半沢直樹、真っ当なのは半沢だけじゃなかった! | Smart Villageのブログ

半沢直樹、真っ当なのは半沢だけじゃなかった!

前回半沢直樹第九話の一部書き起こしを紹介した。半沢の真っ当なセリフが素晴らしかった。しかし、最終話では白井大臣の名言までも出てきた。

最後のクライマックスの書き起こしを紹介したい。

 

(牧野副社長墓の前にタブレットで記者会見を見る中野渡頭取。っそのタブレットを墓に差し出す。

乃原(タブレットの中の声):では皆様、中野渡頭取がいらっしゃいました。盛大な拍手でお迎えください。

中野渡:(牧野の墓に向かい)いよいよ始まります。

(記者会見場)(会場内拍手)

半沢:遅くなりまして申し訳ありません。

乃原:中野渡頭取はどうした。

半沢:中野渡は所用がありまして、代わりに私が参りました。東京中央銀行営業第二部次長半沢です。

箕部:君は担当から外されたんだよね。だったらここにいるのはおかしいんじゃないか。出て行きなさい。出て行きなさい。

白井:いいじゃありませんか。半沢さん、要するにあなたは、中野渡さんの代理でいらしたんですよね。

半沢:はい。

白井:でしたら、お話を聞いてもいいんじゃないですか。

乃原:どう言うつもりですか。

 

(東京中央銀行第会議室)

白井:債権放棄をしていただいた方が復興は遥かに簡単です。

大和田:大臣。

白井:話は以上です。(立ち上がり、帰ろうとする)

半沢:幹事長に逆らえば、あなたの政治生命が断たれるからですか。お気持ちはわかります。この事実を暴く事が危機にさらされるのは我々銀行も同じです。

大和田:その危機は今だけでなく、10年前にもありました。

白井:10年前。

中野渡:あなたはこの国を背負って立つお方だ。そのあなたに一つ聞いていただきたい。10年前自らの命を絶ったあるリーダーの話を。

白井:命を絶った。どう言う事ですか。

半沢:今から12年前のことです。二つの銀行が合併し、新銀行となった頃当行は大混乱に陥っていました。最大の問題は、旧第一東京銀行が行ってきたいくつもの問題融資でした。箕部先生の20億円の融資もその一つです。警察の捜査の手が迫る中、役員たちは責任を押し付けあい、いがみ合い、行内は分裂を極みました。そんな中、箕部幹事長は当時副頭取だった牧野治に全ての責任を被せたのです。不正の事実が明るみに出れば銀行は大変なことになる。牧野副頭取は銀行で働く皆のため、ご自身の命を犠牲にされたんです。

中野渡:私は今も彼を尊敬しています。だが、同じリーダーとして、彼の選択は間違いだったと思う。これは死者に鞭打つことになるかもしれない。だが、敢えて言うなら生きて欲しかった。今ここで共に話す事ができたらどんなに良かったことかと。牧野さんのためにも、私は行内融和の実現に尽力してきた。そして、必ずや真実を明らかにすると誓ったのです。

半沢:若い行員の将来のため、この銀行の未来のため、中野渡頭取はその思いでここまできました。それは大臣も同じではありませんか。若者たちの将来の為に、この国の未来のため、ですがこのままでは例えあなたが総理になっても箕部幹事長の言いなりになってしまいませんか。もちろん、幹事長に反旗を翻せば、新政党からの除名処分は免れないでしょう。大臣の進退のかかった大事なご決断を何もせず見ているつもりはありません。微力ながら私も責任の一端を負わせていただきます。(退職願いをテーブルに差し出す)

大和田:半沢。

半沢:これが、私なりの覚悟です。

 

(白井がポケットからハンカチを出し開くと、桔梗の花が。半沢の自宅での出来事を思い返す)

半沢花:桔梗です。花言葉は「誠実」。凛としていつもまっすぐな白井大臣そのものでしょ。この国のこと、お願いします。

 

(場面は会議室に戻る。白井は涙を流す)

