きのうも通常出勤。


バーでのダンサーの仕事の前に、ミッドタウンのとあるホテルに出張で呼ばれてそこで初見のお客さんと会った。


お客さんはアメリカの某都市から出張でニューヨーク来てた人。


僕はこれまでの出張経験で、マンハッタンの昔からある主要ホテルはほぼ網羅してるから、今回の出張先も名前を聞いただけで場所とフロントの構造と部屋の雰囲気をすぐに思い出した。


とくに入り口からフロント、そしてエレベーターへの導線は大切。


ビジホ系の小さめのホテルだと入り口入ってすぐ正面がフロントというパターンがある。すると、一人で入っちゃうとフロントスタッフにどの部屋に行くのか聞かれるから、迂闊には言えない。お客さんは一人分で予約してる可能性が高いから、いちおうホテルの規約上は、ID登録してる客しか客室には入れてはいけなくて、そうじゃない場合はラウンジなどのオープンスペースでミーティングしてくださいというのが建前だからだ。アメリカのホテルは1人で泊まろうが3人で泊まろうが料金は同一で、客室の規模によって収容人員の制限があるものの、その人数までなら値段は変わらないけれど、ボーイ側としてはわざわざID登録することは避けたい。なぜなら、チェックアウトの際に明細に宿泊者の名前として記載される可能性があるからだ。


もう一つ気をつけるべきは、エレベーターに客室の鍵をかざさないと客室フロアに上がれない場合も多い。こういうときはロビーまでお客さんに降りてきてもらわないといけない。


ボーイがまず配慮すべきはお客さんのプライバシーだから、出張先のホテルの構造によって事前にお客さんに確認しておくべきことが変わってくる。部屋番号と名前をフロントスタッフに僕から伝えてもよいかどうかとか、ホテル入り口の外で待ち合わせるか、ロビーで待ち合わせるか、それとも部屋へ直接行ってよいかどうか。


こうしたことを事前に確認しておく必要があるから、ホテルの導線を事前に把握しておくことはけっこう重要なのだ。


お客さんは当然ながらホテルと何か面倒なことになるのを一番避けたいだろうから、これは大事なポイント。逆に言うと、ボーイの側からしてもそうした意味でちゃんとしたレベルのホテルへの出張は一定の安心感がある。つまり、ホテル側とちゃんとやりすごしたいお客さんと、お客さんとちゃんとやりすごしたいボーイとの利害が一致するということ。


そもそも一定水準以上のホテルに宿泊してる時点で、そのお客さんには一定の信頼がおける。まず金銭的な余裕がなければ泊まれないはずだし、出張で会社が経費を出しているとしても、そうしたホテルに経費が出せる会社ということは一定以上の財力のある会社なわけで、つまりざっくりいうと資産なり会社のポジションなり、守りたいものがある人であるはずだから、するとそういう人がもっとも恐れるのはつまらないトラブルであって、そうしたトラブルとボーイに支払う金額なりボーイと過ごす時間の中身とを天秤にかけたときに、下手なことはしないはずなのだ。


だからこそ、ボーイ側は服装から振る舞いからかなり気を配らなければならない。


マンハッタンのある程度の水準以上のホテルのロビーをうろうろしても浮かないくらいの小綺麗な身だしなみは当然だし、お客さんに対する言葉遣いや振る舞いがみっともないのはあってはならないことだ。


あとは、客室で直接お客さんに会う場合、ホテルの下に着いたら入り口に入る前に必ず連絡を入れる。


約束の時間の少し前にホテル周辺に到着して、ホテルの前を一旦通り過ぎて場所とフロントの様子を確認しておき、その後、約束の時間になったらホテルの外からお客さんに連絡して、返信が来たら部屋へ向かう。部屋への到着は約束の時間から1分から5分以内くらいがベストで、やっちゃいけないのは、大きく遅れるのはもちろんダメだけど、逆に約束より早く行っちゃうのは最悪。逆の立場で想像すれば当たり前なんだけど、お客さんは忙しいスケジュールの中でボーイを指名してるはずで、すると約束の時間の直前には仕事のミーティングが入ってたりする可能性がある。部屋にもしかしたら仕事関係の別の人がまだいるかもしれないし、オンラインミーティング中かもしれない。にもかかわらずいきなりボーイが訪ねて来たらかなりマズいことは想像がつく。だから、約束の時間より微妙に遅れていくのがベストだし、かと言って5分以上遅れると、それはそれで終わりの時間に響く。ボーイと会った後に予定が入ってるかもしれないわけで、そうしたお客さんの文脈を想像したうえで、ボーイは最適な振る舞いをすべきなのだ。いつも言うけど、ボーイはあくまで非日常の存在なので、お客さんの日常場面にヒョッコリと顔を出してはいけない。


