中国東方航空の昆明発の便が山中に墜落したという報道があったけど、


過去記事でも取り上げたことがあるとおり、

中国東方航空って普通に利用したことあるし、比較的嫌いじゃないキャリアだったので、衝撃だったんだよね。


そもそも中国東方航空というのは、

中国民用航空総局という機関が

かつては中国の航空関連のあらゆる事業(許認可から管制から空港の営業から飛行機そのものを飛ばす事業まで)すべてを一手に請け負っていたところ、

お役所的な機能と航空会社としての機能を分割しましょうということで誕生した航空会社のひとつ。


要するに日本で言うところの

国鉄がJR○◯という形で各地に分散しましたみたいな話で、


北京拠点は中国国際航空、

広州拠点は中国南方航空、

そして上海拠点が、この中国東方航空。


中国東方航空は、コロナ前は

ニューヨークのJFKから深夜1:45発くらいの上海便が毎日運行されていて、


中国東方航空の本拠地である上海浦東国際空港経由で成田にも行けたので、僕も何度か利用したことがある。


何度かどころか、乗り継ぎを1回とカウントするならば、過去に乗った回数はざっと数えて14回。


一時帰国で、

JFK→成田の往復で各2度乗り継ぎという便を使ったことが一度、


そして、

別のときには、一時帰国ついでに遠回りしてベトナムのハノイに2泊したときに使ったのが一度。


ベトナムのハノイに行ったときの旅程は、


JFK→上海

上海→南寧

南寧→ハノイ


ハノイで2泊3日したあと、


ハノイ→昆明

昆明→上海

上海→成田


そして日本滞在が終了し、


成田→上海

上海→JFK


という、物好きすぎるルートだった。


過去のメールを調べてみたところ、

ハノイに行ったのが2017年のことだったので、5年前の出来事らしいけれど。


そのときの体験はというと、


各乗り継ぎ地では天候不良などが度々あり、

後続便への変更などがあった。


さらに、

上海→成田の便に乗るとき、

これで次はようやく日本だとホッとしながら搭乗したところ、

全乗客の搭乗が完了し扉が閉まり、


おそらくコクピットではグラウンドの管制からタキシングの許可を待っていたところ、


当時の上海空港が混雑していたために、

なかなか許可が下りないまま

成田の営業時間が迫ってきてしまい、


このまま飛んでも成田に着陸できません、というアナウンスがあり、


そのまま深夜の上海空港に乗客全員降ろされたのだった。


ただ、これに関しては、どちらかというと悪いのは成田空港で、


日本の首都を背負う巨大ハブ空港でありながら、24時間離発着できないことのほうに問題がありそうなので、

このエピソードをもって中国東方航空のサービスがよくないという話にはならない。


さらにいうと、

そもそも成田空港の利便性が悪いのは、

三里塚闘争などの話に遡るわけだから、

成田空港のせいばかりとも言えない。


とはいえ、どんな事業であれ、

対立する利害を調整するのが政府の役割なのだから、こういうときこそ当時の政府はうまくやれなかったものかとは思う。


時代の節目節目で政治がグダグダだと、

そのときはやり過ごせたと思っても

後々尾を引いて国力を削ぐということにつながるのだと思う。


三里塚闘争の是非に関しては、全体の利益を考えれば空港建設に協力すべきというのが良心的な立場かもしれないけれど、

戦後に苦労して成田の地に移住してきて、原野から身一つで耕して、ようやく農作物が採れるようになった矢先に、やれお取りつぶしだと言われれば、反感を持つのもやむをえないとは思う。


とはいえ、そうしたいたいけな市民を、

なんらかの主義主張のために利用して声を増幅した側面も事実として否定できないかもしれないから、そうした面も総合的に考えれば、

三里塚闘争および周辺の活動に関して簡単に是非を言うことはできまい。


ただ、さっきも言ったとおり、

そうした利害の対立を責任をもってバシバシと斬っていくのが政治の役割なのであって、

その政治的判断に関してはのちに選挙や司法の場で是非が検討されるべきなのが本来の手順のはずだから、事情はどうであれ、なあなあに建設が長引いた挙句に使い勝手が悪い国際空港として鎮座している隙に、アジアを代表するハブ空港の座を韓国の仁川空港などに手渡したことは日本にとって大きな痛手であることは間違いない。


上海で飛行機を降ろされながら、そんなことをボチボチと考えていた。


その後、

中国東方航空が手配した大型バス何台かに乗客は詰め込まれ、深夜の高速を30分くらいだっただろうか、走行して到着した味気ないビジネスホテルに宿泊させられることになったのだ。


ちなみに翌朝の便はこの時点でアサインされておらず、


明日発表します!