中野渡:白井大臣、どうか力を貸していただけないでしょうか。

白井:承知いたしました。私もやるべき事を果たします。私を支持してくださっている国民のため、この国の未来のために。

中野渡:ありがとうございます。大臣。

(行員3人は大臣に一礼、中野渡は半沢の退職願いをとりあげ立ち去る)

中野渡:失礼します。

中野渡:(半沢に向かい)半沢。

半沢:はい。

中野渡:これを受け取る前に最後に一つ仕事をしてもらう。改めて君に、帝国航空再建の担当を命じる。会見にも君が迎え。全ての責任は私が取る。当行の代表として、思いっきりやってこい。

半沢:はい。

 

(記者会見場)

半沢:改めて申し上げます。私は頭取直々の命令により、東京中央銀行の代表としてこの場に参りました。では早速、タスクフォースから検討を要請された件について結論を申し上げたいのですがよろしいでしょうか。

乃原:いいだろう。前向きな返事なんだろうな。

半沢:帝国航空に対する債権放棄の件、お断り申し上げます。

乃原:あんた、世論を無視するつもりか。

半沢:世論は一つではないはずです。我々銀行の立場を理解する世論はないんでしょうか。自主再建が可能な大企業で借金を棒引きにするのなら、自分たちだって救ってくれよと言う世論は無いんでしょうか。

(PCを見ている半沢花)

半沢花:直樹

(記者会見場)

箕部:しかしね半沢君、世論の大多数が

半沢:大多数の世論に従えと言うのはあなた方新政党が掲げる弱者救済の政党理念とも矛盾するじゃありませんか。幹事長その点どうお考えなのかご説明いただきたい。

白井大臣、あなたはどうお考えですか。

白井:タスクフォースが作った再建案は、完璧なものです。ですが、正直申し上げて、東京中央銀行が苦労の末に作り上げた再建案と瓜二つ。ほとんど丸写しに近いものだと言えます。時間をかけたにもかかわらずタスクフォースは債権放棄という安易な政策以外には銀行を超える案を見つける事ができませんでした。残念ながら私が立ち上げたタスクフォースは何らその使命を果たせなかったと言えます。これは任命した私の責任であり、リーダーである乃原弁護士の怠慢によるものです。

乃原:このアマ。

白井:(乃原に対し)ここは会見の場です。その態度、恥を知りなさい

(聴衆に対し)言い換えれば、銀行が提案すた再建案に基づけば、帝国航空は債権放棄などしなくても十分に立て直しが可能であると私は考えます。

箕部:白井

半沢:ありがとうございます、大臣。以上の理由で東京中央銀行は債権放棄を断固として拒否します。

(東京中央銀行、瀬名、森山、智実、花ら中継を見ている先で盛り上がる)

森山:ヨッシ!

(会見場)

箕部:白井君、何があったか知らないが、君に考えはよーくわかった。これで失礼する。

半沢:お待ちください、幹事長。まだ話は終わっていません。

箕部:はい?

半沢:先ほど大臣は、再建案は我々銀行が提案したものと瓜二つとおっしゃいました。ですが一つだけ違う点があります。羽田、伊勢志摩路線です。我々が赤字を理由に撤退予定にしていたその路線だけをタスクフォースはなぜか撤退リストから外している。どういう事でしょうか、幹事長。

箕部:さあ私に聞かれてもね。

半沢:では私から説明しましょう。

箕部:待ちなさいよ、半沢君。この会見は全国民が注目しているんですよ。軽率な事を言えば、御行の名前に傷がつく事になる。わかってるんでしょうね。

半沢:もちろん承知の上です。今から15年前、合併前の旧東京第一銀行は、そちらにいらっしゃる箕部代議士からある個人融資を持ちかけられました。伊勢志摩市にある箕部代議士のファミリー企業、仮にIS社としましょう。そのIS社が伊勢志摩市郊外にある土地を20億円で購入するための転貸資金です。その土地は数年後、伊勢志摩空港の建設予定地となって値上がりし、IS社は巨額の利益を得たのです。旧東京第一銀行は、その金儲けのカラクリを知りつつ、箕部代議士に20億円を融資しました。銀行として企業モラルを問われても仕方のない与信行動です。これについて当行は謝罪の上、処分を受ける覚悟でいます。

