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視力を失った少年の姿を追うドラマ。
実話を基にした作品です。視力を失うという重いテーマですが、イメージとしては重くもなく、むしろ子供たちの微笑ましい姿がファンタジー作品であるかのような感覚さえ与えてきます。
1970年夏、イタリアのトスカーナ地方。丘で鬼ごっこをしている町の子供たち。その中の1人、ミルコは好奇心旺盛な10歳の男の子。
母テレーザから買ってもらったオモチャを自分で解体したり、父アッキレに映画館へ連れて行ってもらったりと、どこにでもいる普通の男の子であるミルコに事件が・・・。
友達と遊んでいたミルコ。自分のオモチャが壊れてしまったので、直してくると家に帰ります。1人きりのキッチン。天井近くの壁にはライフルが飾られていました。
ミルコは不安定な台の上でライフルを構え遊びます。そして、ライフルを戻そうとしたとき台が崩れライフルが落ち暴発してしまいます。
割れた皿が床に倒れたミルコの目に・・・。
命に別状はなかったものの、引きかえに視力を失ってしまったミルコ・・・。それでも、うっすらと見えるその視力で一般校に行かせたい両親でしたが、法律によって一般の学校には通えなくなってしまいます。
ミルコは遠いジェノヴァにある寄宿学校、カッソーニ校へと転校するのですが・・・。
いやぁ、良い作品でした。
イタリア映画に少年が出て来ると何でも傑作になってしまうような・・・そんな気さえしてきます(^_^;
ミルコは強い子ですね。突然、視力をなくしたら泣き叫ぶのでは?なんて思ってしまいますが(ただ描かなかっただけかも・・・)、友達と遊べなくなったことのほうがミルコにとっては悲しいことなのかもしれませんね。
それにしても父アッキレは、なんでライフルに弾を込めたまま飾っていたのでしょう・・・まったく。
結局、ミルコはカッソーニ校へ転校するのですが、そこは視力を失った男の子たちの学校で、教育だけでなく、成人になっても困らないように職業訓練も授業として取り入れていました。
父アキッレは、まず小学校を卒業することが大事で、それから何をしたいかを考えればと思っていましたが、校長は今は何が出来るかが問題であると、アッキレとテレーザに現実を受け止めさせます。
正直、私もここまでは校長の意見がもっともだと思っていました。
しかし、ミルコは違いました。他の子たちと同じことをしない個性と才能を持っていました。
人は皆、同じではない。
例え障害を持っていても、1人1人の個性と才能を摘み取ってしまう校長の考えに次第に疑問を抱くようになりました。
ミルコは学校の教師を務めるジュリオ神父の理解のもと、テープレコーダーで音と声を使った物語を創り始めます。
学校の管理人の娘フランチェスカ。
学校で初めての友達になるフェリーチェ。
学校のガキ大将ヴァレリオ。
学校の卒業生エットレ。
彼らを巻き込んだミルコの物語は・・・。
ミルコ役のルカ・カプリオッティが素晴らしい演技を魅せています。
フェリーチェ役のシモーネ・グッリーは全盲の少年ですが、立派に演じています。彼の表情が愛らしいですね。
ラスト。
ジュリオ神父は校長と対立し、ミルコが創った物語を学芸会の場で生徒の親たちに披露するのですが・・・。
感動です。
そこには、学校から押し付けられていない彼らの自由がありました。
観終わった後、学芸会のシーンを目を閉じて「聞いて」みたら、目で感じていたイメージがより膨れ上がりました。ジュリオ神父は素晴らしい発案をしましたね。
ラストシーンでの鬼ごっこが、オープニングでの鬼ごっこと何ら変わらないことに、障害の有無はまったく関係ないことを伝えているようでした。
Title:
ROSSO COME IL CIELO
Country:
Italy (2006)
Cast:
(Mirco)LUCA CAPRIOTTI
(Felice)SIMONE GULLÌ
(Francesca)FRANCESCA MATURANZA
(Valerio)ANDREA GUSSONI
(Don Giulio)PAOLO SASSANELLI
(School Director)NORMAN MOZZATO
(Ettore)MARCO COCCI
(Achille)SIMONE COLOMBARI
(Teresa)ROSANNA GENTILI
Director:
CRISTIANO BORTONE
