藤巻幸夫著「志マーケティングのすすめ」について | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

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音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

売れないのはあなたに情熱がないからだ


本書の帯封のコピーを紹介します。


*精神性の高い、日本人ならではのマーケティングが本書の中にはある


*モノを作る人、そしてモノを売る人のすべてに志を持っていただきたい。そして志ある者同士が互いを巻き込み合う。あちこちにバンバン火をつけたい!


この本には「情熱」という言葉がたくさん出てきます。私も好きな言葉です。


そして日本の匠の技を評価する言葉がたくさん出てきます。


「はじめに」の部分で著者は、江戸文化の粋について語ります。


例えば「垢抜ける」という言葉。これは「赤抜ける」からきているそうだ。江戸時代の女性にとって赤というのはとてもおしゃれな色。赤はおしゃれの最後の決め手、めったやたらに用いるべきではないという考え方からだ。それが江戸の粋。黒い着物に赤い蹴出しなどというのは、女の勝負色。粋だねえ!(本書より)


そんな江戸文化を俯瞰し、マーケティングのヒントを得るところから本書は始まります。


「縁」と「出会い」を大切にする著者の「フジマキ道10か条」が巻末に掲載されていますが、かなりの部分で私こと「らんまる道」に通じるところがありますので、まずそれから紹介します。


第1条  遊べ。楽しく遊べ。

第2条  熱い仲間と熱く語れ。

第3条  熱い仲間と一緒に笑え。

第4条  寝る時間を惜しめ。骨身を削れ。

第5条  書を読め。乱読、通読、精読。

第6条  歩け。街を歩け。

第7条  食え!メタボなんて気にするな。

第8条  家庭を大事にし過ぎるな。放っておいても子供は育つ。

第9条  人間、大切なのは肺活量だ。

第10条  仲間を愛せ。


第9条以外はよく分かるのですが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


こういう生き方を実践している藤巻幸夫さんが書いた本ですから、勢いがないわけはありません。


日常の仕事の中で著者が大切にするのは「スピード」と「ホスピタリティ」と「言葉」だと言います。


最初にスピード


相手の会社の会議室で盛り上がり、帰りぎわに「フジマキ君、そのうち飲もうよ」などと声をかけられたら、僕にとって絶好のチャンス到来。ご存じのように「そのうち飲もうよ」は業界でよく交わされる挨拶のようなものだが、フジマキは、挨拶だとは受け取らない。すぐさまダイアリーを取り出して「いつにしましょうか?今週の水曜日は?ダメですか。じゃ、金曜日はどうですか?」その場でアポイントをとってしまう。


私が広告会社に再就職したとき「そのうち飲もうよ」は人脈づくりにとって最高のチャンスなので積極的に攻めました。こういう若い人少なくなりましたねえ。


次にホスピタリティ


自分にとって大切な人が自分のためにわざわざ時間を割いてくれた。その人と別れた後、僕はすぐさま感謝の気持ちをしたためたメールをケータイから送る。さらに気持ちを込めたいときには、感謝の気持ちを絵葉書にしたためる。だから僕のデスクの引き出しには春夏秋冬の季節感を感じさせる絵葉書が何枚も入っている。


著者はわざと自宅に電報を送ることもあるそうですが、それは少しやりすぎでは?と思いましたが。


最後が言葉


シンプルで分りやすい言葉ほど、相手の心に刺さる。それも、なるべく自前の言葉で迫る。覚えたての横文字を無理して使うのは、三流の広告マンだ。


いずれも分りやすく心にさ刺さります。


話は変わりますが、本日も某専門学校で社会人対象に90分の講義を行いました。


与えられたテーマは「音楽業界における情熱とは?」。


私にとってはそんなに難しいテーマではありませんが、何を題材に、なおかつ論理的に「情熱」について語るかを考えた末に選んだのは「塔本一馬氏と女子十二楽坊」です。


某外資系レコード会社の洋楽宣伝担当役員だった塔本一馬氏が女子十二楽坊に惚れこみ、会社を退職し、彼女たちのためにプラティアレコードを設立。デビューアルバム「Beautiful Energy」を200万枚売り上げた成功物語は多くのところで語られてきました。


原点は役員であるにも関わらず女子十二楽坊の発売を自社で完結できなかった塔本一馬氏の女子十二楽坊に対する愛と情熱です。


そして、女子十二楽坊に惚れこんだ塔本一馬氏の勇気ある退職~会社設立。


愛と勇気と情熱で作り出したヒット。


これが今日のテーマでした。


藤巻さんの著書を読んでいると、これと同じ「愛」や「情熱」が伊勢丹のヒラ社員だった頃から並外れて大きかったことが分ります。


伊勢丹のカリスマバイヤーとして「解放区」や「リ・スタイル」のVMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)を手がけてきた著者の原点に「8本主義」というのがあります。


「本物のモノ」に拘る著者の仕事術はやがて「8本主義」という著者の生き方にまで発展していきます。


本質

本音

本気

本流

本筋

本物

本当

本題


最後に私自身がこの本を読んで思ったのは「志マーケティング」とは「人間力マーケティング」なのだということでした。


人間力を高めることこそ志の高い仕事を完成させることなのだと。