箕部:聞き捨てならん事を言うな。皆さん、私がその融資を受けたのは親戚が経営する会社の資金繰りを助けるためなんですよ。私がそれで金儲けをしたような事を言われるのは甚だ心外だ。発言を取り消せ。

半沢:まだ続きがあります。そのIS社ですが、調べたところ13年前から定期的に数億の現金を口座から引き出していました。そのうち1,000万円は毎回必ず口止め料として融資に関わった旧東京第一銀行の幹部に配られていました。そして残りの金はすべて箕部幹事長、あなたが受け取られていたんですよね。違いますか、幹事長。

箕部:事実無根だ。とんでもない濡れ衣だぞ、これは名誉毀損だ。発言を撤回しろ、謝罪しろ、謝れ。

半沢:間違っているのなら謝罪します。

箕部:ふざけるな。だったらしかるべき証拠を見せてみろ。どうなんだ。

半沢:ございます。お見せしましょう。お願いします。

(大和田が会見場に入ってくる)

箕部:(大和田に向かい)なんだ、おい、やめろ、やめろ。やめろ。やめろ、大和田。

(会見30分前、幹事長室)

幹事長秘書:先生、そろそろお時間です。

箕部:それじゃあ、行こうか。

幹事長秘書:笠松、留守を頼む。

笠松:はい。

(笠松は、箕部らが出ていくと奥部屋のPCに向かう、PCに電源を入れUSBメモリーを挿す)

笠松:(電話に)お願いします。

瀬名:履歴を復元するためには、まずはUSBのファイル復元ツールを起動してエンターを押してください。

(白井が入ってくる)

白井:どうです。

笠松:間も無くです。

(PC画面にデータが表示され)

笠松:出ました。

白井:Bank of UAE、Bank of UAE、Bank of UAE。

笠松:これです。(電話に向かい)何かありましたらまたかけなおします。

(白井は部屋を出て電話をする)

白井:黒崎さん、わかりました。UAE銀行です。

(名古屋で車に乗る黒崎)

黒崎:どうも、白井大臣。これで100%確証がつかめたわ。お疲れ様でございました。(運転手に)UAE銀行よ。

(幹事長室)

笠松:大臣は早く会場の方へ。

白井:ええ。その前にもう一つだけ。

(奥の盆栽に向かい盆栽を頭上に掲げる)

白井:くたばれ。(盆栽を叩きつける)

(驚いた顔をする笠松の前を、白井が出ていく)

(UAE銀行)

黒崎:(電話で)はい大和田ちゃん、手に入れたわよ。箕部の隠し口座。今で送っておいたから。よろしくね。

大和田:ありがとうございます。

(帝国航空会議室)

山久:こちらです。

大和田:では出撃と参りますか。

山久:はい。

(会見場)

箕部:それは何だ。おー、やめろ大和田。何だそれは、大和田。やめろ。やめろ。やめろー、大和田。

大和田:はー?(耳に手をかざし)あー?すみません、最近ちょっと耳が遠くて。ははは。(半沢に書類を手渡し)はい、千倍。思いっきりやり返しなさい。

半沢:(箕部に向かい)こちらはUAE銀行にあった口座情報です。山久さんお願いします。

山久:はい。

半沢:ご覧の通り、名義人は箕部幹事長、あなたです。そしてこちらは先ほどお渡ししたIS社の口座情報です。IS社の口座から最初に現金が引き出されたのは13年前の8月7日、1億円。そして同じ日、箕部幹事長の口座には762,711ドルの入金が記録されています。UAE銀行で円をドルに変え海外送金したのでしょう。これは当時のレートに換算するとぴったり9,000万円。1億から口止め料1,000万円が引かれた額です。次の引出し記録は1ヶ月後の9月13日、今度は5億、そしてまた同じ日にこちらの海外口座に、日本円に換算して4億9,000万円の入金。その次も、次も、次もこの2つの口座の出金と入金はすべて同じ日に行われています。足した金額は貸した20億を優に超える100億8,000万円に登ります。そして、あなたはこれらの資金を選挙運動費用収支報告書にも政治資金収支報告書にも記載していません。これはどう言う事なんでしょうか。箕部幹事長。