そんなわけで、ホテルの構造を把握しておくことは大切という話なんよね。


とはいえ、マンハッタンはここ数年で新しいスポットがいくつか誕生してて、とくにハドソンヤードと呼ばれる地域やハイラインなどの周辺にオシャンティーホテルが爆誕してるから、そういう新しいとこはまだ行ったことない。だから行ってみたい、、パパぁ〜呼んで〜!笑




まぁ、それは置いといて、


とはいえ新しいホテルでもそのランクによってシステムはだいたい一緒。ベルボーイが入り口に立っててもベルボーイに挨拶以外に何か聞かれることはないし、フロントスタッフも、ランクの高いホテルほど何も声を掛けてはこないから素通りできる。安いホテルだと、フロントを素通りしようとするともめる、、笑(とはいえマンハッタンの中での比較的安いホテルはぜんぜん安くないんだけど)


具体的に言うと、ホリデーインとかハンプトンインみたいな、インと名の付くホテルはランクが高くないから(何度も言うけど、値段は安くないし、造りも悪くないけど、あくまでマンハッタン内での比較の話)、そういうホテルのほうがかえって気を使う。だからお客さんに事前に会い方を確認しておく。


昨日の出張先は世界展開してる超メジャーな高級ホテルだったから、入り方はスムーズだった。


例によってホテルの外からお客さんに到着の連絡をし、部屋へと直接向かった。


部屋の前では、ホテルによっては部屋ごとに呼び鈴が付いてる場合もあるけれど、付いてない場合も多い。


呼び鈴がついてるかどうかを確認して、ついていればそれを一回押す。間違っても連打しちゃいけない。。笑笑


呼び鈴がついていなければ、ノックを指の骨の一番硬いところで3回叩く。このとき、軽く高い音で3回叩く。日本ではノックは2回だけど、アメリカではノックは3回。強く叩きすぎたらダメ、、笑


このノックが、お客さんの日常から非日常へ切り替わる合図になる。それはできるだけ穏やかでスムーズなほうがよい。


なんでもそうだけれど、生活していて事故るのはいつもなんらかの境目なのだ。境界を跨ぐ時、事故のリスクが最も高まる。たとえば、道を歩いていて事故に遭うリスクが高いのは、道を横断する時。つまり、道路という境目を渡る時なのだ。


車ならば、交差点。クロスする道路を渡る時だ。


部屋で水漏れするのはフローリングと壁との隙間。つまり、フローリングと壁との境目だ。


騒音問題で住民と揉めるのは、夕方から夜の境目や、夜から就寝時刻の境目だ。


進路に悩むのは、高校を卒業する時。高校生と大学生や社会人との境目だ。


つまり、生きていて最もリスクが高まるのが境目。逆に言えば、それが境目であることをちゃんと認識して、境目で細心の注意を払えば、そうじゃないときはそこそこ気を抜いたとしても大きな事故にはならないはずなのだ。


ボーイの仕事も同じで、お客さんとの接点では要所要所に境目というものがある。


そうした境目を意識することは、接客上、超重要。


というわけで、ドアをノックする瞬間は、まさに自分の行動でお客さんの日常を非日常に切り替える境目だから、超重要。


誰もが経験があると思うけれど、ノックはやり方によっては不快な場合がある。とくに、ドスドスと叩かれたら不快なはず。だから、軽く高く3回ってそういうこと。


4回叩かれるとイラッとする、、僕なら笑笑



さて、その後、部屋の中に耳をすますと、人が動く気配がする。このあと、普通はドアの向こうから覗き穴を使ってお客さんはドアの外に立ってるボーイを確認するはずなのだ。


だから、ここで気を抜いてアホ面してちゃいけない、、笑


不機嫌な顔しててももちろんダメ。


かといってニタニタしてたら気味が悪い。。


フラフラしてたらだらしない。


キョロキョロしてたら怪しい。。笑



そして、ドアに近すぎると覗き穴を確認できないからお客さんは不安なはず。


なので、ドアを軽く高く3回ノックした後、ドアから斜め後ろに2歩下がり、覗き穴の正面から少しノブ側にズレた位置で、覗き穴より下のほうを見ながら穏やかな表情を作って待つ。


