ハルが通う小学校には学校内に併設された学童保育所がない。
そのため駅近くの民間の保育施設に学童保育を委託していた
のだが、なんと昨年秋にその施設が突然の倒産・閉鎖となって
しまった。
急遽保護者会が立ち上げられ「放課後児童クラブ」の開設に
むけての動きがはじまり、市の補助金が受けられる「10名」
という数の保育が必要な児童を集め、なんとかこの4月1日
に開所できることになった。
昨年秋の突然の知らせに「どうなることやら・・・」と心配
していたが、保護者の皆さんのご尽力でなんとか開設にこぎ
つけられ「ああ、よかった」と心からほっとしている。
仕事をしている母にとっては安心して預けられる「学童保育」
はなくてはならないものだからだ。
そんなわけで4月1日からハルは毎日新しい「児童クラブ」
に通っている。初日は緊張していたようだが、二日目からは
「もう、慣れた」と言って特別いやがることもなく通って
いたので、私の方は順調な滑り出しでよかった・・・
と思っていた。
ところが今朝、ふと気がつくと一人でしくしく泣いている。
「今日、早くお迎えに来てほしい・・・」
あっ・・・と思った。
学童が始まって一週間、ハルなりに緊張もし、新しい環境に
早く馴染もうと一生懸命だったのだろう。「先生にたくさん
ほめられたよ」と言っていた日もあった。小さいなりに親を
安心させようとしてがんばっていたのである。
「どうして泣いてるの?」と聞くと
「お母さんとずっと一緒にいたい・・・」
子どもとはこういう存在なのだ。
もちろんそれはほんの一時期の話であるけれど、こんなにも
ひたすらに母の存在を必要としている。
胸がいっぱいになりながら、ハルの話を聞き、あわただしい
朝のほんの短い時間だったけど、二人でゆっくり向き合えた
気がした。
こういう時間がきっと何より大切なんだろう・・・
という気がした。
子どもはいつそのサインを送ってくるかわからない。
そのサインを見過ごしたり、気がつかなかったりした時、
子どもが抱く失望感は大人の想像をはるかに超えているの
かもしれない。
二人で車に乗り込み、児童クラブが近づいた時、
「もう、大丈夫」
と、まっすぐ前を向いてきっぱりと言った顔には
もう一人の少年としてのあるりりしさがあった。
親という存在は、そうやって親の先を歩いていく子どもの
一歩一歩を黙って見ているしかないのだな・・・
と思わされた一瞬だった。
六歳の少年の胸に宿る思いも
なかなか味わい深いものである。
そのため駅近くの民間の保育施設に学童保育を委託していた
のだが、なんと昨年秋にその施設が突然の倒産・閉鎖となって
しまった。
急遽保護者会が立ち上げられ「放課後児童クラブ」の開設に
むけての動きがはじまり、市の補助金が受けられる「10名」
という数の保育が必要な児童を集め、なんとかこの4月1日
に開所できることになった。
昨年秋の突然の知らせに「どうなることやら・・・」と心配
していたが、保護者の皆さんのご尽力でなんとか開設にこぎ
つけられ「ああ、よかった」と心からほっとしている。
仕事をしている母にとっては安心して預けられる「学童保育」
はなくてはならないものだからだ。
そんなわけで4月1日からハルは毎日新しい「児童クラブ」
に通っている。初日は緊張していたようだが、二日目からは
「もう、慣れた」と言って特別いやがることもなく通って
いたので、私の方は順調な滑り出しでよかった・・・
と思っていた。
ところが今朝、ふと気がつくと一人でしくしく泣いている。
「今日、早くお迎えに来てほしい・・・」
あっ・・・と思った。
学童が始まって一週間、ハルなりに緊張もし、新しい環境に
早く馴染もうと一生懸命だったのだろう。「先生にたくさん
ほめられたよ」と言っていた日もあった。小さいなりに親を
安心させようとしてがんばっていたのである。
「どうして泣いてるの?」と聞くと
「お母さんとずっと一緒にいたい・・・」
子どもとはこういう存在なのだ。
もちろんそれはほんの一時期の話であるけれど、こんなにも
ひたすらに母の存在を必要としている。
胸がいっぱいになりながら、ハルの話を聞き、あわただしい
朝のほんの短い時間だったけど、二人でゆっくり向き合えた
気がした。
こういう時間がきっと何より大切なんだろう・・・
という気がした。
子どもはいつそのサインを送ってくるかわからない。
そのサインを見過ごしたり、気がつかなかったりした時、
子どもが抱く失望感は大人の想像をはるかに超えているの
かもしれない。
二人で車に乗り込み、児童クラブが近づいた時、
「もう、大丈夫」
と、まっすぐ前を向いてきっぱりと言った顔には
もう一人の少年としてのあるりりしさがあった。
親という存在は、そうやって親の先を歩いていく子どもの
一歩一歩を黙って見ているしかないのだな・・・
と思わされた一瞬だった。
六歳の少年の胸に宿る思いも
なかなか味わい深いものである。