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ハリウッドで暮らす人々の心の変化。
ヴィム・ヴェンダース監督の作品です。この作品の頃からなのでしょうか。アメリカを拠点として製作される作品が多くなります。ドイツや欧州の香りはどこにもありません。
それでも、オープニングではヴェンダース監督らしい、主人公による詩的なナレーションで主人公の心理を表現しています。
この作品はタイトル通り、「バイオレンス(暴力)の最期」を描いています。
90年代は、バイオレンス映画が広く認知され、暴力の描写もエスカレートしていた時期だと思います。
ヴェンダース監督はそんなバイオレンス映画に終止符を打とうとしたのでしょうか。
舞台をハリウッド、主人公を映画プロデューサーにして、「暴力の終わり」を訴えています。
人気映画プロデューサーであるマイクは、仕事のことした頭にありませんでした。妻ペイジはそんなマイクと別れを決意します。
別れを告げられても仕事を優先してしまうマイクでしたが、やはりペイジのことが気になり電話します。
ペイジはちょうど荷物をまとめて家から去ろうとしていたところでした。
そのとき、ペイジの電話から聞こえてきた声はマイクが何者かに連れ去られてしまう叫び声でした。
はたして、マイクの運命は・・・。
「バイオレンス」と言っても、ヴェンダース監督が描くバイオレンスは、身体的なものでなく、精神的なものでした。
ペイジはマイクの「無関心」という心の暴力に耐えられなかったのでしょうね。しかし、そんなペイジもマイクの誘拐事件をきっかけに心が変わり始めます。
マイクとペイジだけでなく、
スタント女優から主演女優に大抜擢されたキャットとマイクの事件を追う刑事ドック。
謎の管理システムを開発したレイと言葉が通じないメイドのマチルダ。
らの心の変化もこの作品の見所です。
マイク役にはビル・プルマン。デヴィッド・リンチ監督の「ロスト・ハイウェイ」を思い出します。そういえば、この作品の雰囲気がどことなくリンチ監督の作品と似ているような気がしました。音楽とかもミステリアスでしたね。
ペイジ役にはアンディ・マクダウェル。一番驚いたのは彼女の来ていた水着でした。あれはどうなっているのでしょう(^_^;
キー・パーソンとなるレイ役にはガブリエル・バーン。う~ん。ちょっとよく判らない役でしたね。というより、レイの人物設定が浅かったのかなぁ。レイのエピソードをもっと濃いものにすれば、もっと面白くなったのかも。でも、そこがヴェンダース監督。レイのエピソードを濃くするとただのハリウッド映画になってしまいます。
そう、この作品は多くの謎を残してエンディングへと進んでしまいます。
ペイジは幸せになれたのでしょうか。
ドックは生きているのでしょうか。
マイクとマチルダのその後は・・・。
決着をつけたような、つけていないような・・・そんなラストでしたね(^_^;
それでも、彼らを通して、心を変えることができれば、暴力もなくなることは伝わってきました。
Title:
THE END OF VIOLENCE
Country:
France/Germany/USA (1997)
Cast:
(Mike Max)BILL PULLMAN
(Page)ANDIE MacDOWELL
(Ray Bering)GABRIEL BYRNE
(Cat)TRACI LIND
('Doc' Dean Brock)LOREN DEAN
(Zoltan Kovacs)UDO KIER
(Claire)ROSALIND CHAO
(Brian)PETER HORTON
(Six O One)K. TODD FREEMAN
(Frank Cray)PRUITT TAYLOR VINCE
(Lowell Lewis)JOHN DIEHL
(Mathilda)MARISOL PADILLA SÁNCHEZ
(Ranger MacDermot)FREDERIC FORREST
(Louis Bering)SAMUEL FULLER
Director:
WIM WENDERS