このとき、鼻くそほじったり目ヤニとったりしてたらいけない。鼻くそはエレベーターの中でほじっておくこと。。



30秒ほど経っても反応がなければ、お客さんに連絡してみる。あまりノックを繰り返すのはよくない。なぜなら、直前に連絡して部屋に訪ねてノックしてるのに出てこないということは、そもそもお客さんが連絡した部屋番号が間違っているという可能性もある。関係ない部屋に訪ねていって中から人が出てきて、お前誰やねん?って話になったらややこしい。しかもお客さんが部屋番号勘違いしたとしたら、それは本当の部屋の隣とか向かいのはず。そうした部屋に訪ねていってその部屋の宿泊客と揉めてたら、お客さんは気まずい。ボーイはその部屋に数時間か長くても翌朝までしかせいぜい滞在しないが、お客さんは連泊してる可能性があって、ホテルに泊まってる時はできるだけ周りの宿泊客と廊下などで顔を合わせたくないものだ。だから、お客さんの勘違いとはいえ、ボーイが違う部屋に訪ねていってたりしたらバツが悪いに決まってる。なので、出てこないときは何度もノックするのではなくてお客さんに連絡するべき。


さて、無事にドアが開いたとき、ボーイはお客さんに会えた嬉しさを伝えようとしてその場でハキハキと挨拶しがちだが、これをやってしまうのは素人、、笑笑


ベテラン娼夫なら、廊下では一切声を出さない。



なぜなら、僕たちボーイとお客さんは、いつも密会だからだ。




ドアから顔を覗かせたお客さんの目を見て満面の笑みを浮かべ、お客さんの誘導に従って部屋へ入っていく。


そしてお客さんがドアを閉めた瞬間に、Hi, I’m ◯◯! と、トーン高めに言う。


すると、お客さんも名前を言ってくれるはずだから、Hi, ◯◯! Nice to see you! と言いながら右手をお客さんの右手の前に、自分の手のひらを上に向けて、指をしっかり伸ばして差し出す。


するとお客さんは握手してくれる。


手のひらを上にして差し出すのは、あなたのことを敬ってますよ、というサイン。たとえば王室のお姫様に手を差し伸べる際には、お姫様の手を下から優しく支えるはず。あれと同じ発想で、ボーイの側は握手するとき手をやや下気味から差し出すべき。そうすると奥ゆかしい印象になる。上から行ったら高圧的になる。もちろん、これはキャラによりけりだと思うけど、少なくも僕のボーイとしてのキャラはゴリゴリ系ではないので、柔らかい印象をキープしたい笑


そして指をちゃんと伸ばして手のひらを差し出す理由は、あなたに会えて嬉しいですという積極的な印象づけをするため。指がだらしなくまるまってると、なんか残念な感じが出てしまう。指がちゃんと伸びてれば、あなたに会えてめっちゃうれしいんよっ!!という印象になるはず。これは普通に考えたらわかるはず。アメリカではとくに、ボディランゲージは大きくはっきりと緩急をつけることが大切で、中途半端な動きは自信がないように見えるだけでなく、不機嫌そうに見える。声のトーンや声量もそうで、小さい声でボソボソ言うと、不機嫌そうに見られる。ボーイでもGoGoでも、不機嫌そうに見えるのはもっともNGなことで、たとえ自分にその気がなかったとしても相手に違和感を与える表情や態度は片っ端から排除すべき。


もしお客さんが名乗らない場合は、May I ask your name?とか、How should I address you?などと聞いてみる。


What’s your name?でも失礼ではないけれど、これだと本名を聞いてるみたいなニュアンスだと僕的には感じてるので、お客さんによっては本名じゃなくてニックネームにしておきたい場合もあるだろうから、What’s your name?とは僕は聞かない。


How should I address you?だったら、聞いてるのは名前ではなくあくまで呼び方なので、ゲイ名を答えてくれてもいいわけだし、


May I ask your name?ならより丁寧で、名前を教えてくださいではなくて、名前を伺ってもいいですか?だから、相手が言いたくなければ、嫌です、、と答える余地があるにはある。。笑


とはいえ、ふつう名前聞かれて、嫌ですという客はいない。笑笑



てかそんな客いたらこっちから帰るわっ!!!



まぁ、出張の場合はすでに名前は聞いてるから、こちらから名前聞くシチュエーションというのはバーでお客さんと話す場合だね。。



さて、、


部屋に入ると、普通は荷物を置く場所を指示されるからそこに置く。指示されない場合は、ここに置いてもいいですか?と聞いたうえで、なるべく玄関に近い場所に置く。これは、部屋の奥にいけばいくほどお客さんの心理的なプライベートスペース度合いが高くなるから、まだ出会ったばかりのボーイにあまりズカズカと侵入されるのは違和感の原因のはず。だから、なるべくソトに近い場所に置く。別の理由としては、最悪トラブルになって逃げざるを得ない場合に、出口に近い場所に私物はまとめて置くべき。もう一つは、ボーイがバスルームにひとりで残る時間帯は私物に目が届かないから、バスルームは玄関脇にあることが多いためバスルームから近い場所に私物を置いておくべき。


この時点で、ポケットの中身はすべてカバンに移しておく。いつベッドに押し倒されてもいいようにするためだ。お客さんが外しにくいベルトなら、事前にさりげなく緩めておく。


部屋に入り荷物を置くとほぼ同時に、普通はお客さんの方から、何か飲む?と聞いてくる場合が多い。


いや、これも逆の立場なら、いくら客とは言え、わざわざボーイを呼び出して部屋まで来てくれたんだから茶くらい出すだろよ、、笑


僕が客ならそうする。


で、実際ほとんどのお客さんはそう聞いてくれる。このとき、基本的には僕は、


May I have the same one as you?