みたいなノリだった。


しかも、どういう方法で発表されるかもわからず、とりあえずチェックインをして部屋に詰め込まれたのだった。


さて、夜はもう遅かったし、周辺に店などあるような場所ではなかったので、すぐに眠り、


翌朝は廊下が騒がしいので目を覚まし、扉を開けると、なにやら人がバタバタと行き来しているのだった。


気になって僕もとりあえずフロントへ行ってみると、すでに何人かはトランクを引っ張って集まっているではないか。


フロントの人に尋ねると、案の定、空港行きのバスがまもなく来るから用意して集まれ、という話だったのだ。


そんなわけで慌てて部屋へ戻り、

荷物を持ってロビーに集合した。


これって、廊下のバタバタに気づかなかったら乗り過ごしてるパターンだよなー、と思った。


けどまぁ、上海→東京便は1日に何本も飛んでるだろうから、航空会社側にしてみれば、仮に乗り過ごしても次の便に乗せてやるよ、くらいなものだとは思う。


そういうわけで、トラブルはあったものの、

航空会社側のミスというわけでもないし、

トラブル対応としてはとくに大きな不満はなかった。


また、中国東方航空は機内のサービスも普通に親切だし、何よりもチケットが破格だった。


たとえば、ニューヨーク→成田の往復で、

中国内で途中2度の乗り継ぎがあるものの、

エコノミーで$470、ビジネスで$1600という価格設定だった。


ちなみにビジネスクラスはこの価格ながら180度フルフラットシートが採用されており(快適かどうかはともかく)、横にはなれる仕様になっていた。


そして上に書いた、ハノイを強引に経由するコースでは、


全行程込みでエコノミーで$1499だった。


ちなみに運賃が破格だったのは、単に中国元の為替レートの関係が大きいと思われ、整備費を削るなどで捻出している可能性は考えにくい。なぜなら整備工程はメーカーにより厳密に定められているはずだからだ。


というわけで、

中国国内での乗り継ぎさえ苦でなければ圧倒的な安さと標準レベルのサービスで充分に検討の価値ありな航空会社だったのだ。


乗り継ぎ地の上海浦東空港の中国東方航空ラウンジも、体育館のように巨大な2フロアを大胆に使った作りで、あまりラグジュアリーとは言えないものの、仮眠から食事からマッサージ(チェアだけど...)まで充実しており、乗り継ぎ時間が多少長くてもそんなに疲れない。


というわけで、中国東方航空は悪くなかったよと伝えるつもりでここに実体験を書いてみたのだけれど、あらためて書いてみると、むしろ不安を増幅させてしまったかもしれないと思った…。


やっぱりまともなキャリアじゃなくない?と。


しかし、中国東方航空を利用することは決して危険な賭けなのではなく、ぜんぜん普通にメジャーなキャリアであったことをこのあと続けて説明したいと思う。


というのは、

中国東方航空はスカイチームというアライアンスで、スカイチームはアメリカだとデルタ航空、そのほかアジア系だと大韓航空や台湾の中華航空など、ヨーロッパ系だとアリタリアやエールフランスなどが加盟している世界の3大アライアンスの1つだ。


スカイチームには残念ながら日系の航空会社はないのだけれど、中国東方航空は日本が誇るJALと直接提携をしている。


2社が直接提携しているということは、各社連合であるアライアンス以上に密な調整が可能な場合もあり、提携先として相応しいか日本航空側としても充分に検討した上で提携しているはずなのだ。


事実、日本と中国を結ぶ路線を中心に、中国東方航空と日本航空はコードシェア便を運行している。


コードシェア便というのは自社の便名で他社便の座席を販売するシステムで、世界中でごく一般的な販売方法だけれど、これができるということは、自分の会社の看板をぶら下げても恥ずかしくないというお墨付きが与えられた証拠である。


たとえばニューヨーク→東京便で

JALだと思ってチケットを買ったのに、

運行するのがアメリカン航空でガッカリしたという話はよく聞く。

(JALとアメリカンは同じoneworldというアライアンスだから当然のようにコードシェアをしている。)


ちなみに僕としては、日系航空会社は全般的にサービス過剰なのと、時代遅れの性別役割分担を見せつけられるのが心地よくないので、(あとスーツ着た出張サラリーマンの態度でかいオッサンを見たくないので)できれば避けたいと思っている…


