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呪われた曲にまつわる美しい女性と3人の男性とのラブ・ストーリー。
ロルフ・シューベル監督の作品です。舞台はハンガリーですがドイツ映画なのかな?
これは秀作でしたねぇ。ハンガリー、ブダペストにあるレストランで繰り広げられる、愛と嫉妬、野心、憎悪が美しく描かれています。
レストラン「サボー」は、ユダヤ人オーナーである初代支配人ラズロ・サボーが経営していた老舗高級レストラン。そこに十数年振りに来店した老齢のドイツ大使ハンス。
そして、店内に流れる思い出の曲「暗い日曜日」・・・。
この物語は過去へと遡り、ラズロがレストランを開店するところからメイン・ストーリーが始まります。ラズロは私生活でもパートナーである魅力的な女性イロナとともに開店準備を始めます。
レストランの中央には1台のグランド・ピアノ。2人はピアニストを募集します。
最後にあらわれたのは青年アンドラーシュ・アラディ。彼の演奏に惹かれたイロナはラズロにお願いして彼を雇います。
レストランは料理だけでなく、イロナの美貌、そして、アンドラーシュのピアノによって成功します。
イロナの誕生日。皆が祝福する中、アンドラーシュはイロナのために自作の曲を演奏します。
美しい旋律。誰もがその曲に惹きつけられました。
しかし、その曲「暗い日曜日」は呪われた曲と噂されるようになるのですが・・・。
「暗い日曜日」にまつわる事件は実際にあったそうで・・・時代背景にも要因があったのかなぁ。
前半はラズロ、イロナ、アンドラーシュの三角関係が描かれています。
これはどうなのでしょうね(^_^;
大人だなぁ・・・と思いつつ、イロナの奔放さにラズロとアンドラーシュが手がつけられないといったところでしょうか。ラズロは大人の対応をしつつも実は嫉妬を隠しているような印象を受けましたね。
ラズロがイロナをもっとしっかり掴まえておけば良かったのかなぁ。でも、それだとイロナの魅力が半減してしまうような・・・。やっぱり、あの3人には、あの関係が一番だったのかもしれませんね。
そんな絶妙なバランスを保った3人の関係を揺れ動かす男があらわれます。
ドイツ人の客ハンス。この男が、まぁ余計な真似をしでかします(^_^;
イロナへの過剰なまでの愛情が彼をつき動かしたのでしょうけど・・・ハンスのエピソードも時代背景を無視できませんね。
ナチスがハンガリーへ侵攻する時代。外の様子も前半から後半にかけて賑わいを見せなくなっていきます。
将校になったハンスの、独裁的、かつ、私利私欲に固まった姿は観ていて気持ちの良いものではありません。でも、彼の本来の性格からなのか、やさしさや正義心も少なからず見せるのです。彼がすべての元凶ではないと思わせているところが、この作品の面白さかもしれませんね。
でも、ラズロは無念だったろうなぁ。駅でのシーンはどうしてもハンスを許せなくなってしまいましたね。
意味深なオープニングがラストで明らかになります。
そういえば、あの支配人は誰の子なのでしょう・・・ラズロ?アンドラーシュ?それとも・・・戦慄が走るラストでした。
Title:
GLOOMY SUNDAY - EIN LIED VON LIEBE UND TOD
Country:
Germany/Hungary (1999)
Cast:
(Ilona)ERIKA MAROZSÁN
(László)JOACHIM KRÓL
(Hans Wieck)BEN BECKER
(András)STEFANO DIONISI
Director:
ROLF SCHÜBEL
