Ⅰ「契約の成立」
1.契約の成立要件
「契約は、申込みと承諾の2つの意思表示が合致することによって成立する。」
「遠隔地間の契約(申込みと承諾がその場でなされるのではない契約)では、申込みの意思表示は、その通知が相手方に到達した時に効力を生じ(97条1項)、申込みに対する承諾の通知を発信した時に契約が成立する。」
2.契約の種類
a 典型契約と無名契約
【典型契約】
(売買型契約) 売買・贈与・交換
(賃貸型契約) 賃貸借・使用貸借・消費貸借
(役務型契約) 請負・委任・雇用・寄託
(その他の契約) 組合・終身定期金・和解
【無名契約】
典型契約以外
b 双務契約と片務契約
【双務契約】
当事者の双方に対価的な関係のある債務が発生する契約。
【片務契約】
当事者の一方のみに債務が発生する契約、当事者双方の債務が対価的意義を有しない契約。
c 有価契約と無償契約
【有償契約】
当事者の双方が負う経済負担が対価的意義を有するもの。
【無償契約】
当事者が互いに対価的意義を有する経済負担を負わない契約。
d 諾成契約と要物契約
【諾成契約】
当事者の意思表示の合致、すなわち合意のみによって成立する契約。
【要物契約】
合意のほかに物の引渡しを必要とする契約。
Ⅱ「契約存続中の関係」
1.3つの牽連性
a 成立上の牽連性(原始的不能)
双務契約において、一方の債務が原始的不能で、成立しない場合、両債務が対価関係に立っていることから、他方の債務もまた成立しないこと。
b 履行上の牽連性(同時履行の抗弁権)
双務契約において、相手方がその債務の履行を提供するまで、自己の債務を拒むことができる権利。
c 存続上牽連性(危険負担)
双務契約において、一方の債務が、債務者の責めに帰すべきことのできない事由により履行不能となって消滅したとき、他方の債務も消滅するかという問題をいう。
(原則) 債務者主義(536条1項、535条1項)
(例外) 債権者主義(534条、535条2項、536条2項)
2.特定物債権と不特定物債権
a 特定物債権
その物の個性に着目した物の引渡しを目的とする債権。
ex) 中古車売買契約に基づく中古車引渡し請求権
b 不特定物債権
一定の種類に属する物の一定量の引渡しを目的とする債権。
ex) 新車の売買契約に基づく新車引渡し請求権
Ⅲ「契約の終了」