Ⅰ「代物弁済」
「本来の給付と異なる他の給付を現実になすことによって債権を消滅させる、債権者・債務者間の契約(482条)。」
→ 有償・要物契約
Ⅱ「相殺」
1.意義
「債権者と債務者が相互に同種の債権・債務を有する場合に、一方的意思表示によって(506条1項前段)、その債権と債務を対等額において消滅させること(505条1項本文)。」
ex)
Aが、Bに60万円で車を売ったとする。そのときに、Aは、Bから30万円借りていた場合、Aは、「相殺して、車の代金は30万円に減額するから、借りた金は返さなくていいでしょう」と言えるということ。
※ 相殺しようとするAの権利(α債権)を自働債権といい、相殺されるBの権利(β債権)は受働債権という。
2.要件
「相殺は、相殺適状を満たし、かつ相殺禁止にあたらない場合に可能となる。」
【相殺適状】
・ 債権の対立
・ 双方の債権が同種
・ 自働債権が弁済期にある
・ 双方の債権が有効に存在
・ 性質上相殺を許す債務
【相殺禁止にあたらない】
・ 相殺禁止特約がない
・ 法律により相殺禁止されない
Ⅲ「債権譲渡」
「債権の同一性をを保ちつつ債権を移転することを目的とする譲渡人・譲受人間の契約。」
1.債権の自由譲渡性(466条1項)
(原則)
自由に譲渡することができる(466条1項本文)。
(例外)
以下の場合は、譲渡が制限される。
① 債権の性質による譲渡制限(466条1項但書)
※ 有名な画家に肖像画を描いてもらう債権等。
② 法律上の譲渡制限
※ 子供が親に養ってもらう権利(扶養請求権、881条)等。
③ 当事者の意思(譲渡禁止特約)による譲渡制限(466条2項)
※ 銀行に対する預金債権や建設工事の請負代金債権等。
2.債権譲渡の対抗要件(467条)
a 債務者に対する対抗要件(467条1項)
「債権の譲受人が債務者に対して譲り受けた債権を主張するためには、譲渡人から債務者に対する通知、又は債務者からの承諾が必要となる。」
b 債務者以外の第三者に対する対抗要件(467条2項)
「確定期日ある証書による通知、又は承諾が必要となる。」
→ 債権の二重譲渡がなされた場合には、確定期日のある証書による通知、又は承諾を得た者が優先する。