第3話
“んっ?親父の声?いや、さすがにデカ過ぎだろ。”
まさかとは思いながら、
1塁を回ったところで立ち止まる。
そして、後ろを振り返ると、
何かが近づいてくる足音が聞こえてきた。
《ドスドスドスドス》
メチャメチャデカイ鬼が
金棒を振り回しながら
ものすごい形相で迫ってくるような
…そんな感じの音。
そして、
甲子園の大歓声は
一瞬にして静まり返った。
同時に、
ハンパない恐怖感が襲ってきた。
何処からともなく
怒鳴り声と鈍い足音が
どんどんこっちに近づいてくる。
鬼はそこにありもしない
階段を登ってくる。
一段。
そして、また一段。
踏みしめるように
そして、その怒りを足の裏全体で
こちらにぶつけてくる。
…
途轍もなく鈍い足音が一瞬消えた。
次の瞬間。
これまた、
このグラウンドの上に
あるはずのない扉が
…
乱暴にこじ開けられた…。
つづく
蜂谷高校 野球部物語 第3話 完