と言う。


意味は、直訳すると、


ねぇ、パパ〜、ボクも同じもの飲みたいなぁ〜♡


になるのだが、この回答にはいくつかの意義が同時に含まれている。


一つは、自分のほんとに飲みたいものをいきなり言ったとて、それが部屋にあるかわからないから、そもそも選択肢を聞きたい。


もう一つは、相手の好みを把握すること。つまり、お客さんはワインが好きなのかウォッカが好きなのか、それともお酒は飲まない人なのかなどを把握しておきたい。


そして一番大事なのは、お客さんとの共感性を高めることで親近感を増幅したい。つまり、人は同じ格好をしたり同じ行動をしたりすると距離が縮まる。一緒に住むとか一緒に旅行するとかペアルックを着るとか。


こうしたきっかけは小さいところから拾って地味に積み上げていくべきだから、飲み物を聞かれた時はチャンスの到来であって、できれば同じものを飲みたい。


ワインなら一緒にボトルを開けたいし、スピリッツなら割りものも同じにすれば味の感想を共有できる。ボーイにとってすべての行動は、次の指名につなげるためのチャンスなのだ。


本当に飲みたいものは、自分の時間に自分の金で買って飲め、、笑笑




さて、とはいえお客さんは、なんでもいいんだよーと言ってくれる場合が多い。そんなときは、迷わずお酒を頼む笑


これは単純に僕が酒好きなのと、もう一つは、お客さん的には酔わせて淫乱にさせたいだろうし、実際僕は酔った方が淫乱になるので、酒を頼む。あとは、酔わなきゃやってらんねーよ、という本音もある。。笑



とはいえ、酔い過ぎると勃たなくなるのは、ベテラン娼夫ゆえの悩みではあるので、飲み過ぎには気をつける。。悲



あとは、部屋を褒める。


景色を一緒に眺める。


膝をさする。


顔を見上げる。


など、国際ウリ専ボーイとしての定型構文を網羅する。。


ただし、部屋を褒めるときに、具体的に褒めてはいけない。具体的に褒めるのは嫌らしい。抽象的に褒める。


えー、高そうなおっ部屋ーっ♡


とか言っちゃうとバカ丸出しなので、言うなよ笑笑


まぁ、バカなフリしたほうが可愛い場合もあるけど、ほんとのバカだと思われるとその後まともな場所に連れていってもらえない可能性が高いから、僕はやらない。


僕のボーイとしての昔からのコンセプトは、


お客さんが仕事仲間の飲み会に連れていっても大丈夫なボーイ


なのだ。つまり、ベッドの上では淫乱だけど、外に一緒に出かけたらちゃんとしてるべき。。もちろんこれはキャラ設定の問題なのでみんながそうあるべきだとは考えてないけど、僕は過去の経験上、高単価の客層を掴んで、体力と精神力を温存しつつ売り上げを最大化していくためにはそういうキャラであるべきだと考えたからそうしてる。


だから、服装も髪型も言葉遣いもかなり気を使う。特に言葉遣いは、日本語でも英語でもかなり意識してる。


あとは、歩き方に人格は現れる。間違っても靴音をカツカツと鳴らして歩くようなみっともない振る舞いをしてはならない。ちゃんとしたレストランとか一緒に行ったときに靴音鳴らしてるヤツとか想像しただけでマジでヤバいだろ、、


僕が客ならそんなボーイとは一緒に出かけたくない。。笑



とにかく、まともな客が一番恐れるのは、変なヤツに巡りあうことなのだ。


だから、まともなお客さんに多くつきたいのなら、変な振る舞いをやっちゃいけない。一緒に歩いてて恥ずかしいとか不安感与えるような振る舞いをやっちゃいけない、ただそれだけだね。


そういう意味で、さっき言ったように、


職場の人間に会わせても大丈夫なキャラを演じる


ってことがけっこう大事だと思ってるんよね。



まぁ、実際に僕がだいじょぶな人間なのかだいじょばない人間なのかは知らんけど、、、




要するに、


変なことするのはベッドの上だけってことー!😜