Think Different
と聞けば、誰もがアップルを連想する。
アップルが15年前に始めた広告キャンペーンのキーワードだが、アップルの創業者スティーブ・ジョブズは何かにつけてシンプルに考えることを好んだという。
だからジョブズ氏は重要な経営判断も少人数で行った。
人数が増えれば雑音が増え、意思決定も遅れるからだ。
これには私も賛成だ。
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私が以前勤めていたレコード会社で仕えた二人目のH社長は、そういう意味では自己を主張する珍しいサラリーマン社長だった。
オーナー経営者からレコード会社を引き継いだにも関わらず、まるで自分の会社のように重要案件は独断で決めた。
なぜならH社長は若い頃にヒット曲を連発し、日本レコード大賞まで獲った名物ディレクターだったから、当時ヒット曲に恵まれず苦しんでいたレコード会社の中ではH社長に立ち向かうことができる人などいなかったというわけだ。
それでもH社長は独断専横の人ではなく、我々若手社員を気軽に誘っては近くの居酒屋に行き、いわゆる談論風発状態になり、最後は酩酊した。
いつも最後まで付き合う何人かの一人になった私は、終電後ハイヤーでH社長を自宅まで送り、そのまま社長宅に泊まってしまったことも一度や二度ではない。
そんな気さくな社長だった。
それでも、編成会議では容赦ない質問が制作ディレクターや宣伝担当者に飛んでくる。
それが常に的を得ているため、だれも反論できない。
コノヤロー!と思い、次の会議ではやりこめられないように必死に勉強する。
今思うと30代で修羅場をくぐり、仕事で鍛えられたというのが今の自分の財産になっていると思うことが多い。
その社長に言われた言葉で今も強烈に覚えているのが
「最大公約数はダメだ!おまえ等が自分で決めろ!」
「俺の言うことは朝令暮改だと思え!」
今(=当時)の音楽業界というのは昔と違い世の中の動きが速いからいつまでも固定観念に縛られていてはダメだ。
臨機応変、自由自在にものを考えろということを強調するために「朝令暮改」というフレーズを使ったのだと思う。(ちょっと違うかもしれないが・・・・)
今の音楽業界というのが今から25年ぐらい前のことだから、今、H社長が私の上司だったら何というだろうか?
H社長の発言で覚えているのはこの2つだけ。極めてシンプルだった。
最近全てにおいて「シンプル」ということが私のキーワードになっているように思う。
初めて付き合う人間だって余計なことは考えずに好きか嫌いかで判断することが多い。
今朝五穀米とおからの味噌汁というシンプルな朝食を終えたあとに読んだ朝刊で稲森和夫の「生き方」という本の広告を見つけた。
すでに79万部を超えるベストセラーだ。
「JAL奇跡の再生の礎となった、実践哲学」
というコピーが付いている。
広告で紹介されているこの本の項目の中に
*単純な原理原則が揺るぎない指針となる
*人生も経営も原理原則はシンプルがいい
*国際問題、国家間の摩擦も単純に発想してみる
その他色々な項目があるが、稲盛哲学の行きつくところは、
「ひたむきで一筋な思いは必ず実現する!」
ということらしい。
極めて単純な哲学だと思う。
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ところで、最近休みになると机の中や押し入れの中を整理していることが多い。
家人から、荷物を増やさないように、不必要なものは捨てて、と言われていることもあるが、なるべく身の回りをシンプルにしたいという思いが整理整頓に向かわせているのかもしれない。
趣味も「映画」と「音楽」と「ゴルフ」に集約されている。
というよりそれ以上の時間を割くことができないというのが本音かもしれない。
仕事の場合は別にして、友人関係も無理して増やさない。
そういう意味ではフェイスブックは時間の効率から言っても非常に助かっている。
一人っ子である私が一人っ子である家人と結ばれ、たった一人の子供に恵まれた。
世の中でも最少家族構成の部類に入るだろう。
だから娘には「朋子」という名前をつけた。
Simple is Best
これ以上シンプルになれないかもしれないが、物欲が減るこの生き方に今は満足している。