謹賀新年! | ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

ソフィアの森の「人生は、エンタテインメントだ!」

音楽が好きで、映画が好きで始めたブログですが、広告会社退職後「ビジネスの教訓は、すべて音楽業界に学んだ」を掲載しました。

2008年元旦のご挨拶!


明けましておめでとうございます。


昨晩は除夜の鐘の音を聞く前に眠ってしまいました。最近では珍しいことです。

振り返ると、2007年は実に早く過ぎ去ったような気がします。


1年前の記事を読んでいても、つい最近のように思えます。


今日届いた友人の年賀状に気になることが書いてありました。


「気持ちよく心に残るものがなく、忘れたいこと、思い出したくないことが多かったからあっという間に過ぎた年月だったのでしょう」


もちろん、友人は2007年の世相そのものについて書いたのだと思われますが、まさに自分自身のことを言い当てられているようで、正直ドキっとしました。


2007年は


同年代の友人や先輩、そして仕事仲間の「死」に向き合い、たくさんの涙を流しました。


会社の統合・合併の準備委員として、見たくないもの、聴きたくないことに数多く触れ、自分の腹の中に飲み込みました。


信頼していた長年の友人に仕事の面で裏切られ、会社に損害を与えました。


大好きだったペット(猫)の死に出会いました。


こう考えると昨年は、確かに忘れたい思い出のほうが多かったのかもしれませんが、年末に行われた学生時代の仲間が集っての演奏会で随分と救われたような気がします。音楽に助けられたというのが実感です。


そんな心の状態のときに出会った一冊の本を今日から読み始めました。


かつて学生運動の闘士だった女性主人公と学生時代はノンポリで、卒業後レコード会社に勤務した後に独立して音楽プロダクションを営む夫との会話に、まるで自分が辿ってきた道のりと同じものを感じ、ぐいぐい引き込まれています。


小説は1970年前後の学生運動華やかな時代を背景に語られ、「全共闘」、「革マル」、「中核」、「社青同」、「べ平連」といった懐かしい政治活動セクトの名前が頻繁に出てきます。


あの時代をひと言でいうと、「生真面目な時代」だったと思います。


小池真理子さんの最新作「望みは何と訊かれたら」です。


その中に・・・・


「そこそこの出世、そこそこの冨と名誉。平凡だが波風の立たない社会生活と家庭生活。表面上の恙ない人間関係。子供の健やかな成長、夫婦の安泰、老後の保障。永遠の若さ、人間ドックの後に出てくる、惚れ惚れするような数値。痩せること、異性にもてること、恵まれた結婚をすること、いい家に住むこと・・・・・・・。

あればあったでかまわない。もちろん歓迎もする。だが、そんなものは結局のところ、どうだっていい、本当に欲しいものは他にあるのだ、と密かに考えているような人間は、いったいどのくらい、いるのだろう。わたしは若かったころから、血が通ったもの、そこから生まれてくる真の情熱や力、人生の本質的なことにしか関心がもてなかった。今もそれは変わっていない。」


1951年10月生まれの主人公である槙村沙織は、盛大だけれど退屈なパーティー会場の片隅や人と待ち合わせたカフェに時間より早く着いて時間をつぶしている時に、いつもそんなことを考えています。


この箇所を読んだ直後からこの小説に引き込まれていく自分を感じています。


この数年自分の中にあるモヤモヤした感情をズバリ言い当てられたからかもしれません。


500頁近い単行本ですが、恐らく三が日で読みきってしまうと思います。


私にとって運命の本との出会いのような予感がしています。


本を読みながら、こんな感情を抱いたのは本当に久しぶりです。


こうして私の新年は始まりましたが、今年は例年とは違う、自分自身の中で何かが変わる予感がしています。


その「何か」は今はまだ分かりません・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・それが良いことなのか、悪いことなのかさえ。


年末の29日、学生時代の1年先輩Hさんが亡くなりました。大好きな先輩でした。悩み多きころ、いくつもの相談にのってもらいました。


2007年の厄はここまでだとよいのですが・・・・・・・・

望みは何と訊かれたら/小池 真理子
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