朝が来た。目覚ましが鳴っている。
お母さんが私を起こしに来た。
「いつまで寝てるの!早く起きなさい!」
行きたくない。学校へ行きたくない。
「今日は学校休む」
・・・怒られるのは承知だった。たたき起こされるだろう、と思っていた。しかし、違った。
お母さんは一言、
「あ、そう」
と言うと部屋を出ていった。
予想もしなかった返事に私は変な気持ちになった。もうちょっと怒ってくれてもいいじゃないか。
私は本当に学校を休んだ。しかしこんなに暇だとは思っていなかった。
私はパソコンを立ち上げた。
休日よくネットゲームなどをしている。現実では暗い私でも、ネットでは明るくなれるのだ。
相手の顔が見えないし、相手も自分の顔を知らない人なのだから安心感があるのだろう。
やっとパソコンが立ち上がったので、いつもやっているネットゲームのログイン画面を開いた。
IDとパスワードを入力する。
私のIDは“kouta-miyako”である。「都」というのは私の名前だ。
パスワードも“nakajimakouta”にしている。
我ながらなんて馬鹿なんだろう、と思う。
変更するのも面倒くさかったのでそのままログインした。
ログインすると、サイトの中での友達で一人だけログインしてる人がいた。
誰だろう?と思いその人に話しかけてみた。
‐あの
‐あ、こんにちは
‐どうも。
‐高校生ですか?
‐あ、はい
・・・この人も高校生なのか。
サボリ?と聞こうとしたら相手が先に聞いてきた。
‐あなたも高校生なんですか?
・・・・・・はい、と言うべきか。いいえ、と嘘を付くべきか。
迷った結果私はこう答えた。
‐埼玉の○○高校1年です。
どうせネットだけの付き合いなのだから、と考えていたら意外な返事が来た。
‐え?オレも埼玉の○○高校1年ですよ!!
え?
見間違いかと思い会話履歴をチェックした。
確かに私が見えたことと同じことが書いてある。
しまった、と思った。
しかし、その直後それが誰なのか気になってきた。
‐あの
‐はい?
‐あなたは誰なんですか?
こんなこと聞いても私には友達がいないのだから意味はないが、聞いてしまっていた。
返事が返ってこない。やっぱり嘘か、と思った。
諦めて会話を終了しようかと思った瞬間、返事が来た。
‐中島功太です。
・・・嘘だろう?
中島君?本当に?
この瞬間、これは運命ではないかとさえ考えた。
‐君は?
どうしよう。本当のことは言えない。
そのとき、私の頭の中にある考えがひらめいた。
誰かになりすまして中島君と上野さんの関係について聞き出す。
いい考えだと思い、同じクラスの人の名前を適当に名乗った。
‐相沢くるみです。
‐あぁ!相沢!!
よし、騙された。
不思議と罪悪感はなかった。
それからネットで中島君と、相沢さんになりすました私の関係が始まった・・・。
