映画「黒水仙」 | ある在日コリアンの位牌

映画「黒水仙」

ワーナー・ホーム・ビデオ黒水仙 特別版

 この映画、前半かなり飛ばします。緊張感もありスキもない。これはすごい映画になるかも? と思ったのですが、後半パターンが変わってしまい、よい作品なのに少し惜しい気がしましたが満足です。サスペンス・アクション・ラブストーリー。


 鑑賞中は、悲しくも何ともなかったのですが、しばらく経った後に、時代に翻弄されたとても悲しい純愛の話だったと実感しました。

 出演は、『イルマーレ』のイ・ジョンジェ(オ刑事役)、『モーテルカクタス』のイ・ミヨン(ソン・ジヘ役)、『太白山脈』のアン・ソンギ(ファン・ソク役)、『アナーキスト』のチョン・ジュノ(ハン・ドンジュ役)など。監督は『ディープ・ブルー・ナイト』のペ・チャンホです。


 ストーリーの原点となるのは半世紀前、朝鮮戦争中の巨済島(コジェド)という島の捕虜収容所。

 国連軍最大のこの収容所には数万、十数万といわれる朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)・中国・韓国内の共産軍捕虜が収容されていて、同じ共産主義者でも思想が異なり、捕虜同士の抗争、暴動によって実際、死傷者なども出ていたそうです。


 映画で、この捕虜収容所に収容されている人民軍やパルチザンの脱出を手引きをするのが、南朝鮮労働党(南労党)幹部の娘のイ・ミヨン。

 イ・ミヨンの父は南労党幹部であったため処刑され、彼女は父の意志を継ぎ「黒水仙」という暗号名を持って活動を続けている。

 そのイ・ミヨンの恋人が、アン・ソンギ。

 アン・ソンギは小作人の息子で、裕福な家の娘であったイ・ミヨンに恋心を抱いていたが、身分の違いにより、その思いは押し殺したままに。しかし共産主義思想は、彼が愛する人を、愛してもいい自由を与えてくれアン・ソンギは共産主義者となる。

 しかし2人は反体制の嫌疑をかけられ追われる身に。戦火の中、捕らえられ「生きてもう一度会おう」と誓う。


 ある日、50年間、独房に収監されていたアン・ソンギが釈放される。時を同じくして、ソウルを流れる漢江に男の死体が一体が浮かび上がる。その男は、朝鮮戦争のときに脱出捕虜の検挙をしていた人物だった。

 

 イ・ジョンジェは、殺された男の家に残された色褪せた写真を手がかりに、その写真が撮影された巨済島へと向かう。

 そして50年間、愛を貫き通した男女の悲しい物語を知ることに。最後は衝撃な結末が……。


余談 : 後半、九州の宮崎県が舞台となるシーンがあるのですが美しい場所です。是非、行ってみたいですね☆