流企業の某とってもエラい人。
ベルばらは、一階五列目どセンターという素晴らしいお席だったが、今回は、一階四列目どセンター!!
いや~、春野サンの髪の毛の一本一本までバッチリ見えた。
あまりに舞台に近すぎて、逆に、ソデ近くでけなげに踊ってる下級生の組子たちまで視線が届かず、ときどき、顔ごとぐいっと左右に向けて、ソデの動きを見ていたくらい。
で、感想はというと、ほんっとに素晴らしかった!!
オサさん歌うますぎ!!
声量がある、音程がしっかりしている、というだけではない、あたたかく包み込むような歌声で、もうあの歌声に身を委ねるだけでふぅーっと別世界に連れて行かれてしまうような、何ともいえない気持ちよさがある。
オサさんが歌がうまいというのはさんざん聞いて知ってたけど、まさかこれほどとは。
ただうまいっていうのとは違う、不思議な心地よさ。
終盤の見せ場、キャリエールとの銀橋デュエットではまんまと涙してしまった。
演技も、ファントムの純粋さ、哀しさをうまく表現していたし、何というか、表現したいものがちゃんとあって、それを表現する技術もちゃんともっている人だと感じた。
キャリエール、フィリップなどもそれなりにがんばってはいたけど、もうオサさんだけ別格、別次元でやっているという感じ。
読んだ本
9月14日
川上弘美「あるようなないような」
可もなく不可もなく。できごとそのものの描写ではなく、思考を抽象的に、理屈っぽく語る文章が多いのだが、そなると途端につまらなくなる。この人は論理的思考は苦手のようだ。
池上夏樹「スティル・ライフ」
素晴らしかった。
最近読んだ本のメモ
9月?日
三浦しをん「まほろ駅前多田便利軒」
この人の小説は初めて読んだけど、これほど浅いとは。
森絵都「風に舞い上がるビニールシート」
これも深ぶってるけど浅い。だいいち日本語がヘン。
金原ひとみ「amibic」
わけのわからない迫力、切実さ。セリフもうまい。
桐野夏生「アンボス・ムンドス」
「グロテスク」の小手試しで書いたかのような冒頭の短編を読んだだけで気分が悪くなった。悪意もただ悪意だけでは救いがない。
川上弘美「ゆっくりさよならをとなえる」
何度読んだかわからないがまた読む。何度読んでもいい。
9月12日
ヘミングウェイ「老人と海」
福田恒存の解説がよい。
「ヨーロッパ文学によって養われてきた私の文学概念からすると、現代のアメリカ文学はどこか間が抜けているといった感じがするのです。」
「ふだん自分は世俗的な行動をとっているが、それらは世間で普通に受け取られるような意味とは違う自分独特の動機や理由があってやっているのだと力んでみても、我々はその人の個性を信用するわけには行きません」
谷崎潤一郎「蓼喰う虫」
相変わらずのなめらかな日本語が心地よい。オチを楽しみに読みすすめたのにオチがつかずに終わってしまった。
08/04/06
借りた本
スチュアート・ダイベック「僕はマゼランと旅した」
読み終わらなかったので。たぶんそのうち買うと思う。
サラ・パレツキー「ブラック・リスト」
V.I.ウォーショースキーシリーズは、「ハード・タイム」以降、新作をチェックしていなかった。そうしたらあるわあるわ。三冊も出ていた。
サラ・パレツキー「ビター・メモリー」
V.I.ウォーショースキーシリーズの、私が読んでいない三冊のうちの二冊目。
レアード・ハント「インディアナ、インディアナ」
どうして読もうと思ったのか忘れたが、読みたい本リスト(日頃、読みたい本をリストアップしてプリントアウト している)に入っていたので。
桐野夏生「光源」
一冊くらいは息抜きが必要。
リクエスト到着(夫のカード)
三崎亜記「となり町戦争」
返却予定日8月18日
夫のカードのリクエストを一冊入れること。
サラ・パレツキー「ウィンディ・ストリート」
宙組博多座
きのう、宙組「コパカバーナ」が開けた。
すんごくいいらしい。
行きたい。
でも行けない。
博多だから。
さすがの夫もタカラヅカを観に博多まで行くと行ったらいい顔をしないだろう。
いい顔をしないどころか怒り出すに違いない。
はぁ。
貴城けい&紫城るいのお披露目公演なのに。
博多でしかやらないのに。(それが一番のガン)
