砂の城 その2 | 港区白金一丁目

砂の城 その2

一昨日書いた「砂の城」の話の続き。


IT企業は「脆い」という話を書きましたが、何も脆いのは大手の土台と

なる「パートナー企業」だけでなく、本体である大手企業そのものだって

同じです。


理由?


大手といえど、中小の企業同様、各提携先とのインターフェースに

なっているのはごくごく普通の社員です。

その分野に特化してはいますが、前回述べた理由で「超スペシャル」な

社員を中途で採り現場へ投入することはなかなか出来ません。

ましてや手を出す分野の多い大手企業が「数で勝ち越す」だけの社員の

質の良さをそこまで保つことは不可能です。


ヒルズに入っている皆さんがよく耳にするIT企業もそれは同じこと。

「利益率」で勝ち越すことはあっても、全ての分野で「一番~!!」て

とこはありません。

手を出した先のマーケットには必ず先駆者がいる。

先行投資は基本しない。一年目から「ブランディング」でなく「利益」を狙う。

当然お客さんには受け入れられない。

でもそもそもの会社の名前があるから売り上げが数字として出なくはない。


こんなことは日常茶飯事。


もちろんそこで働く人間だって、アホみたいにスペシャルな人はいません。

出身も、経験も、ダメではないけど超スペシャルでもない、それでも優秀な

人たち。

そんな人たちがパートナー企業を統括します。

インターフェースになります。

数字をなめるようなやり方で物事を考えます。

当然、目論見どおりにうまくは行きません。


そんな話も日常茶飯事。


規模が大きい会社なんだから「結果的に勝ち越せれば良いじゃん」的な

部分はあるでしょう。ただ忘れてはいけないのはそこで働く社員のこと。

運良く勝ち越せるコンテンツに関わっていたものは自身の力の及ばない

部分も含め目標達成でき、評価も上がります。そして運悪く負けコンテンツに

関わってしまったものは自身の実力ではどうにも出来ない、いわゆる

砂の城のパートナー企業と運命を共にすることになります。

どんなに努力したってどうにも出来ない。どうにもならない。おまけに

評価は下がる。いわゆる「ビンボーくじ」というやつです。

そういう思いをしている人は少なくありません。

いますよ。六本木ヒルズにも(笑)


しかしながらこんな状況を打開する策がなくはないんです。

打開のヒントは「現場」にありました。


大手が新しい分野に手を出す場合、大概「モデル」とするべきものというのが

あります。いわゆる「お手本」ね。

これを間違えるとその後の一切の工程が崩れてゆきます。

ようはここの部分で現場の職人さんの情報を徹底的に調べ、聞き出し、

模倣したり、取り入れたり、するのです。

最初のモデル作りに現場出身者を用いる。

いわゆる「ゴッド」の言っていた作戦と全く同じ。

…まぁ厳密に言うとちょっと違うんだけど。


そこの段階でコケている事例をいくつかは耳にし、いくつかは実際に

体験しました。

ヒントは現場にあります。

それはベンチャーだって変わらない。

少人数のどたばたベンチャーにいわゆる「エリート」は不要(欲しくなくはないが)。

逆に問題大噴出の泥臭い現場出身の人間が活躍できる出来事や問題が、

これまた嘘みたいに起きるんだ…これがまた(笑)


だから、最後にまとめてしまうとIT業界において、大手も何もないってことです。

特に「人」単位での力の差は。

だからこそ、企業のブランド云々ではなく、自分がそこで「何をしたいか」の

目的意識が重要。そうしないと一瞬で溺れます(というよりつまらなくなります)


会社の規模問わず、猛者は点在しています。

「大手=強い」わけでは決してありません。

大手が持っているのは「強さ」ではなく「ブランドと資金」です。

そこで働く人間は、また別の話ってことですよね。


と、今日はここまで。