子供の頃から歯には泣かされた。歯磨きをしろとの親の言葉にも耳を貸さなかった。


いつの頃か、親父の知り合いの歯医者に頼むと、「一度、連れて来んかい」の一言。助かった。

今と違って大勢の患者で、予約しようにも数ヶ月先の予約しかできない。歯痛は待ってはくれない。


そのとき以来、一度も浮気していない。随分お世話になった。その間、病院を建て替えたり、息子さんにお仕事を譲ったりした。


息子さんに任せた後も、終日診察をしていた。

が、今日、お姿を見かけないので聞くと、仕事は半日になったという。


実は、1週間ほど入院して食事介護を受けているとき、前上の差し歯が外れた。介護していたスタッフの驚きよう。本人は慣れているので事情を話す。


休息しているはずの親父さんが、わざわざ私服で出てこられ、よもやま話にはなを咲かせた。

ゴルフを聞くと、まだやっていると言う。お元気だ。