ニューヨークでGogoボーイをやってて、これは僕がいつも心がけてることなんだけど、


それは、主役はお客さんで、そしてゴーゴーボーイのポジションは、ドラァグクイーンのバックダンサーだから、


自分が自分がとしゃしゃり出るべきではないと思ってるんだよね


もちろん、ちゃんと目立つべきときには目立つべきなんだけど、ていうか仕事で踊ってるのに、いるんだかいないんだかわからないようじゃ意味ないんだけど、


僕たちはヒップホップダンサーではないし、バレーダンサーでもない。頭を地面に付けてクルクル回ることもない。


あくまでゴーゴーダンスで、ゴーゴーダンスはフロアにいるお客さんが踊るのを促す役割。


お客さんと一緒に踊ったり、なんとなく場に馴染めてない風のソロの人がいたらその人もなんとなくカラダを動かしたくなっちゃうとか、友だちと来てるお客さんたちでも会話に飽きてる風だったら一緒に踊ってみたくなっちゃうとか、そういうのを促す立場なのであって、けっして自分が主役ではない。


そもそもダンサーは同時にたくさん踊ってるから、あんまり大きな動きをしたら周りのダンサーに手や脚があたりかねないわけで、なのでゴーゴーダンスというのは、自分の立ってるポジションから大きくはみ出さない範囲で自分を表現すべきなのだと思う


というのは僕が当初から心がけてることなんだけど、これは単なる心掛けとか、こうあるべきみたいな話を超えていて、それは実際に利益を最大化するために必要なことだと思う


つまり僕たちは趣味で踊ってるわけでも、お客さんとして遊びに来てるわけでもなく、仕事としてその場を借りて金を稼いでるのだから、やるべきことは、自分が見せたい踊りを披露することじゃなくて、つねに優先はお客さん


さっきも言ったけど、お客さんが一緒にカラダを動かしたくなる動きをすべきなんよね。


その意味で、日本の伝統芸能のひとつであるパラパラはまさに理にかなっていて、


パラパラって、別に難しい動きがあるわけでもないし、まぁ誰でも真似できるわけやん


そして、長時間踊ってても疲れない。


なのに、四つ打ち系にはピタッとハマってて、見栄えもそれなりにする。


いかにもナイトシーン的なエロい動きもありつつ、頭を激しく動かさないからヘアスタイルも崩れない。


その意味で、パラパラってかんぺきだと思うんよ



ていうか、歴史的な経緯を辿れば、パラパラがそもそもゴーゴーダンス由来な気がする


昔のゴーゴーダンスは、いわゆるディスコでゆるくカラダを動かしてた女性ダンサーのやってたもので、


その意義はまさにお客さんを踊らせること。


DJも同じだけど、仕事の本質は、フロアにいるお客さんの気分をよくさせて滞留時間を長くすることで、結果としてお酒をできるだけ多く頼んでもらうようにすること。


それがDJの役割なわけだけど、ゴーゴーダンサーも同じで、フロアにいるお客さんに気持ちよくなってもらって、できるだけ長くお店に滞在してもらって、するとそれだけお酒も頼むから箱自体が儲かる。


そして、タイのゴーゴーボーイなんかはパンツに付けた番号札で客席のお客さんに指名されて店外に連れ出されて、ホテルでちょめちょめしてカネを稼ぐわけだけど、


ニューヨークのゴーゴーボーイは店外指名がないから(実際には事実上みんなやってるんだけど、、)オフィシャルに稼ぐ手段は、バックスペースでのラップダンスということになる。


ラップダンスというのは、お客さんの膝の上で股間やケツすりすりするセクシーなダンスのことで、ニューヨークでは法令上、これが限界なんよね


あくまでセクシャルアクティビティではないですよ、という建前になる。


なので、フロアでダンスしてるゴーゴーボーイは、お客さんに指名されてプライベートルームに行き、ここで稼ぐことになる


課金は時間制だから、ゴーゴーボーイはみんな、いかに長くお客さんとダンスするかに命をかけている。


なので、表ではステージで踊ってるだけだけど、裏ではエロティックなダンスというか行為をしてるから、バーの中にいるだけだと見えないんだけど、裏ではなかなか過激な行為が繰り広げられてて楽しい世界が広がってるんよね


そんなわけで、僕たちゴーゴーボーイはフロアで踊ってるときに自分のことを気に入ってくれるお客さんを見つけて、バックスペースに一緒に行けたら、仕事としては勝ち。


お客さんもためらわずにGogoボーイをバックスペースに誘ってくれたらなと思うよ。


もちろん僕たちからも誘うけど、しつこくしたら迷惑かなとか考えて、意外とこちらも気を遣ってるんよ?笑


南米バキバキガイとか遠慮とかしなそうだけど、同僚として彼らを近くで見てると、意外と人見知りっていうか、繊細なところあるんよ


なので、一回打ち解けちゃえばめっちゃフレンドリーなんだけど、そこまでにはちゃんと壁があるみたいな。


そんなわけで、話は二転三転したけれど、


お客さんはもちろんだけど、いろんなボーイ友だちと絡めるとこが、この仕事の楽しみだよね、というのは、前の記事で何度も書いてる話。