ヘブロンについて
さて、続きは事業地となるヘブロンについて。
アラビア語名はAl Khalilと書いてアル・ハリールと読みます。(ハの音は喉をこするようにして出す音。アラビア語には日本人の耳で聞いてハに相当する音が三種類もあります)
「パレスチナ」で画像検索をかけてみると、ニュースでよく耳にする「ガザ地区」と「西岸地区」が色分けされた地図を見ることができます。
「西岸地区」のくびれの部分がエルサレム、その下にベツレヘム、そして南部の大部分がヘブロンに相当しています。
14の小行政区からなるヘブロンは西岸地区内で最大の面積を持ち、また最大の人口を抱えています。
宗教にかかわる点では、旧約聖書に登場するアブラハム(イブラヒーム)が開いた土地で、世界最古の都市の一つとしても知られています
アブラハムはキリスト教、イスラム教、ユダヤ教の三宗教の始祖として考えられ、彼のお墓があるマクベラの洞窟は聖地として大切にされています。
そんなヘブロンの新市街地はたくさんの人でにぎわっています!
タクシーがひしめき合い、若者たちがそぞろ歩き、女の子も快活におしゃべりしながら通りを行き過ぎています。
この新市街地はこの数年で急速に発展した新しいスポットです。
アブラハムの時代から古く栄えていた旧市街地はというと、現在はほとんどがらんどう同然。。。
これにはイスラエルの入植地政策が大きく影響しています。
ヘブロンでは第三次中東戦争後すぐに建設がはじめられた「キリヤット・アルバ」を始め、約15の入植地があります。(一つの街を成していないものを含めるともっとたくさんあります)
これらの入植地は国際法上でも違法と考えられていますが、多くのイスラエル市民がそこでの生活を定着させているのが実情です。
これらの入植者の安全を守るためイスラエル政府は様々な政策をとっています。
入植地に近い幹線道路のバス停には必ず武装した兵士が待機し、入植地の入口には堅硬なゲートが設けられています。
ヘブロン旧市街は、キリヤット・アルバの住民とパレスチナ住民の衝突を避ける目的で閉じられました。
旧市街に住んでいた家族は移住を余儀なくされ、また多くの商店が閉店しました。
授業を続けている学校もありますが、子どもたちは毎日、兵士の待機するチェックポイントを通らねばなりません。
旧市街にあるアブラハムの墓所を祀ったイブラヒームモスクへ行くにも荷物のチェックやIDの提示が求められます。(提示したからと言って必ず入れる訳でもありません)
こうした入植地にかかわる問題は、ヘブロンの住民にとって日常的な外的要因として存在しています。
他方、ヘブロンの内部にもさまざまな問題があります。
家族のつながりが非常に強く、行政府の人事や商業にも深く関係し、腐敗の原因になっていること。
家同士の関係が子どもの友人関係にも影響していること。
伝統が重視され、新しい物事が受け入れられにくいこと。
社会環境の整備と人口増のバランスが保たれていないこと。
若者のエネルギーや能力を自由に発揮できる場所が少ないこと。
などなどなど。。。。数え上げればまったくキリがありません。
政治的な要因は、イスラエル・パレスチナ2国家だけでなく国際社会を巻き込んだ大掛かりな働きかけをもってしても、解決が困難です。
しかしヘブロンのコミュニティが抱える内的な要因は、人を育て、つながりを作っていくことで変わり得ます。
そんな目的を持った今回の事業。
次回詳しくお話しさせていただきます!
*パレスチナでの教育支援事業にあたり、ボランティアを募集します。
日本語書類の英文化作業や、事業紹介、日本国内での広報活動などが主たる内容となります。
パレスチ問題にご関心のある方、詳しくはなくてもこれから知っていきたいという方、さらにはアラビア語ができるという方!!大歓迎です。
お気軽にメールにてお問い合わせください。
(担当:今村)