話は逸れたが、

たしかに、どうしても日系航空会社が良いという人がJALだと思って買ったら実はJALの機体じゃなかったとなれば、それなりに戸惑う気持ちはわかる。


ニューヨーク→東京便の場合、直行便は数が限られているから、現地在住などでよく利用する人にとっては出発時刻を見ればJAL運行便かアメリカン運行便かはだいたいわかるけれど、

はじめて旅行で来る場合などに、どうしても日本航空がいいという人もいるかもしれない。


まして、チケット販売サイトでJALとアメリカンが並んでいたときに、アメリカンの方が若干安かったのにわざわざJALを買った人にとっては、蓋を開けてみたらアメリカン航空に乗せられたのでは、戸惑いというよりは失望と怒りに近いかもしれない。


そんな方のために、いきなりだけれど、

ちょっとしたトリビアをひとつ書きたいと思う。


それは、4桁の便名のうち、最初の数字が0で始まっている便は自社運行便で、1〜9で始まってる場合は他社運行便だよ、という見分け方。

地味だけど、この方法はかなり使えると思う。


たとえば、

JL0987便とAA6543便が出発空港と行き先と、出発時刻と到着時刻が同じだとしたらこの2便はコードシェアで、

JLの便名の数字の頭が0だから、

この便の運行はJALの機体で、クルーもJALの人ですよ、という意味になる。

ということは、JALに乗りたいけどチケット販売サイトでAA6543便の方が安く売ってたら、AA6543便を買えばお得にJALに乗れるということになる。


そしてもちろん逆もしかり。


こうすれば、チケット予約サイトでコードシェア便かどうかの表記がない場合でも確実に選べるはずだよ。(※たぶん国際線のみ。あと、すべてに当てはまる保証はありません。)


さて、話は飛んだけれど、


そういうわけで、

中国東方航空は、どこぞの怪しいマイナー航空会社というわけでは決してなく、

中国を代表するメガキャリアであるだけでなく、

日本航空もお墨付きを与えている航空会社だし、

デルタやエールフランスなどとアライアンスを組む、搭乗客数世界第7位の巨大航空会社なのだ。


そんなメガキャリアが、今回の甚大な航空機事故を起こしたと聞いたから、極めて衝撃的だったのだ。


まして、巡航中に起きた事故らしい。


報道によると、

高度29000フィートあたりを飛行中に、たった3分間で地面まで降下したとのこと。

これはほぼ真っ逆さまに落ちていったに近い。

(その後の報道で、1分半程度だったとの情報もある。)


旅客機の通常のアプローチでは、降下角は3〜3.5度前後が一般的で、この降下角にしようとしたときに、縦方向に分速900フィート前後で降りていくとして、


こんなに緩やかに降下してても、乗客は高度を下げていると感じるはずなので、3分間で20000フィート以上(仮に地面が海抜9000フィートほどだとして)降下したというのが、いかに異常かは容易に想像がつくと思う。


つまり、ほぼ直滑降に落下したということで、

このことから考えられるのは、

空中分解くらいしかありえないということだ。


何が言いたいかと言うと、


今回墜落したB737-800という機体は

エンジンが2つなので、

仮に1つのエンジンが爆発したり火災が発生したとしても、第1エンジンがダメでも第2エンジンで近くの空港くらいまでは飛べるはずなのだ。


また、2つのエンジンが同時に止まる可能性については、2つのエンジンはシステムが独立して動作するようになっているから、そもそも同時に止まることは考えづらいし、

仮になんらかの稀な状況で同時に止まったとしても、翼が無事である限り、グライダーのように降下してくればよいのだから、最悪でも砂漠や海に不時着を試みるはずなのだ。


僕のような自家用軽飛行機の訓練1年生でさえ、最初に教わることは常に非常事態の対応についてで、万が一エンジンが止まったときの対応は、Pre take-off briefingと言って、離陸前に毎回確認する。


たとえば滑走路を走り出した後にエンジンが爆発したとして、滑走路の残りの距離がまだ長いときはこのスイッチを切って、この弁を閉じてブレーキを踏む


とか、


飛び上がっちゃった直後にエンジンが止まった場合はとりあえず速度を何ノットにする、


とか、


かなり細かく具体的に場合分けして対応が決められているのだ。


しかもどんなに慣れたとしても毎回離陸前にシミュレーションすることが義務付けられているのだ。


つまり、自家用訓練1年生ですら緊急時の対応が訓練内容の半分かそれ以上を占めているのだから、


プロのエアラインパイロットならば緊急時対応の訓練は嫌というほど繰り返しているはずだし、むしろ仕事の大半は、操縦というよりは緊急時対応のシミュレーションにあると言っても過言ではないと思う。

