伝統と革新について
今日のテーマは一人の女性の生き方についてです。
それは四代目徳田八十吉さんです。
徳田八十吉という名前は九谷焼作家としては名門中の名門であり、特に三代目の徳田八十吉は人間国宝として名高い人でした。
その四代目を継いだのが本名、徳田順子さん(48歳)です。
写真で見る限りかなりの美人です。
伝統的な九谷焼作家の家に生まれたのですが、決められたルールを走るのが嫌で、短大を出てテレビキャスターやモデルで生計を立てていました。
伝統的な工芸作家という名門に生まれながら、かなり自由な生き方をしていたのですから、人間国宝である父君からしてみれば、納得がいかなかったでしょうが、特に娘を批判するようなことはなかったそうです。
その彼女が25歳で旅をした米国で、中国・景徳鎮の極彩色のつぼに出会い「自分のルーツが漠然とわかった」そうで、帰国後陶芸家を志して父親の陶房に入ったのです。
それでもです、彼女は父の作風に取り込まれるのが嫌で3週間で父の元を離れ、以来ピンクを基調にした斬新な作風で、国内外で個展を重ねてきました。
個々から先は新聞記事です。
「転機は2008年。脳梗塞で入退院を繰り返す父が、金庫から一子相伝の手帳を取り出し、釉薬の調合を教え始めた。跡継ぎにの言葉こそなかったが、自分しかいないと自覚した。秘伝の調合法を基に独自に作り上げた繊細な青紫の鉢が昨年8月、日本伝統工芸展に入選。父は初めて娘を褒めると、30分後に75年の生涯を閉じた。」
新聞記事はここまでです。
父親に反発し、一度は父親の元に戻ったものの、以来20年強、独自の工芸作家としての道を歩んでいた順子さん。
そして、それを遠くから見守ってきた人間国宝の父。
死の瀬戸際に立ったとき、一子相伝の釉薬を娘に伝える父親。
この時、二人の間にどんな緊張が走ったのでしょうか。
素晴らしい父娘関係だと思いました。
伝統に飲み込まれたくない一心で父親の元を飛び出したが、最後には父親の偉大さを知り、父の名跡を継ぐ。
それでも彼女はこう言います。
「名前の重さはあるけど、自分の感性を磨きたい」と・・・・・・・・どこまでも貪欲な人です。
現状に甘えたくない。
常に新しいものを求める気持ち。
でもそこから新しい何かを創り上げる。
創造と破壊という言葉に通じるのでしょうか。
こういう気持ちは常に持ち続けていたいと思います。
毎日が惰性であってはならない。
常に破壊するエネルギーを保ちながら、新たな創造に向かっていく。
企業経営に通じるものがあります。
いま、広告業界はとても厳しい環境にあります。
例外などあり得ません。
でも、「何とかなるだろう」とか「会社が潰れるわけはない」とか「減額されても賞与はもらえるだろう」などなど・・・
危機感が感じられない人たちがいます。
でも、そういう人たちに言いたい。
「何とかならないですよ」と。
創造と破壊という相反する考えを持ち続けないと企業の存続はおぼつかないでしょう。
破壊まではできる・・・・・・だけど新たな価値を創造することが難しいということは分っています。
でも、破壊することすらしようとしない人たちを見ていると、淋しい気持ちになります。
この半年間、かなりのエネルギーを使って走ってきました。
多くの人に語り、身をもって実践してきたことも沢山あります。
でもついて来ない人がいる。
ついて来れないのか、ついて行きたくないのか・・・・・・・・・・・・・
世の中に希望退職という制度があります。
セカンドキャリア支援プログラムなどと言う企業もあります。
多くの場合、第一に年齢の高い人、次に過去の考課が低い人が対象になりますが、一番恐ろしいのは一生懸命仕事をしているふりをしながら、実は意識改革が全くできていない人のほうではないでしょうか。
ピーター・F・ドラッカーは言いました。
「優秀な人間は失敗をする」
「優秀な人間は新しいことを試みる」
失敗もせず、新しいことに挑戦もせず、それでいて今までの仕事の流れには上手く乗り、可もなく不可もなく仕事をし続けている、要領の良い人。
こういう人間が増えることが、企業にとって一番危険なのです。
でも、私一人にできることなど限界があるなあ・・・・・・・・・・・・・と思い続けていたのがこの1週間の「憂鬱」の原因でした。
最近、私のブログを読む人が社内に増えているという話を聞きました。
別に社内向けに書いているのではないけれど、少しでも気持ちを同じくしてくれる人が増えれば、それはそれで嬉しいと思っています。(笑)
前に進むしかないのですから。
何かを感じたら遠慮なくコメントください。
さあ、これから横浜の「足湯イベント」(当社仕切りのイベントです)に行ってきま~す。
いま読んでいる本。
元フジテレビのプロデューサーで現渡辺エンタテインメント代表取締役会長が書いた本です、
若い人に読んでほしいなあ~。
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