箕部:記憶にないな。(立ち上がり)失礼する。

(白井も立ち上がり、箕部を遮る)

半沢:幹事長「記憶にない」で済むのは国会答弁だけの話ですよ。ここは国会ではありません。そんな馬鹿げた言い訳一般社会では通用しない。今、多くの国民があなたを見ているのですよ。国民に向けきちんと説明してください。

箕部:おい、誰か。

白井:誰も助けてはくれませんよ。説明できないのなら謝罪すべきです。それが政治家として、人として最低限度の義務ではないですか。

箕部:白井

半沢:政治家の仕事とは、人々がより豊に、より幸せになるよう政策を考える事なのです。今この国は大きな危機に見舞われています。航空業会だけではなく、ありとあらゆる業界が、厳しい不況に苦しんでいる。それでも人々は、必死に今を耐え忍ぶ。苦難に負けまいと歯を食いしばり懸命に日々を過ごしているのです。それはいつかきっと、この国にまた誰もが笑顔になれるような明るい未来が来るはずだと信じているからなんです。そんな国民に寄り添い、支え、力になるのがあなた方政治家の勤めです。あなたはその使命を忘れ国民から目を逸らし、自分の利益だけを見つめてきた。謝ってください。この国で懸命に生きるすべての人に。心の底から詫びてください。

白井:幹事長。やりなさい。国民のために。やってください。

(箕部は半沢の前に進み出るも、半沢と別の方向に土下座をし、足早に退室する。その後をマスコミが追う)

半沢:(白井に向かい):ありがとうございました。

 

以上

 

最後の半沢と大和田の場面も山場として考える視聴者も多い事だろう。しかし、一般的に今の政治とダブル部分を書き起こした。すでに様々なメディアで、白井大臣の「恥をしりなさい」と言う台詞は、三原じゅんこ議員が野党に対しての国会での発言から取り上げたものだろう。その正しい使い方をこの脚本が示している。三浦議員には勉強してもらいたい。

 半沢の「「記憶にない」で済むのは国会答弁だけの話ですよ。ここは国会ではありません。そんな馬鹿げた言い訳一般社会では通用しないと言う台詞は、ロッキード事件以来政治家が逃げる常套句となっている「記憶にありません」であろう。最近では、佐川理財局長が国会でよく使っていた事を思い起こす。半沢が言うとおり、国会では通用しても一般社会では通用しない言葉だ。政治家の逃げ道をしっかりと塞いでくれたような気がする。

 伊勢志摩空港の土地を絡めたことは、森友学園の土地購入を、牧野治の自殺は財務官僚であった赤木氏を思い起こさせるストーリーとなっている。マスメディアが政府の不正に切り込めない事を、このドラマは案に批判しているのではないだろうか。

 また、半沢の「今この国は大きな危機に見舞われています。航空業会だけではなく、ありとあらゆる業界が、厳しい不況に苦しんでいる。それでも人々は、必死に今を耐え忍ぶ。苦難に負けまいと歯を食いしばり懸命に日々を過ごしているのです。それはいつかきっと、この国にまた誰もが笑顔になれるような明るい未来が来るはずだと信じているからなんです。そんな国民に寄り添い、支え、力になるのがあなた方政治家の勤めです。」と言う台詞は、現場の新型コロナ禍にある政治家の姿勢、矜持を国民目線でセリフに起こしたのではないかとも思ってまう。

 このドラマの魅力は、与党の幹事長、つまり日本の権力に真っ向から立ち向かい、ファクトを持って駆逐していく半沢の姿が視聴者に清々しく映った事ではないだろうか。

良いドラマを見せてもらった。

TBS、Good Job!

次作に期待したい。