Ⅰ「請負契約」


「請負人が、ある仕事を完成することを約束し、注文者が、その仕事の結果に対して報酬を与えることを約束する契約。(632条)」


→ 有償双務諾成契約


1.請負人の義務


a 仕事完成義務


b 目的物引渡義務


c 担保責任


・瑕疵修補請求

・損害賠償請求

・契約の解除


2.担保責任の存続期間


a 原則・・・1年


b 建物その他土地の工作物・地盤・・・5年


c 石造・土造・れんが造・コンクリート造・金属造等の工作物・・・10年


d b・cの瑕疵により滅失・損傷したとき・・・1年


3.注文者の義務


・ 報酬支払義務


4.完成目的物の所有権の帰属


a 当事者に特約がある場合


「特約による」・・・私的自治の原則


b 当事者に特約がない場合


・ 注文者が材料の全部、又は主要部分を供給した場合


「完成と同時に、注文者に帰属」


・ 請負人が材料の全部、又は主要部分を供給した場合


「完成と同時に、請負人に帰属」


5.目的物の滅失・損傷


a 仕事完成可能


・請負人に帰責事由あり・・・仕事完成の義務存続【請負人に債務不履行責任(415条541条)】


・注文者に帰責事由あり・・・仕事完成の義務存続【注文者に損害賠償責任(709条)】


・双方に帰責事由あり・・・仕事完成の義務存続【報酬増額請求権なし】


b 仕事完成不能


・請負人に帰責事由あり・・・仕事完成の義務消滅・解除による報酬請求権消滅【請負人に債務不履行責任】


・注文者に帰責事由あり・・・仕事完成の義務消滅【報酬請求権存続(536条2項)】


・双方に帰責事由あり・・・仕事完成の義務消滅【報酬請求権消滅(536条1項)】


6.請負契約の終了


a 仕事が完成して終了する場合


b 仕事完成までに注文者が解除権を行使する場合(641条)


c 注文者が破産手続開始の決定を受けたとき(642条1項)


Ⅱ「委任契約」


「当事者の一方(委任者)が法律行為をなすことを相手に委託し、相手方(受任者)がこれを承諾することで成立する契約。(643条)」


(原則) → 無償片務諾成契約

(例外) → 有償双務諾成契約 ・・・ 報酬支払特約


1.受任者の義務


a 善管注意義務


b 報告義務


c 受取物の引渡義務


d 金銭消費の責任


2.委任者の義務


a 費用前払義務


b 費用償還義務


c 債務弁済、担保供与義務


d 損害賠償義務


e 報酬支払義務


3.委任契約終了原因


a 無理由解除


b 死亡等


4.解除以外の終了原因


a 委任者 (死亡) 終了 (破産手続開始) 終了 (後見開始) 存続


b 受任者 (死亡) 終了 (破産手続開始) 終了 (後見開始) 終了


Ⅲ「その他の契約」


1.雇用契約


2.寄託契約


3.組合契約


4.和解契約