つまり、それくらい厳しい訓練を繰り返しているはずなのだから、巡航中に人為的ミスが発生するとか、仮にエンジンが2つ止まったくらいで真っ逆さまに落下してくるということは考えづらい。


もちろん、エンジンが止まって結果的に墜落することはありうるけれど、あくまでグライダーのように降下してきて着陸寸前で失敗するならまだわかるという話で、3分で20000フィート以上というほぼ直滑降は考えづらいのだ。


となるとありえるのは、機体そのものが爆発したというパターンだけれど、


中国東方航空で、今回の墜落機が飛び立った昆明空港も利用したことがあるけれど、ボディチェックなど含めてセキュリティが特別に甘いという印象もなかった。


むしろ、使い捨てライター1本からペットボトルドリンクまでしっかり回収された。(つい立ての裏で係官がやたらペットボトルドリンクを飲んでいたのは、たぶん偶然の話…)


少なくも自爆テロがダイナマイトを巻いて搭乗できるほどチェックがザルだとは思えないのだ。


すると自爆テロ説も可能性が低く、

となると、致命的な整備不良による空中分解説というのがあり得る線なのかという気がしてくる。


というわけで、今回の事故により特に衝撃を受けた点は、


①中国を代表するメガキャリアによるメジャーな路線での事故

②空中分解レベルの大きな欠陥がなければ発生しないはずの事故


という2点になる。


そしてここから、不可解な仮説が浮かび上がりはしないだろうか。


鍵は、今回の事故がアメリカのボーイング社が製造するB737という機体で発生していることにあるのかもしれない。


ボーイング737といえば、

数年前に墜落が相次いだ

最新鋭の737MAXという機体があるのだけれど、


この737MAX墜落事故の経緯を簡単に言うと、

12500ポンド以上の重量の航空機とターボジェットエンジン搭載の航空機を操縦するにはType ratingといって、機種ごとの免許が必要なのだけれど、これを航空会社のパイロットがいちいち取り直すことになると航空会社にコストがかかりすぎるので、すでに一番普及している737の基本仕様を踏襲する形で、エンジンとか中身のシステムだけをアップグレードして作られたのが737MAXという機種なのだ。これで機体メーカーと航空会社の利害が一致する。


ところが古い設計に最新鋭の巨大なエンジンを無理矢理付けてるものだから、重心位置が後退し、バランスが崩れて機首が上がりやすくなってしまい、その結果失速しやすくなったため、

強制的に機首を下げて失速を回避するプログラムが搭載されたのだけれど、そのプログラムの過剰反応によって異常に降下し墜落するという事故が相次いだのだ。


そして、機体の構造的な改修は行われないまま、プログラムのアップデートのみが行われてアメリカでは飛行する許可が降り、昨年から実際にふたたび飛び始めた。


僕も昨年737MAXに乗ったけれど、機体の外観は旧型機と変わらないから目新しくはないものの、中身は最新鋭の技術が詰まっており、ふつうに快適だった。


ところが中国では、未だにこの737MAXの運行が許可されていないのだ。


そしてこのことは、技術的な問題というよりも、米中貿易戦争の一環という見方が強く、もはや外交的事案になっている。


アメリカ側としては中国の嫌がらせを早くやめさせて、737MAXの運行を再開しろと迫っている状況なのだ。


その矢先の737-800の空中分解レベルの大事故である。(ややこしいけれど、737MAXと737-800は異なる機種で、今回墜落したのは737-800)


ちなみに中国東方航空のフリート(保有機材の構成)は、保有する全550機あまりのうち、

フランスのエアバス製がおよそ370機ほど、

アメリカのボーイング製がおよそ170機ほど、

そして残りがこれから導入予定の中国国産の機体らしいがそれはごくわずかだそう。


この中で、737MAXはいまだ運行停止が継続しているし、さらに今回の事故により737-800も運行停止になったらしい。

ちなみに737-800の保有数は111機とか。

その他、姉妹機である737-700は39機。

つまり合計すると、737系統が中国東方航空のフリートのうちのアメリカ製の機体の大半を占めるということになる。


すると運行停止の機材を補填するためにボーイングに新たに発注することは考えにくく、当然フランスのエアバスに大量発注する流れができるのではないか。

(ロシアに発注説も考えてみたけれど、中国東方航空のフリートにロシア製の機体は1機もないようなので、整備などを考えると新たに導入することは考えづらい。)


