ひでの徒然『映画』日記 -27ページ目

ひでの徒然『映画』日記

映画レビューを徒然なるままに書き綴ります。


ひでの徒然『映画』日記-秘密と嘘


Comment:

姉弟の家族に隠された秘密と嘘。


その年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールを受賞したマイク・リー監督の作品です。マイク・リー監督の作品は今まで観ていなかったので、どんな作品を創る監督なのだろうと興味津津でした。


・・・やっぱり、凄かった。ストーリーは淡々と進むのですが、最後は心にズシンと来ました。


モーリス・パーリーは個人で経営している写真スタジオのカメラマン。助手のジェーンとともに訪れる客の最高の表情を撮り続けています。


モーリスは最近一戸建ての家を購入しました。妻モニカとの2人暮らし。2人だけのスイートホームのはずなのに、なぜかモニカは気が立っている様子・・・。


一方、モーリスの姉シンシアは、21歳の誕生日を迎える娘ロクサンヌとの2人暮らし。しかし、家は老朽化が進み、雨漏りのする部屋は散らかし放題。シンシアとロクサンヌの仲も健全とは言えず、口論が絶えません。


そんなある日のこと。ロクサンヌの誕生パーティーをモーリスの家へ開こうと計画する中、シンシアの家に1本の電話が・・・。


ホーテンスと名乗るその女性は、シンシアが若かりし頃、出産後すぐに、顔も見ないまま養子に出した娘でした。


動揺するシンシアでしたが、意を決して会うことに・・・。


検眼師と働くホーテンスも、育ての母の死をきっかけに生みの親を捜す決意をしていました。


そして、2人は再会するもシンシアは「間違いよ。」と発してしまいます。


白人女性であるシンシアの前にあらわれたホーテンスは黒人女性でした・・・。


シンシアの誰にも知られたくない秘密。

モーリスとモニカの秘密。


それぞれの「秘密」を守るために、それぞれが「嘘」を付き、誕生パーティーにて一同に会するのですが・・・。


「嘘」にもいろいろあるものだなぁと考えずにはいられませんでした。


いたずら心の嘘。

悪質な嘘。

人を思いやる嘘。


そして、秘密を守るための嘘。


シンシア、モーリス、モニカ、ホーテンスがロクサンヌを思いやり、嘘をつくことは当然の成り行きだったのでしょうね。でも、そのために「嘘」で重ねた21年間の結果が、シンシアとロクサンヌの母娘の関係とは思えない溝を作ってきたのでしょうね。


モーリスが営む写真スタジオも「秘密と嘘」のテーマを表現していたと思います。


カメラの前で微笑む客たち。心から笑う者いれば、そうではない者も・・・。また、普段の自分とは違う本当の自分をさらけ出す者もいます。


普段の自分が「嘘」であり、カメラに向かった自分が隠してきた「秘密」なのでしょうか。それとも逆なのか・・・。


誰もが持っているであろう「秘密」・・・その「秘密」を隠すための「嘘」。シンシアやモーリスたちの「秘密」は根深いものでした。


はたして、パーティーの間、それぞれの「秘密」を彼らは守り通せるのか・・・。


シンシア役のブレンダ・ブレシンが迫真の演技を魅せています。ホントどうしようもない母親なのですが、辛い過去を背負う悲しい女性であることも彼女の演技から伝わってきます。


モーリス役のティモシー・スポールも熱演でした。大柄な体躯の通り、包容力のある男を演じています。クライマックスでのシーンも存在感があります。


ホーテンス役のマリアンヌ・ジャン=バプティストもキーパーソンとして、気丈な女性を好演しています。


クライマックスでは震えが止まりません。


人の感情がすべてさらけ出されたような、心に響く感動かつ衝撃のシーンでした。


人を思いやる嘘。

秘密を守るための嘘。


そのような「嘘」であればあってもいい。しかし、その「嘘」が自分にとって辛く、そして、逆に人を傷付けてしまうようなら、「嘘」で隠した「秘密」を吐き出すべきなのでは・・・。


人の感情、深層心理を鋭く描いた見応えのあるヒューマン・ドラマでした。



にひひにひひにひひにひひ



Title:

SECRETS & LIES


Country:

France/UK (1996)


Cast:

(Maurice Purley)TIMOTHY SPALL

(Cynthia Rose Purley)BRENDA BLETHYN

(Hortense Cumberbatch)MARIANNE JEAN-BAPTISTE

(Roxanne Purley)CLAIRE RUSHBROOK

(Monica Purley)PHYLLIS LOGAN

(Jane)ELIZABETH BERRINGTON

(Paul)LEE ROSS

(Stuart)RON COOK


Director:

MIKE LEIGH


Awards:

Cannes Film Festival 1996

(Best Actress)BRENDA BLETHYN

(Golden Palm)MIKE LEIGH

(Prize of the Ecumenical Jury)MIKE LEIGH


Golden Globes, USA 1997

(Golden Globe(Best Performance by an Actress in a Motion Picture - Drama))BRENDA BLETHYN


Los Angeles Film Critics Association Awards 1996

(LAFCA Award(Best Actress))BRENDA BLETHYN

(LAFCA Award(Best Director))MIKE LEIGH

(LAFCA Award(Best Picture))



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