「さよなら!僕らのソニー」を読んで感じたこと | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

売れている本です。

さよなら!僕らのソニー (文春新書)/立石 泰則
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帯封にも刺激的なコピーが並んでいます。


■ブランドをダメにしたのは誰だ!


■ジョブズになぜ敗れたのか


■「ソニーらしい」商品がなぜ出ない


■盛田・井深の創業精神とは


■「技術のソニー」が消えた理由


■再生のシナリオはあるのか


こんなコピーが並んでいる中、帯封には前ソニー社長の出井伸之と現社長のハワード・ストリンガーの二人が掲載されています。


僕らのソニーをダメにしたのがこの二人だ!と明快に言い切っているのが本書というわけです。


では、ナゼ出井さんは大賀さんから後継者に指名されたのか?


そして、ナゼ出井さんは外国人社長を選んだのか?


本書を読めばこの「ナゼ」がよく分ります。


今の「ソニー」は我々の世代が知っている「ソニー」とは全く別の企業になっているのだということを理解していないと「昔はよかった」の回顧話になりかねないが、今のソニーが相変わらず成功していないところにこの企業の「今」を理解する難しさがあるのだと思います。


他社の真似をしない独自の製品を生み出し続けることにとことん拘り続けた井深イズムと、その製品を持って米国に「SONYありき!」を浸透させた盛田イズムが出井伸之以降全く継承されないまま、創業の精神が失われていく。


そこに危機感を抱いた優秀な技術者たちが次々とソニーを去っていく現実が目の前にある。


それでも、大賀典雄は自らの後継者に出井伸之を選んだのだ。


それはナゼか?


インターネットを軸にした未来への展望を描くことができなかった大賀に対し、出井伸之は来るべきネットワークの時代におけるソニーの未来像を描くことができた。


しかし、机上の理屈だけでソニーほどの大企業が大きく変化するのは難しい。


出井伸之の言行には、松下政経塾を出た民主党の、頭の良い幹部たちの顔がだぶって見えてしまうときがある。


また、プレステが保有する1億人の個人情報を流出させておきながら、責任をとるどころか、自らが被害者であるような記者会見を開いたストリンガーお気に入りの次期社長「平井一夫]などは、口先だけでものを言う前原何某や玄場何某に見えてしまいした。


社長に必用な「人間力」がなければ、企業のモチベーションは上がっていかないことを今のソニーの現実が物語っている。


その点、日本に深く入り込んで日産を改革したカルロス・ゴーンにはこの人間力が備わっていた。


大賀典雄は出井伸之の「人間力」を見抜けたなかったことを生涯悔やんでいたという。


ソフト(コンテンツ)がハードを融合すると考える今のソニーの経営者たちを見たら、夢のあるソニー製品に憧れていたジョブズは何と思うだろうか?


スティーブ・ジョブズほど井深イズムを継承し、独創性と夢に拘って製品開発を続けてきた経営者はいないだろう。


スティーブ・ジョブズは夢のある製品づくりに没頭し、その夢を拡大させる手段としてソフト(コンテンツ)を徹底的に活用した。


ハードをソフトの下に位置づけるハワード・ストリンガーとは、そこが違う。


でも、企業って何だかんだ言っても「CEO次第」ですね。


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