中国はロシア対応を巡ってアメリカ始め西側諸国と睨み合いが続いている真っ最中であり、

今後ロシアに対して中国が支援を続ければ、アメリカは経済制裁を強めることを明言している。


アメリカが経済制裁を強めれば、ヨーロッパの西側諸国も足並みを揃えざるをえない。


そんなときに、フランスに工業製品を大量発注する布石を打っておけば、西側諸国が経済制裁に足並みを揃えるのを妨害できることになりはしないだろうか。


さらに、ボーイングは言うまでもなくアメリカの基幹産業の一つである航空機製造の最大手であり、中でもB737という機種は、1965年から現在までマイナーチェンジを繰り返しながら製造販売され続けてきた世界でもっともロングセラーで、世界で最も多く現役で使われている機種である。


今後の中国側の事故調査により、機体の致命的欠陥が指摘されるようなことがあれば、ボーイング社の命運を左右しかねない事案であることは間違いない。


多くの犠牲者が出ていて現在進行形の事故なので、無責任に陰謀論のようなことを面白がって話すべきではないというのはもちろん承知しているけれど、しかしタイミングがタイミングなだけに、

あくまで可能性としてはありうるかもしれないと思うのだ。


中国高速鉄道脱線事故の隠蔽や、新型コロナの発生源を巡る調査の協力拒否など、中国が好きとか嫌いとかそういう次元の話ではなく、その対応を巡って容認しかねるような事案が少なくないだけに、今回も公正中立な調査結果が公表されるのかという点に関しては怪しいと言わざるをえない。


ちなみに、テロを除く航空機事故の歴史上、単独事故としてもっとも被害者数が多かったのは、1985年の日本航空123便の墜落事故だ。


あのときは、その7年前に同じ機体が起こした尻もち事故の修理で、損傷した圧力隔壁を接続するのに本来必要なリベートの数が足りなかったために飛行中に損傷し、圧力隔壁を突き破って垂直尾翼が破裂し、操縦不能に至った、ということにされている。


そして、数々の疑惑は残されているものの、ボーイング社の修理に欠陥があったことが事故原因であると結論づけられている。(その他、自衛隊誤爆説、米軍誤爆説などもあり、その説を裏付ける根拠としては、墜落時刻から現場確定までに不自然なほど時間が掛かっているという事実があるとされる。)


そしてその後最近まで、JALはエアバスではなくボーイングの機体ばかり導入してきたことも有名な話だ。(つまり、なんらかの不都合な事実を隠蔽するために、ボーイング社が自社の修理ミスとして責任を被る代わりに、受注に関する約束が交わされた可能性が指摘されることがあるが、本当の事情はわからない…)


そして、同じくテロを除く事故のうち、単独ではなく2機が関わる事故で最大のものは、「テネリフェの悲劇」と言われる滑走路上でのジャンボ機同士の衝突事故だ。


これはパイロット訓練1年生が真っ先に学ぶ題材になっている有名な事故で、霧の深い1本の滑走路上に、管制官が勘違いして2機の航空機を向かい合わせに並べた上に、片方の航空機の副操縦士が異変に気づいて機長に指摘したものの、

機長が部下の指摘を無視して滑走を継続したことが原因で発生したものと結論付けられている。


この事故がきっかけに、CRM=Crew Resource Managementが見直されることとなり、安全のためならば使える情報はすべてフラットに採用しましょうということになった。


つまり、副操縦士は部下だから機長が意見を聞かないとか、逆に機長は上司だから副操縦士が遠慮して指摘しないという雰囲気は安全上よくないので、フラットな関係性にしましょうとか、航空管制で使用する言語が明確に指定されるようになったりという現在の安全上のスタンダードが定められるきっかけになった事故だ。


こうした数々の悲惨な航空機事故のたびに、緻密な改善が行われてきて、人為的なミスや機体の整備不良などは極力起きないように知恵を蓄積してきたはずなのだ。


そしてそれと同時に、航空機事故には政治的な思惑も常につきまとう。



テネリフェの悲劇は1977年のこと。

日本航空123便墜落事故は1985年のこと、


これらはすでに45年前と37年前と、だいぶ昔の話だ。


今回の事故は、新しく開発されたばかりの機体で発生したわけでもなく、整備の怪しいマイナーな航空会社というわけでもないのに発生した大惨事。


状況からしてあまりに不可解としか言いようがないのではないか。


もしも政治的な謀略と無関係ならば、客観的な調査が行われ、メーカー含め各国との正確な情報共有がなされることを願ってやまない。