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ニクソン大統領の単独インタビューに挑むTV司会者。
その年のアカデミー賞作品賞にもノミネートされたロン・ハワード監督の作品です。
これは見応えありましたねぇ。劇中でニクソン大統領が例えたように、これはまさに「言葉のボクシング」でした。
アメリカ政治史上初となる大統領の任期中の辞職へと追い込んだ「ウォーターゲート事件」。しかし、辞職したニクソン大統領の真意は語られぬまま政治の表舞台から揉み消されようとしていました。
そこに目を付けたのは、ロンドンとオーストラリアを行き来しながらTV番組の司会者を務めるデビッド・フロスト。彼は持ち前の明るさと行動力で仲間を集め、ニクソン大統領との単独インタビューに挑むのですが・・・。
初めは政治色の強い作品なのかなぁと身構えて観ていましたが、そんなこともなくフロストとニクソンの対決がメインになっています。
とにかくインタビューのシーンが迫力満点です。4日間に分けて行われるインタビュー。
フロストはスクープをモノにするため。
ニクソンは政界への復帰の足がかりにするため。
それぞれの思惑がぶつかり合います。ニクソン大統領のディベートのスキルはハンパありません。アメリカ大統領ともなると、あれぐらいできて当然なのでしょうね。
ニクソン大統領役のフランク・ランジェラの名演が光ります。完全にインタビューの現場を掌握していましたね。アカデミー賞主演男優賞ノミネートも納得の演技です。
対するフロストは何も話せずじまい・・・。でも彼は初めから勝利を確信していたような気もしました。そう思っていないと大統領のインタビューなんてできないのかもしれませんね。あと彼の場合はニクソン大統領へのインタビューよりもスポンサー探しのほうが困難を極めていたのかも(^_^;
フロスト役にはマイケル・シーン。前半の軽そうな人柄から後半での不安を顕わにするシーンやインタビューでの攻撃に転じるシーンなど巧みに演じ分けています。
ニクソン大統領が例えたとおり「言葉のボクシング」にはスタッフと言う名のセコンドもいます。
ニクソン大統領のセコンドはジャック・ブレナン。ニクソン大統領の負の面を知りながら、正の面のみを引き出そうとします。ジャック役にはケヴィン・ベーコン。冷静さの中に激しい感情を隠している・・・そんな印象を持ちました。
フロストのセコンドで注目すべきはジェームズ・レストンですかね。最もニクソン大統領を憎んでいた男でしたが、いざニクソン大統領を間近にすると・・・。やっぱり、オーラが違うのかなぁ。ジェームズ役にはサム・ロックウェル。彼が知的な役を演じるのもめずらしいのでは?でも、やっぱりキレるわけですが・・・(^_^;
ラスト。
フロストは正義の味方になろうと思って、ニクソン大統領の単独インタビューを企画したわけではないんですよねぇ。
富と名声。
エリートから見下され、敗者と思っている自分に勝つために・・・。
それが真実かは判りませんが、分析力の秀でたニクソン大統領が言うのだから間違いはないのでしょう。このインタビューがテレビ用ではなく新聞または雑誌用であれば勝敗が変わっていたかも・・・。後から書き上げる原稿とは違う生の緊張感・・・人の感情をリアルに映し出すテレビって怖いなぁ。
派手な展開はなくとも、アクション映画並みの迫力と興奮を味わえました。
Title:
FROST/NIXON
Country:
USA/UK/France (2008)
Cast:
(Richard Nixon)FRANK LANGELLA
(David Frost)MICHAEL SHEEN
(James Reston, Jr.)SAM ROCKWELL
(Jack Brennan)KEVIN BACON
(John Birt)MATTHEW MACFADYEN
(Bob Zelnick)OLIVER PLATT
(Caroline Cushing)REBECCA HALL
(Swifty Lazar)TOBY JONES
Director:
RON HOWARD
