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友人の死に疑問を抱く男が捜す「第三の男」の正体。
その年のカンヌ国際映画祭グランプリを受賞したキャロル・リード監督の作品です。
サスペンス映画なのですが、ストーリーだけでなく白黒映画ならではの陰影の付け方が絶妙で、恐怖感、緊迫感を煽っています。
第二次大戦後のウィーン。20年来の友人ハリーを頼ってやって来た文無しの米国人作家ホリーは、早速、ハリーのアパートへと向かいますが、門番のカールからハリーは亡くなり、今日が葬儀だと知らされます。
確かにハリーの葬儀は行われていました。そこで出会った男キャロウェイと酒場へ。
キャロウェイは国際警察の人間でした。「彼ほど悪質な闇商人はいない。」とハリーを侮辱されたホリーは、彼が悪質でないことを潔白してやると、ハリー殺しの真実を追うのですが・・・。
謎めいた登場人物たちに、これからの展開を期待せずにはいられません。
門番のカール。
ハリーの知人であるクルツ男爵。
ハリーの主治医だというヴィンケル医師。
謎のルーマニア人ポペスク。
ホリーに反抗的なキャロウェイ少佐と部下のペイン。
そして、ハリーの恋人だったという女優アンナ。
カールとクルツらの証言に食い違いがあることに疑問を抱き始めたホリーは、アンナと共に真相を突き止めようとするのですが・・・。
ホリーとアンナの恋の行方にも注目です。
後半になると、二転三転と展開するストーリーに息を呑みます。
サスペンス映画として存分に楽しめる作品ですが、それだけでカンヌを制するなんて・・・と思っていたら・・・。
おそらくクライマックスの下水道でのシーンあたりから、格段に盛り上がる展開と演出力が高い評価を得たのでしょうね。モノクロ映画ならではの陰影が、フィルム・ノワールのテイストをより強調しています。
ホリー役のジョセフ・コットン。
アンナ役のアリダ・ヴァリ。
キャロウェイ少佐役のトレヴァー・ハワード。
主要キャストたちが好演する中、ハリー役のオーソン・ウェルズの初登場シーンが強烈な印象を残します。
ラストシーンがカッコ良いですね。絵になるなぁ。
ホリーのアンナへの愛。
アンナのハリーへの愛。
が見事に表現されています。
サスペンス映画なので詳しいことは書きませんが、尻上がりで面白くなる作品でした。
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Title:
THE THIRD MAN
Country:
UK (1949)
Cast:
(Holly Martins)JOSEPH COTTEN
(Anna Schmidt)ALIDA VALLI
(Harry Lime)ORSON WELLES
(Major Calloway)TREVOR HOWARD
(Sergeant Paine)BERNARD LEE
(Harry's Porter)PAUL HöRBIGER
('Baron' Kurtz)ERNST DEUTSCH
(Popescu)SIEGFRIED BREUER
(Dr. Winkel)ERICH PONTO
(Crabbin)WILFRID HYDE-WHITE
Director:
CAROL REED
Awards:
Academy Awards, USA 1951
(Oscar(Best Cinematography, Black-and-White))ROBERT KRASKER
Cannes Film Festival 1949
(Grand Prize of the Festival)CAROL REED
