40年前、自動車が今ほど悪者で無かった頃、自動車が好きだった。

地元の若い衆と語らって、自動車ラリーの競技を主催していた。


当時おこなっていたのは、ナイトラリーと称し夜中、山道を300km位走り、こちらの指示通り如何に正確に走るかというものだった。


その時の話。

参加車両の中に知人の車があった。

車高は高くし、エンジンのガードをつけ、足回りを固め、エンジンはボアー・アップし、ライト類を取り付けるなど、何処へ出しても恥ずかしくない車に仕上げていた。

おまけにそれらを全て自分の手で行なったという。


日頃の彼の腕を見ていたので、密かにその活躍を期待していた。


ゴールで待っているも、待てど暮らせど来ない。後で聞くとミスコースし、おまけに谷まで落ちていたという。


ドライバーの話。

あっと思うと、ころころ崖を転がり落ちていた。それから思うことは早く止まってくれ、ばかり。

やっと止まると、耳元でちょろちょろと流れる水の音。生きていたとホッとする。

車外に投げ出されてもいない。安堵する。


ヘルメット、シートベルト、ロールバーこれらをちゃんとしていれば、なかなか怪我をするものではない。

最近の映画とは違う。おとなしいものだ。



若い頃のお話。