EMIの買収と由紀さおり | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

時代は巡る・・・・・EMIの思い出


英EMIが買収された叫び


正確に言えば、EMIは既に金融のシティグループ傘下にあるわけだから、シティグループがEMIを売却したというほうが正しい。


その売却方法だが、ソニー陣営が音楽出版部門を。


ビベンディユニバーサル陣営がレコード部門を買収した。


詳細は新聞報道にあるとおりだが、音楽出版部門の買収金額が22億ドルで、レコード部門が19億ドルと音楽出版部門のほうが高い。


CDを売るより、デジタル配信を核にした著作権ビジネスのほうが将来性があるということなのだろう。


まさに今の音楽業界を象徴した買収金額だと思う。


日本のEMIミュージックは英EMIの100%子会社だから、買収が最終的に成立すれば日本ではユニバーサル・ミュージックの兄弟会社ということになる。


今でこそEMIミュージックというと外資系の企業だが、私の青春時代は「東芝音楽工業」から「東芝EMI」へと社名変更した時代で、いまでも、つい「東芝音工」とか「東芝EMI」と言ってしまうことがあるガーン


iTunesのジャズチャート1位という快挙を成し遂げた由紀さおりさんもデビュー以来ず~っとEMIに在籍している。


話題のアルバムのタイトルは「1969」。


これは由紀さおりさんがデビュー曲「夜明けのスキャット」を大ヒットさせた年である1969年を意識してのことだという。


だから由紀さおりさんは東芝音楽工業からデビューしたということになります。

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当時、深夜のオールナイトニッポンから流れてきた「夜明けのスキャット」は実に心地よかった。


この曲を聴きながら受験勉強をした世代にとっては懐かしくて涙が出そうになる。

1969年という年は学生運動が終焉の方向に向かう中、最後の砦として学生たちが東大の安田講堂に立て篭もり、機動隊と激しくぶつかり合った年で、その結果東大の入試が中止になった。


後にも先にも東大の入試が中止になったのは、この年だけで、勉学熱心(?)だった私は残念ながら東大を受験できなかった・・・・・・・・なんていう戯言を今でも酒の肴にしている。


1968年にプラハの春があり、世界が変化に向けて動き出したことを意識しし、1969年にはアポロ10号が月面着陸に成功して新たな未来が見えてきた反面、石油危機の前兆が訪れ、日本では戦後続いていた高度成長に翳りが見えてきた。


バラ色の時代から混迷の時代に突入する、まさに分岐点が1969年だったように思う。


そんな時代、ビートルズのレコードを発売していた東芝音楽工業はどこか垢抜けたレコード会社だった。


ビートルズ来日時の担当DだったTさん、その後を引き継いだ I さん・・・・・・等、どこか他のレコード会社に勤務している人とは異なるオシャレな雰囲気があった。


そのEMIが身売りした年に由紀さおりさんのアルバム「1969」が世界中でヒットするというのは何かのめぐり合わせでは?と思ってしまうのは私だけではないと思います。


混迷の時代だからこそ「夜明けのスキャット」のような心地よい歌が世界を癒してくれるのかもしれない。