Ⅰ「序説」


「親族法とは、家族・家庭関係を巡る問題処理の基準を与える法。」


Ⅱ「親族」


6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族をいう(725条)」


Ⅲ「婚姻」


「男女が結婚すること、又は結婚している状態をいう。」


1.婚姻の成立及び無効・取消し


a 婚姻成立の形式要件


「婚姻は、戸籍法の定めるところにより、これを届け出ることによってその効力を生じる(739条1項)。」


b 婚姻成立の実質的要件


・ 婚姻意思の合致


・ 婚姻することができない事情の不存在


婚姻適齢】(731条)


重婚禁止】(732条)


再婚禁止期間】(733条1項)


近親婚の禁止】(734条1項本文)


未成年者の婚姻に対する父母の同意】(737条1項)


c 婚姻の無効・取消し(742条~749条)


・ 婚姻の無効


① 婚姻意思の不存在

② 届出をしないとき


・ 婚姻の取消し


① 不適齢婚、重婚、再婚禁止期間内の婚姻、近親婚


取消権者→ 当事者親族検察官(重婚・再婚禁止期間の婚姻:当事者の配偶者前配偶者


② 詐欺、強迫による婚姻


取消権者→ 詐欺、強迫を受けた当事者のみ


・ 婚姻の取消方法


「婚姻を取り消すには、家庭裁判所に請求しなければならない。」


2.婚姻の効力


a 身分上の効力


・ 氏の共同


・ 同居、協力、扶助の義務


・ 成年擬制


・ 契約取消権


b 財産上の効力


・ 夫婦別産制


・ 日常家事債務の連帯責任


3.婚姻の解消


「完全に有効に成立した婚姻が、その後の事由によって消滅すること。」


→ 一方当事者の死亡失踪宣告離婚により婚姻は解消される。


4.離婚の効果


・ 復氏


・財産分与


Ⅳ「親子」


1.実子


a 嫡出子


婚姻関係にある男女間に懐胎出生した子。」


b 非嫡出子


法律上の婚姻関係にない男女間に生まれた子。」


→ 法定相続分が嫡出子の2分の1


・ 認知


認知があると、親子関係が生じ、親子関係の認められる全部の効果が発生。


・ 準正


「父母の婚姻を原因として、非嫡出子が嫡出子となる制度。」


2.養子


a 普通養子


「普通養子とは、養子縁組によって養親の嫡出子としての身分関係を取得した者(法定血族関係)。」


・ 要件


縁組意思の合致


「縁組が成立するためには、届出だけでは足りず、縁組の当事者に縁組する意思が必要。」


縁組を妨げる事由がないこと


① 養親は成年に達した者でなければならない(792条)


② 尊属、又は年長者を、養子とすることはできない(793条)


③ 後見人が被後見人を養子とするには、家庭裁判所の許可が必要(794条)。


④ 配偶者のある者の縁組(795条・796条)


ⅰ) 配偶者のある者未成年者を養子とする場合


(原則)


夫婦が共同して縁組しなければならない(795条本文)。


(例外)


以下の場合には、夫婦の一方だけが単独で未成年者と縁組することができる(795条但書)


1) 配偶者の嫡出子を養子とする場合


2) 配偶者が意思表示できない場合


ⅱ) 配偶者のある者成年者を養子とする場合


(原則)


配偶者の同意が必要である(796条本文)


(例外)


以下の場合には、同意は不要である(796条但書)


1) 配偶者とともに縁組する場合


2) 配偶者が意思表示できない場合


ⅲ) 配偶者のある者が養子となる場合


(原則)


配偶者の同意が必要である(796条本文)


(例外)


以下に場合には、同意は不要である(796条但書)


1) 配偶者とともに縁組する場合


2) 配偶者が意思表示できない場合


⑤ 未成年者を養子とするには、家庭裁判所の許可を得なければならない(798条本文)。ただし、自己、又は配偶者直系卑属を養子とする場合はこの限りではない(798条但書)。


・ 効果


「縁組によって、養子は嫡出子の身分を取得する(809条)。」


「縁組が行われると、養子と養親の間に親子関係が生じるだけでなく、養子と養親の血族との間にも親族関係(法定血族関係)が生じる(727条)。」


b 特別養子(817条の2)


「特別養子縁組とは、原則として、6歳未満の幼児につき、実親による監護が著しく困難である等の特別な事情がある場合に、実方との親子関係を断絶し、実体的な法律関係のみならず、戸籍上も普通養子とは異なった特殊な処理がなされる制度。」


・ 要件


形式的要件


家庭裁判所審判によって成立する。養親となる者の請求があればよく、実親の請求は不要(817条の2)


実質的要件


ⅰ) 養子となる者の年齢


(原則)


6歳に達していないこと(817条の5本文)


(例外)


養子が8歳未満であって、6歳に達する前から引き続き養親となる者に監護されていた場合(817条の5但書)


ⅱ) 養親となるもの


養親となる者は、配偶者のある者でなければならず、(夫婦共同の原則、817条の3)、25歳未満の者は養親になることができない(817条の6)。


ⅲ) 実方の父母の同意


原則として、養子となる者の実方の父母の同意が必要(817条の6本文)


・ 効果


「特別養子縁組が成立すると、養子と養親、及びその血族との間に親族関係が生じ、養子と実方の父母、及びその血族との親族関係は終了する(817条の10)


・ 特別養子の離縁(817条の10)


(原則)


認められない


(例外)


養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由がある場合、かつ、実父母が相当の監護をすることができる場合に限り、家庭裁判所審判によって、離縁させることかできる。


3.親権


「親である父母が未成年の子の養育をするという立場から、子に対して有する権利・義務の総称。」


Ⅴ「扶養」


「ある人の生活を維持するためにこれと一定の親族的身分関係にある者からなされる経済的給付(877条)。