~つまらない毎日を華やいだ日々に変えた服装の魔法☆~
それからの私は、もう何も頑張ろうとは思わなかった。
だから第一志望の会社に就職できなかった時も、悔しいという思いは
ちっとも沸いてこなかった。
「やっぱりね、私なんかどうせそんなもんよ」とちょっと苦笑いしただけ。
働くことになった今の職場でも、お給料以上に頑張ろうとは 全く思わなかったわ。
できるだけ地味なOLファッションに身をつつみ、悪目立ちしないように、
自分の持ち場だけを正確にこなすような仕事の仕方をしようと思った。
それなのに時々、上司にひどく怒られることがあったの。
作業が遅い、要領が悪い、いったい何回同じミスをくりかえすんだって。
周りを見渡してみても、私だけがとくにひどい仕事のやり方をしている
わけではないように見えたの。
「きっと上司は可愛い子にはえこひいきし、私のような魅力のない人間を
バカにするんだ」と思って、私はすっかりいじけたわ。
私は、もうすべてに疲れていたの。
だからこれからは、悲しいという思いも、くやしいという思いも、何も
感じないように心を麻痺させて、ただただ毎日を淡々と過ごそう、そう決めたの。
そうすれば何があっても平気だって。
それなのに一年前、私の心を強くかき乱す出来事が起こった。
~第5話に続く~